第63話『試練の門』
1,街の風、少しの安らぎ
病院を出たシンたちは、《虚無の心臓》へ向かう前、少しだけ街を歩いていた。
ユイナ:「せっかく退院したんだし、ちょっとくらい……ね?」
スイ:「……うん。こういう時間、大切だと思う」
レイ:「まぁ、クロノのとこ行く前の腹ごしらえってやつ」
シン:「……ありがとな。みんな」
クリナ:「私が案内する。ここの街は、昔から魔道士たちの中継地だったんだ」
街は穏やかだった。
屋台からは香ばしい匂いが漂い、笑い声と魔道楽器の音が、空に響く。
シンは少しだけ歩調を緩めた。
―これが、守るべき“世界”だと。
そして、路地裏の小さな魔法雑貨店で、古びた魔具を見つける。
カイラ:「それ……“心の音”を映す小瓶。感情が魔力になる道具よ」
スイ:「へぇ……こういうの、シンに似合いそう」
シン:「すご...きれい....買おっかな...」
メギキュラ:「ふふ、案外乙女だもんね、シンって」
シン:「おい……」
皆が笑う。
重さの中に、ほんのわずかな温度が戻っていた。
2,再び進む道
―そして、陽が傾きはじめる頃。
シンたちは、街を後にした。
そこには、“試練の門”が待ち構えていた。
白く濁った空間。歪んだ大気。そこが《虚無の心臓》へ繋がる道。
レイ:「ここから先は、もう……戻れないよ」
ユイナ:「それでも……進むんだね」
シンは頷く。
シン:「あぁ。全部終わらせる。未来のために」
3,神の影との対峙
その瞬間、空間が裂ける。
黒白の霧に包まれた、“神の影”が現れた。
ゼルグ:「……来たか。“神を目指す者”の通過儀礼」
モルス:「これは言葉で問うものではない。“意志”で応えろ、シン」
影は問うていた。
「お前は何者だ?」
シンは一歩踏み出す。
右手から滲み出す“紅い光”―真魔法の片鱗。
同時に、背後の精霊・悪魔たちが魔力で支援する。
シン:「俺はただの人間だ。でも……この世界を、変えたいだけだ!」
その一撃は、“神の影”の霧を貫き、問いを沈めた。
影はゆっくりと、霧と共に消える。
4,神性への胎動
ルチフェロ:「―第一試練、突破」
カース:「虚無の心臓への扉が、開いたわ」
ベルゼブブ:「あとは、“核”を手にするだけだ」
ユイナ:「シンくん……強くなったね」
スイ:「あの時の涙が、もう嘘みたい……」
レイ:「……“それ”を持って、本当に兄を倒せるの?」
シン:「……ああ。俺が“神”になる。ただし、破壊の神じゃない。未来をつなぐ神に」
そして彼は、再び歩き出す。
その先にある、《虚無の心臓》へ。
次回―
そこに眠るのは、かつて魔法を創った“神”の真実―
クロノの過去、そして、魔法の起源とは……?




