第67話『次男と中男の記憶』
《虚無の心臓》へ続く試練の道。
その最奥、霧が割れるようにして、ひとりの少年が現れた。
重力のゆらぎ、死の気配―
グラヴィだった。
シンの兄。クロノの側に立ち、今も敵として現れる。
1,グラヴィ、現る
グラヴィ:「……シン。これ以上、進ませないよ」
シン:「やっぱり来たか、グラ兄」
ユイナが前に出ようとするが、シンが手を伸ばして止めた。
シン:「これは……俺の戦いだ」
グラヴィ:「あの時、あんたを逃したのは……俺じゃなかったら、死んでたよ」
スイ:「シンを……助けた?」
レイ:「優しさか、それとも……迷いか」
グラヴィの目は、冷たさと、揺れが同居していた。
2,兄への想い、兄の決意
グラヴィ:「クロ兄は、間違ってない。たとえ“中にアイン=ゼロ”がいても……あの人の想いは、嘘じゃないはずだよ」
シン:「違う! 母さんも、父さんも、俺たちを守ろうとしただけだ!」
シンの声が、重く、深く響いた。
シン:「グラ兄……あのとき、泣いてたじゃないか。母さんがいなくなった時、クロノが変わった時……!」
グラヴィ:「……それでも、私はクロノ兄ちゃんを信じるって決めた。俺にとって、“兄”は…… 世界より重いんだ」
そして―戦いが始まる。
3,魔力激突:重力×死神 vs 真×霊魂
グラヴィの重力魔法が大地を砕き、空間を捻じ曲げる。
死神魔法が黒い鎌を生み、シンを狙う。
ルチフェロ:「っ!!重力と死神....偽りの魔法じゃないか......」
ルチフェロとモルスが背後に現れ、無言で支える。
シン:「真+霊魂魔法.....霊魂界域...!!」
周囲を天使のような魔力で包む。
シン:「それでも俺は、グラ兄を止める。クロノを取り戻す。 ……そして、家族を取り戻す!!」
4,ネクロの介入
突如、黒紫の炎が地を裂いた。
現れたのは―ネクロ。シンの兄。
ネクロ:「……やめて、グラ兄」
グラヴィ:「ネクロ……どうしてここに」
ネクロ:「俺も……クロ兄を信じてた。けど、 わかんなくなったんだ……クロノ兄ちゃんが言ってること、本当に正しいのかって……」
ネクロの瞳が揺れる。怖さと迷いがにじんでいた。
5,交錯する想い
グラヴィ:「迷ってどうすんだよ!? 信じるしかないだろ!」
ネクロ:「でも……信じるって、何?全部壊して、みんなを殺して、それが“兄ちゃんの望み” だって言われても……俺、うまく頷けない……」
沈黙。
シンが、一歩前に出る。
シン:「……グラ兄、ネク兄。俺は、クロノを取り戻す。それが“信じる”ってことなんだって、信じてる」
6,一時の撤退、そして…
グラヴィは拳を握りしめる。
だが、その一瞬の迷いにより、重力の波動が崩れる。
すると、ネクロとクリナがグラヴィの前に立ち、シンに言う。
ネクロ:「今は、行って。……俺達が、グラ兄を止める」
クリナ:「家族だけど....兄弟だけど....シン....私...あんたのこと好きだよ...だからここは任せて」
グラヴィ:「ネクロ!!…クリナ…!!」
グラヴィは、ネクロとクリナに近づき、首を締める。
ネクロ&クリナ:「くぅっ!!」
グラヴィ:「さぁ..ふたりとも...クロ兄のところに戻るぞ.......」
ネクロ:「今の俺には……“迷うこと”しか......できない。だから.....少しでも.....止まって」
シン:「ネク兄!!クリナ!!!」
ネクロは叫ぶ。
ネクロ&クリナ:「「振り返るな!!!行け!!!!」」
シンは泣きながら頷き、背を向けて進む。
7,仲間の思い
レイ:「……あの兄弟も、私と同じなのかも」
スイ:「……?」
レイ:「“本当の気持ち”が、わからなくなってる。信じるって、怖いよね」
ユイナ:「それでも……前に進まなきゃ、ね」
シン:「絶対....アイン=ゼロは....殺す......」
遠ざかる足音。進む《虚無の心臓》のさらに奥。
次回―
クロノの真実が、少しずつ近づいていた。




