第84話『記憶の檻』
―空間が歪み、時が揺らぐ。
《アイン=ゼロ》と共に消えたレイを追い、シンたちは“ある魔法陣”を通じて転移していた。
辿り着いたのは、物理法則さえも捻じれた、奇妙な空間だった。
1,檻
ユイナ:「……ここは、どこ……?」
ニャルス:「《記憶の檻》―アイン=ゼロが造った“精神の迷宮”だな。閉じ込められた者の 過去と未来が交差する、精神世界だ。油断すんなよ、小娘」
ロッシュ:「ここ……俺たち、見たことがあるぞ……《焼け落ちた…旧・レゼル=ファーレ》の街だ……」
スイ:「えっ……じゃあ、あの時の……」
そこには、かつて彼らが見た“壊れた未来”が再現されていた。
―街の崩壊。
―黒い空と、燃え尽きた人々の記憶。
―絶望しかない終焉。
だが、その街の奥―《精神領域の核》に、微かな光が見える。
シン:「あの中に……レイがいる!」
2,それぞれの記憶
しかしその前に立ちはだかるのは、それぞれの“記憶”が具現化した存在たち。
ユイナの前には、亡き兄・イオの幻影。
スイの前には、自分を裏切った旧友・ナオ。
ニャルス:「“記憶”はただの幻影……だが、喰らえば心を失う。喰われる前に斬り捨てろ」
シンの前にも、母・アリアの影が現れる。
アリア:「シン……もう、戦わなくていいのよ……全部、私が守ってあげる」
シン:「……違う。俺は、もう守られる側じゃない……!」
彼は、幻影に背を向ける。
すると幻影は、苦しげに消えていく。
スイ:「私たちの心を試してる……!」
ユイナ:「でも、負けない……!! レイを取り戻すために……!」
それぞれが“記憶”を断ち切った瞬間―
世界が揺れる。
そして、“精神領域の核”が開かれる。
シン:「行こう!!レイのもとへ!!」
扉の先に広がっていたのは―
淡く揺れる、ひとつの“記憶の部屋”。
3,再開
レイが、ひとり膝を抱えていた。
そして、その隣には―《クロノ》の幼き頃の幻影。
レイ:「これは……お父さんの記憶……?」
彼女は、初めて知る“クロノの孤独”と、“願い”に触れる。
そこに、シンたちが駆けつける。
シン:「レイ!!」
レイ:「来てくれたんだね……」
彼女の周囲を囲んでいた“記憶の鎖”が解けていく。
だが、その奥に―黒い扉が現れる。
ニャルス:「……来やがったな。“記憶の番人”ってやつだ…」
その扉の向こうから、巨大な影が現れる。
それは、“クロノの憎しみ”だけを抽出したような、怪物の姿だった。
スイ:「あいつが……アイン=ゼロの“核心”……!」
シン:「なら、壊すしかねぇな……その過去も、呪いも!」
構える仲間たち。
戦いの火蓋が、再び切って落とされる―!
次回―
記憶を断て!!




