第81話『歪められた運命』
《虚構の祭壇》での戦いのあと―
アイン=ゼロは、再び深淵へと消えていった。
残された一行は、その場に静かに佇む。
ユイナ:「……苦しい。“精神”を抉られる感覚……まだ残ってる」
スイ:「アレが本当に、クロノ……?」
シン:「……もう、“クロノだったもの”だ」
レイは無言で立ち尽くしている。
その時―
通信魔具に反応があった。
ロッシュ:「.....ン.....シン.....!!」
シン:「ロッシュか...どうした?」
ロッシュ:「ちょっとヤバいな。今、地上の“光”が消えた」
ニャルス:「空が……“裂けた”んだ」
ロッシュたちが、地上へ戻ると―
都市は、すでに異変の只中にあった。
空に浮かぶ巨大な“時の歯車”
空気は静止し、街の時が緩やかに“凍って”いる。
ロッシュ:「時間の流れが……変質してる。たぶん、これが“第二段階”」
ユイナ:「第二段階?」
ニャルス:「アイン=ゼロの計画だ。“都”そのものを、《記憶ごと固定》する」
スイ:「そんなの……全部、人間を“駒”みたいに使ってるだけじゃん……!」
そんな会話の中―
レイが、ふと足を止める。
レイ:「……あれは」
廃ビルの屋上に、人影が一つ。
白銀の髪。黒い外套。
その姿に、スイが目を見開いた。
スイ:「あれって……クロノ!? いや、でも……雰囲気が……違う……?」
だがその瞬間、その人影はふっと姿を消す。
シン:「追うぞ」
レイ:「……うん」
1.廃都市区域―
古びたアーケード街、崩れたモニュメントの前。
そこに、現れたのは―“もう一人のレイ”
いや、違う。
その瞳の色は、今のレイと同じ……だが、雰囲気が異様だった。
???:「やっと来たのね」
スイ:「え……レイが……二人?」
シン:「違う。これは、“記憶”の中から現れた別人格……?」
だが、“彼女”は微笑みながら告げる。
???:「私はレイ。……けれど、君たちの知っているレイじゃない。私は《記憶の中の娘》、 クロノの“願い”が作り出した存在」
ユイナ:「……どういうこと……?」
レイ:「やっぱり……あなたも、私……なの?」
“記憶のレイ”は、悲しげに微笑んだ。
記憶のレイ:「私は、“選ばれなかった”方。クロノの中にあった、“理想の娘”。でも、本物の 私は……あなた。“現実”を選んだあなたこそが、本当のレイよ」
そのとき、空間に異変が起きる。
記憶の空間が壊れ、光が弾ける。
記憶のレイ:「だから―私は、あなたの中に還る。 ……彼を止めて。私の“父”を、止めてあげて……!」
光が弾け、“記憶のレイ”は霧のように消えた。
シン:「クロノの……娘……?」
レイ:「わたしが…クロノの娘??.....」
スイ:「じゃあ、だから……ずっと“共鳴”してたの?」
ニャルス:「血は、記憶を超えてつながる。だから抗いにくい。……でも、“それでも”抗うんだよ」
沈黙が流れる。
レイの手が、無意識に震えていた。
だが次の瞬間、レイはゆっくりと剣を抜いた。
レイ:「でも……私は.....あんたたちと行く!!!」
ロッシュ:「覚悟を決めたか。いい面構えだ、レイ」
2,クロノ=アイン=ゼロの空間
高層の歯車塔の上、虚無の王座に腰かけるクロノ。
アイン=ゼロ:「……今、運命が動いた。彼女が覚醒するなら……“歯車”の速度も早まるな。 でもそれでいい。すべては、最初から決まっていたこと。 この“記憶の歯車”は、誰にも止められない」
歯車の音が加速し、空が軋む。
次回―
激動。
レイの“血”の記憶が目覚めた時、運命の歯車は狂い出す。
シンたちの選ぶ未来は、本当に希望へと繋がるのか― 。




