第83話『選択の手』
1,父と娘の語り合い
かつての“幻影の家”―
ぬくもりと懐かしさが残る部屋で、レイと《アイン=ゼロ》は対峙していた。
レイ:「この場所……ずっと夢で見てた。小さなベッド、手を引いてくれた大きな手……全部、嘘じゃなかったんだよね」
アイン=ゼロ:「あぁ。君が生まれたときから、私は……君の傍にいた。 だが、あの未来は壊れた。君を守るには、私自身が“壊れる”しかなかった」
レイは、拳を構える
レイ:「じゃあ、私は……どうすればよかったの?あなたが一人で全てを背負って、全部を壊すって決めて……残された私は、何を信じればよかったの!?」
アイン=ゼロ:「……それでも、“君”は残したかった。“この世界”に、唯一残る“未来”として ―」
そして、アイン=ゼロの背後に黒い魔法陣が浮かび上がる。
空間そのものが軋むように揺れ、《万有魔法》の“原初”が展開する。
アイン=ゼロ:「来なさい。レイ。君が私を超えるというなら……その手で証明してみなさい」
レイ:「……ありがとう。せめて、その言葉だけは……父親の声として、受け取るよ」
2,父と娘の激突
拳と拳が激突する。
空間が、感情で震える。
その光景を、遠くから見つめる一行。
シン:「くそっ……今、助けに行ったら……レイの意志を壊してしまう……!」
ユイナ:「レイ……お願い、あなたの“心”で立って……!」
ニャルス:「あいつ……本気だ。レイの心を砕く気でやってるぞ……!」
戦いの最中、アイン=ゼロの一撃がレイの肩を裂く。
鮮血が舞い、幻影の家が崩れはじめる。
アイン=ゼロ:「君は強くなった。だが、その心にまだ“ためらい”がある。本当は、私を許したいと思っているんじゃないのか?」
レイ:「……違う。私は、あなたを―受け止めたいと思ってるだけ」
アイン=ゼロ:「受け止める?」
レイ:「父親としてのあなたも、怪物になったあなたも、全部。それを、私の拳に込める…… !!」
彼女の拳が、淡く輝く。
レイ:「雷魔法......雷霆弾.......!!」
雷の一撃が、アイン=ゼロの防壁を粉々にし、彼の肩に深く届く。
アイン=ゼロ:「ッ……!」
しかし―その瞬間。
アイン=ゼロの身体が黒く染まり、崩れ落ちそうになるクロノの面影が、一瞬だけ浮かぶ。
クロノ?:「……レイ……」
レイ:「おかえりなさい―お父さん」
3,娘の決意
その刹那、空間が崩れ落ち、レイの前からアイン=ゼロが消える。
同時に、彼女も姿を消した。
シン:「レイ!!」
だが、彼女の声だけが、残響のように響く。
レイ:「まだ終われないの……! 私が、彼の中の“闇”を打ち壊すまでは……!」
シン:「レイ……!」
レイの声は完全に途絶えた。
そして、空には再び《歯車》が鳴り響く。
歪な時間が、また新たな変革の兆しを告げていた。
次回―
消えたレイ。
彼女を追うため、シンたちは《記憶の檻》と呼ばれる時空の牢獄へ足を踏み入れる。




