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戦国ダンジョン ~現代人は信長の足元で、歴史支配の夢を見る~  作者: 斎藤 恋
第二章:千秋季光救済作戦

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第21話:神島の虐殺


───夕刻:熱田湊



日間賀島から戻った一行は、荷下ろしをしていきほとんどの回収品が"御霊蛇ダンジョン"へと運び込まれる。


この頃には、既にダンジョンの辺りは供養場として認識されており、皆も不思議に思わぬまま進んでいった。



荷下ろしが終わり、佐治水軍と別れたあと、荷運びに動いた者たちはそのまま帰宅していく。

だが、一部の、そう吉法師(信長)や季光は、誰にも気付かれぬようひっそりと、熱田神宮の隠し港へと向かうのだった。



熱田神宮には隠し港がある。

ここは、普段は神事で使う特別な箱船があるのだが、それは周辺の者たちにもよく知られていた。


実際、箱船は昔から置いてあるのだ。

だが、そんな中に御霊蛇が作ったダンジョン産の"ロングシップ"もあった。


他の箱船に比べ一際大きいそれは、同じような外観にするために様々な偽装が被せられており、一見まともに走る船には見えなかった。


夜になる前に全員が急いで荷を運んでゆく。

外から見ているものがいても、荷運びの残りでもあったか?と気にもしないだろう。


だが、近くで見るものがいれば即座に気付いたかもしれない。

彼らの目は既に戦場にあった。


殺気が目には充満しており、そのキビキビとした動きは次の戦を想像させるものだったからだ。

だが、現実には眺めている者はもういなかった。


積み込みや偽装用から"蛇布"へと帆の取り替えが終わると、男たちは黒塗りの服へと着替えていく。

顔にも黒の塗料を塗り、口元には黒い手拭いを巻く。



まるで、闇に潜む忍者のようなその格好は、昼間とは違い夜ではその姿を溶け込ませる。

しかも、この日は新月に近く、雲もあることでほとんど真っ暗闇の夜だった。


「行くぞ、出航」


全員が乗り込んだ後、吉法師は出向の掛け声を小さく行う。

完全な隠密作戦として、誰にも知られないことが重要だった。


船が静かに離れていく。


誰にも見られぬよう、灯ひとつ点けず沖へと進んでいくのだ。


「帆を張れ」


吉法師(信長)から声をかけられ、四郎丸は帆の支度をする。



バッ!

という音とともに、黒色に作られた蛇布が大きく広がる。



そう、今回の戦には四郎丸も参戦している。

予想以上に、日間賀島での戦いが順調だったことで、四郎丸にも経験させておくべきだと考えたのだ、季光は。


吉法師(信長)も実戦を経て、少し様子が変わった。

だが、初陣だった日間賀島の時よりは余裕がある様子だ。


ほとんど作業でしかなかった日間賀島での戦いだが、現時点での自分達を再確認するには良かったのかもしれない。

それにしても弱過ぎたが・・・。



「ぅお!」「っと!」「おぉぉおぉ!」「うるさい」


蛇布が広がると、風を受けて一気にロングシップは進んでいった。

その加速は、普通の船乗りなら操縦すら危うくなるほどの勢いだった。


吉法師や四郎丸を筆頭に、慣れていない者たちは船縁にしがみ付く。

波を切るように船は進み、佐治の関船や安宅船とは全く違う速度で神島へと向かって行く。



強度も通気性も木綿より遥かに高く、そして水を弾くその布は、船体を大きく前へと進めていった。


「はははは!これが、これが神が手ずから作った船の味か!すばらしい・・素晴らしいぞ!ふははははは」



最大速度:25ノット。時速にして46kmのそれは、この時代における最速だ。

これ以上の船は当時存在しないだろう。



熱田から神島

関船なら半日かかるその距離を、ロングシップ、いや"蛇船"は一刻も掛からず到着しようとしていた。




────────────────────────────


───神島


「・・・おい、日間賀島が落とされたって聞いたぞ?どうなってる」


「おう、らしいな。どうも佐治が出張ってたって話だぞ。」


「こっちには来ないのか?」


「来ねぇ。朝方にはもう船を返してたって話だ。」


「ほぉん、なるほどねぇ・・。じゃあ、あそこはこれから佐治が治めんのか?」


「さぁ・・、そこまでは知らん。」


「そうか・・、まぁ、こっちにちょっかいかけてこねぇならいいがな」


「少なくともそりゃ、今日明日じゃねぇよ。それより九鬼だろ?」


「あぁ・・、まぁそっちだわな。あのクソ野郎調子に乗りすぎだからな・・」



志摩の、神島の海賊衆たちからは、既に緊張が溶けていた。

最初は、もしやこちらに攻め込むんじゃないか?と気を張っていたが、既に撤退した佐治水軍を見て、緊張が解けていたのだ。



見張りもほとんどが就寝しているし、戦闘員なども酒を飲んで寝入っている。


攻めてくるとしてもそれは"九鬼"だろうと、警戒は既に他の志摩海賊へと向けられていた。



「あ?」


その時、海賊の一人は、海に違和感を感じた。


人の気配、殺気、血の匂い


それが何かはわからない。

だが、船乗りとしての勘が、"危険だ!"と警鐘を鳴らしていたのだ。



「まさか、てk!」



彼が、それに気付いて声を上げようとした瞬間、彼の顔は矢で潰されていた。

即死だったろうその男は、そのまま倒れていき、男がつけていた篝火へとその身を落としていく。



ガシャんと、音をたて倒れゆく篝火。

それに「何事だ?」と他の海賊たちも顔を出してきた。



だが・・・


シュッ!シュッ!シュッ!


