第9話『悪魔の過去』
1,ゼルグの過去
シン:「なあ、ゼルグ。お前……なんで悪魔になったんだ?」
ゼルグは少しだけ沈黙した後、冷たく笑った。
ゼルグ:「くだらねぇ話だ。忘れた方がいい」
シン:「俺は知りたい。お前のことも、自分の力も、全部向き合わなきゃならないんだ!」
ゼルグの瞳が揺れる。
ゼルグ:「わかった……」
―赤く染まる空。揺れる黒炎。そこは、シンの精神と魔力が映し出された“魂の試練場” だった。
燃えるような視界の中に、ゼルグの過去が幻のように浮かび上がる。 ゼルグはかつて、最小の“大騎士”の一員として知られていた存在だった。
だが、その始まりは―悪魔。
彼は悪魔たちのように破壊と支配を望んだのではない。むしろ、“力の均衡”と“平和”を願っ ていた。
ゼルグ:「……俺は、戦いを終わらせたかった。ただそれだけだった」
だが、彼の想いは踏みにじられた。
かつての仲間に裏切られ、そして何より―
ゼルグ:「俺の父は、“力の研究”に関わっただけで、粛清された。魔族に……味方したとい うだけでな」
焚かれる村。父が剣を胸に貫かれ、叫ぶ少年・ゼルグ
ゼルグ:「信じていた“正義”も“希望”も、全て裏切った。だから俺は抗った。人間にも、魔族 にも。全てに」
その絶望の果てに、ひとつの声が囁いた。
《―力が欲しいか?》
ゼルグ:「俺は、迷わなかった。それが……“反魔法”の始まり。俺は、人間でも魔族でもな い存在になった」
2,ゼルグの思い
長きに渡る眠りの後、ゼルグが再び目覚めた理由。それは―
ゼルグ:「……お前が、まだ壊れていないからだ」
シン:「……」
ゼルグ:「だが言っておくぞ。俺の力は、常に“代償”を伴う。覚悟して使え、シン」 シンは静かに、だが強く頷いた。
シン:「わかった。お前の力、借りる。でもいつか、俺自身の力でお前を超えてみせる」
ゼルグ:「……その言葉、忘れるな。“試練”はここからだ」
霧が晴れていく。
シン:「……」
ゼルグ:「どうした?」
シン:「いや……お前の過去聞いたら……..」
ゼルグ:「だから言っただろ、シン。お前の力じゃ、まだ“全て”を背負えない。だが―本気 で“守る”って言うなら……見せてみろ。お前の“意思”を」
そして、シンの足元に広がる魔法陣が光を放つ。
次の瞬間、彼は広大な“魂の試練場”に立っていた。
赤く染まる空、唸る風、そして彼の前に現れたのは―巨大な“反魔獣”。
シン:「これが……俺の、試練―!」
次回―
試練の第二幕が、いま幕を開ける。




