第89話『帰還、そして咆哮』
虚領が崩壊を始めていた。
アリアの魂が消えたときから、この空間は“主の核”を失っていたのだ。
ロッシュ:「……おい!!虚領はもう持たねぇ。全員、地上へこい!!」
シン:「行こう。……全部....決着つける」
ニャルスの魔法陣が発動し、空間が揺らぐ。
そして―
1,レゼル=ファーレへの帰還
一瞬の浮遊感のあと、彼らはレゼル=ファーレの王都・中央広場に姿を現す。
しかし、そこは―
すでに“静寂”と“異常”に包まれていた。
ロッシュ:「お前ら.....大丈夫か?」
シン:「うん...大丈夫....」
ユイナ:「……人の気配が、ない……?」
スイ:「おかしいよ……王都がこんなに静かなんて……」
ドンッ―!!!
突如、地鳴りが鳴り響く。
地平の向こうから、**黒い獣**の群れが王都を包囲していた。
ロッシュ:「あれは……!アイン=ゼロの軍だ……!」
騎士団長:「お前ら....国を守れ!!!!!!!」
騎士団たち:「おう!!!!!!!!!!!!」
王都に残されていた《騎士団》が迎撃に出るが、数は圧倒的に劣る。
魔力を吸う性質を持つ《デヴォウラー》に、通常の魔法はほぼ通じない。
その時。
シンが、一歩前に出る。
シン:「行かせてくれ。……この力、“使い方”を試すにはちょうどいい」
2,力試し
手にしたのは、かつての刀ではない。
真魔法で形成した、“意志の刀”。
言葉も構えも不要。振るだけで―世界の構造が裂ける。
ニャルス:「やっと、“自分の型”に馴染んできたな」
スイ:「あたしも行く!シンだけに任せない!」
ユイナ:「支援する!回復魔法、強化済み!」
ロッシュ:「背中は任せろ!」
四人が駆け出す。
かつてアイン=ゼロの影に怯えた日々は、もう過去だ。
デヴォウラーが吠える。
咆哮が王都を揺るがす―が、それより速く。
シンの魔力が、光速に似た閃きを走らせる。
斬撃一閃。
空気が歪み、獣の一体が魔法ごと“分解”される。
ユイナ:「今の……!?」
敵がひるむ。
だが、それでも数は無数。
―そして。
空が裂ける。
その裂け目から、レイが現れた。
その両目は涙の跡を残しながら、なお冷たく。
背後には、アイン=ゼロの軍隊が立つ。
レイ:「……シン……もう、止めてよ……」
シン:「止めねぇよ。……お前を、絶対に取り戻す」 風が吹く。
かつて同じ道を歩んだ二人の、刀と拳が交わる寸前で―。
次回―
願い。




