第73話『真精霊魔法《熾天煌命》』
《虚無の心臓》最終の領域。
そこは“時間”も“空間”もねじれ、存在そのものが問われる領域だった。
他の三人と離れ、シンはひとり、無重力の闇に立っていた。
1,静かなる問い
???:「また、会ったな……シン」
浮かぶ光の中から現れたのは、《沈黙の観察者》―キエン。
だが、その表情には“感情”があった。
キエン:「私は神の精霊。かつてこの“虚無の心臓”を創りし存在……だが今は、“命令を与えられる器”に堕ちた」
シン:「アイン=ゼロに……?」
キエン:「あの存在は、“私を縛る術式”を見つけた。私は、逆らえない。それでも―」
キエンの手が震える。
キエン:「私を……連れて行ってくれ、シン。人間の“自由”が、見たい」
キエンが膝をつき、光の粒が溢れる。
キエン:「……シン、私と“契約”して。君が希望の鍵になる」
2,神精霊契約
キエン:「この契約は、心の奥―命の深淵を見せ合うもの」
キエン:「私と契約すれば.....命が削られる....それでも契約するか?」
シン:「かまわない。俺は、もう……“過去”から逃げない!」
光が爆発するように舞い、空間が反転する。
3,試練:内なる真実
シンは“心の記憶”の中へ沈む。
家族が壊れた日
クロノが変わってしまった日
それでも誰かを信じようとした自分
そのすべてを貫いたのは―「優しさ」だった。
キエンの声が響く。
キエン:「君の心には、“命を救う光”がある。与えよう。真なる魔法を」
4.《疑精霊化》への決意
シンの背に光が収まり、神精霊との契約が完了した。
虚無の空間がわずかに温もりを帯び、光が差し込む。
キエン:「……よくぞ、我を受け入れた。だが、これで終わりではない。 次は“疑精霊化” ―神の魔法を、己の形に落とし込む儀式だ」
シン:「……疑精霊化……?」
キエンの瞳が、神秘の青に輝く。
キエン:「神精霊の力を具現化する方法の一つ……だが、それは一度しか許されない。“疑精霊体”は、君の心と在り方を写すもの。二度と変えることはできない」
キエン:「さあ……我の力を使ってみろ。“疑精霊化”は、一度しか生み出せぬ。よく考えて、 創れ」
シンはその言葉に、強くまぶたを閉じた。
仲間たちの顔が浮かぶ。
レイの鋭く揺るがぬ眼差し。スイの無邪気な優しさ。ユイナの強い想い。
そして―クロノ。
兄の心に触れたいと願う、自分自身の声。
シン:「俺が……本当に欲しい力って……」
拳を強く握る。
シン:「よし……やってみる……」
その瞬間、彼の体から放たれる光が色を変える―
青と白、金の粒子が旋回し、虚無の空間が揺れる。
そして...........
キエンの光がシンに流れ込み、身体の輪郭がゆっくりと変わっていく。 白銀の羽が生え、胸に神紋が刻まれ、背から六つの光輪が展開した。
5.真精霊魔法
シン:「神精霊同化.....真精霊魔法....熾天煌命..........!!!」
キエン:「……出来たか。……神精霊同化……」
天より七つの光柱が降り注ぎ、シンの背後に熾天使のような巨大な魔法陣が展開する。
キエン:「……その名、確かに刻まれた。“熾天”は、天の火。“煌命”は、命の光……それが、お前の望みか」
シン:「俺は、誰も救えなかった。兄も、家族も、何も守れなかった。でも、もう一度立ち上 がて、全部取り戻す……この魔法は―“絶望に、光を差すため”の魔法だ」
それはただの力じゃない。
家族への祈り、仲間への想い、自分への赦し。
すべてが結晶となって燃えていた。
5,キエンの告白と誓い
キエン:「君が現れるまで、私はただ観察するだけの存在だった。だが、今は違う」 静かに、キエンの身体が薄くなり、粒子がシンの核へと入る。
キエン:「私のすべてを君に預ける。この命はもう、君と共にある」
キエン:「美しいな、契約者。お前のような者に……私は選ばれたのか」
シン:「……ありがとう、キエン」
6,再会、そして次の扉へ
修行を終えた仲間たちが、次々に集まってくる。
スイ:「うわぁー!!シン、神様みたい!!」
レイ:「羽が……似合いすぎててムカつく」
ユイナ:「でも、かっこいい。……本当に、頼れる“リーダー”になったね」
シン:「みんなも変わったな......すげぇや。もう、怖いもんなんてないよな」
キエン:「……それでも、最深部に待つ者は、“絶望”そのものだ」
それでも、四人は迷わなかった。
シン:「行こう。……世界を、取り戻すために」
次回―
各能力とさらなる高みへ!




