第66話『囁く残響 ― ネクロの影』
1,螺旋回廊《深界層》
《虚無の心臓》に続く空間―
その第一区画、《深界層》。
ねじれた大理石の階段と、永遠に落ちていくかのような浮遊床。
スイ:「ここ……本当に世界の中なの……?」
ユイナ:「空も、地面も……“裏返ってる”みたい……」
レイ:「ここから先、私たちの“正しさ”が試されるってこと」
不気味な気配の中、1つの“影”が現れる。
それは―ネクロの姿をした、幻影だった。
シン:「……ネクロ……!」
2,記憶が語る幻影
幻影のネクロは、かつてのまま微笑み、語りはじめる。
ネクロ:「なぁ……覚えてるか?昔、兄さんたちと、魔法陣で遊んだこと」
シン:「うん....あんたらが遊んでいるところ....」
幻影のネクロは、だんだんと声を濁らせていく。
ネクロ:「でも……俺たち、“気づいちゃった”んだ。世界は、優しい顔をしながら、俺たち兄妹を捨てたんだって」
クリナ:「……やっぱり、これ……ネクロじゃない」
3,それは、“影”
霧が立ち込め、ネクロの姿は歪んでいく。
その奥から現れる、黒い人影―それはアイン=ゼロが生み出した、“記憶の影”。 ルチフェロ:「これは……ネクロの“魂の残滓”をなぞった幻体だ」
ゼルグ:「目的は、揺さぶり。進む者の意志を壊すための装置だな」
レイ:「……あたしは、こんな安っぽい影には動じないよ」
だが、その言葉とは裏腹に、彼女の拳は少しだけ震えていた。
4,シンの祈り
シンは、幻影を睨む。
だが、怒りでも、悲しみでもなく―真っ直ぐな、まなざしで。
シン:「……ネクロ。たとえそれが“影”でも。たとえ君がもう、いないとしても。俺たちの中には、ちゃんと生きてる」
シンは手を伸ばす。その手に、真魔法の紅い光が宿る。
カース:「行け、シン。“影の記憶”を断ち切れ!!」
ベルゼブブ:「その手で未来をつなげ!!」
―紅い魔法が、幻影を貫く。
ネクロの残像は、静かに消えていった。
ネクロ:「……ありがとう、シン。でも、クロノ兄さんの心の奥にも……まだ“あの頃”がある と、信じて……」
ネクロは消える。
5,崩れる階層、そして―
空間が大きく揺れ、階層が崩れていく。
レイ:「チッ……先、急ごう」
ユイナ:「あの影……クロノの中の何かが、私たちを試してる気がした」
クリナ:「でも……わかった。母さんと父さんは、悪くなかった……兄ちゃん…やっぱり…クロノが、間違ってるんだよ……」
スイ:「……みんなで、迎えに行こう。クロノも、他の兄妹も、きっとまだ、戻れる……!」
6,進む先に
そして彼らは、次の層―《重力断層》へ。
次回―
その奥から聞こえてくるのは、次の“兄妹”―
あの、かつて誰よりも穏やかだった兄・グラヴィの声だった。