小さな音と共に矢が彼らの顔を貫いていく。


この時になってもまだ、襲撃者の姿などまともに見えない。

月に雲がかかり、完全な暗闇となっていた。


夜そのものが襲いくるようなその状況に、やられた仲間を見た者は恐慌状態に陥った。


「う、うわあぁぁあぁぁぁぁぁ!!!」


大声をあげて逃げ出していくその海賊にも、矢が突き立てられる。

瞬く間に十数人の海賊衆が殺害される。



神島の海賊たちは、騒ぎが起きていることには気づき始めていた。

しかし、それが敵襲だとは、目の前に敵が来るまで、誰も知らないままだったのだ。




上陸も、阻まれることもなくスムーズに進む。



「終われば、またここへ。」


吉法師は、それだけを告げて飛び出していった。

日間賀島での経験を経て、部隊ではなく数人単位でばらけた方が効果的だと考えたのだろう。


側近の犬千代と四郎丸だけを連れて、神島の海賊衆へと向かっていった。


他の者たちも、同じように数人単位で、神島の各地へ浸透していく。



「なんだテメェら!」


海賊の大男の声が響く。


その男は、太刀を片手に四郎丸の方へと向かっていく。


ザッという小さな砂の音だけを鳴らし、四郎丸は大男へと突っ込んでいった。

そして懐に入り込むと、一閃。


「あ、お・・ま」ドサッ


男は胴を両断され崩れ落ちる。



吉法師や犬千代も、狩のように海賊たちの命を刈り取っていく。



神島の海賊衆300人は、敵の正体に気付かぬままその命脈を断たれたのだった。





────────────────────────────


───翌朝:熱田湊



東の空に日が昇る頃


蛇船ロングシップ"は神事の箱船へと戻っていた。


黒装束からも着替え、いつも通りの姿へと戻った季光たちは、各々自宅へと帰っていく。

2日連続での戦闘は流石に疲れたのだろう。


季光も吉法師も、各々の自宅で深い眠りへと落ちていった。




───そして、昼過ぎ。


早馬が熱田の港にも入ってくる。


"神島虐殺"


ただ一言、それだけが報告された。

季光ら以外には何事かわからない、その情報に、何も知らない港の商人たちは噂を広げ始める。


「あ?誰がやったんだ?」


「虐殺?どういうことだ、誰かが攻めたのではないのか?」


伊勢だけでなく尾張でも、この情報は多くの者を混乱させた。



「佐治のとこじゃないのか?」


「いや、日間賀島を攻めた後はすぐに戻っているだろう。そう報告を聞いたぞ?

それに、虐殺というのはおかしかろう。普通は誰かが押さえるのではないのか?」



そう、虐殺だ。

誰かが攻め取ったのではなかった。


最初の情報だけでは、単に誰かに攻め取られたのだろう。

そう、考える大名や国人が多かった。


しかし、詳しい話が入るに従って、彼らはどんどん困惑包まれることになる。



神島の人間の遺体には刀傷のようなものがあった、とは言われていた。

しかし、どうも、刀疵などより遥かに鋭利な何かで斬られているようだという。



中には、具足ごと、あるいは刀や槍も纏めて斬られているらしいという話も広がった。

これは事実だったが、余りの異常に、それを信じるものは少なかった。



だが、近郊の者たち、特に志摩の海賊辺りは、実際に現場を見て、「海神さまの祟りじゃ・・」と怯え、以後は神島には入らなくなる。


九鬼などは、神島を占拠しようと企てていたらしいが、それも他の志摩海賊の襲撃によって防がれる。


結局、しばらくの間、神島は無人の地となり、熱田からの商人が多少立ち寄るだけになる。





────────────────────────────


───ダンジョン第一層



ドサッ、ドサッ・・・


日間賀島と神島、二つの島から回収された大量の"回収品"が、ダンジョンへと供えられる。



『・・・ふ、ふふふふふはははははははははは!!』


俺は、溢れんばかりの魔力が体内に満ちていくのを感じている。


多数の遺体も含め、多くの物資などが流れ込んだことで、全能感がその体を支配していた。


今の俺に、遺体を吸収することへの忌避感も罪悪感も存在しない。



ただ、新たなる生物への進化。

自身がもっと大きな何かになれるという感覚に、身を震わせていた。



目を開く


====================

◻︎ダンジョン御霊蛇

・魔物生産

・宝物生産

・ダンジョン改装

・ダンジョン階層変更

・サブダンジョン New!

・ダンジョンマップ

・地図

・貯蔵品目一覧

・内蔵魔力値:4368030/4368030

・分霊創造:進捗度17%:保有数:3

・化身創造:進捗度13%:保有数:3

====================



ダンジョンメニューには、新たな項目と分霊・化身の両方が保有されていることが書かれていた。


ニチャァと、俺は見えない場所で醜い笑顔を浮かべる。


「あぁ・・!あぁ、これでやっと・・!!」


俺は目的を成せる。



特に、おかしなことは考えていないはずなのに、見るものを不安にさせるような様子を晒し続けた。

誰もいないところで。




完全な黒歴史である。彼だけしか認識していないことではあるが。


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ご読了ありがとうございます。

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