第61話『目覚めの病室 』
1,目覚め
白い天井。どこか静かな電子音。
そして、微かに鼻をつく薬品の匂い―
ゆっくりと、シンは瞼を開いた。
シン:「……ここは……」
その瞬間。
彼の周囲に、淡く光る小さな影がふわりと浮かび上がった。
???:「やっと起きたか、契約主」
???:「遅いぞ、相棒」
???:「ふひ、死にかけるなんて、情けないなぁ」
???:「でも、生きててよかった……ホントに」
そこに現れたのは―
・霊魂魔法=カイラ:淡い水色の髪、静かな瞳の少女の姿。儚く優しい声。
・反魔法=ゼルグ:漆黒の炎をまとう少年のような存在。強く鋭い目。
・血液魔法=メギキュラ:赤いドレスを纏った悪魔の少女。挑発的な笑み。
・呪符魔法=カース:お札を巻いた狐面の精霊。時折、声が多重に響く。
・骨魔法=ベルゼブブ:骸骨のような紳士姿の影。杖を持つ。
・鬼魔法=キマ:角の生えた猛々しい少年。荒々しいが忠誠心は厚い。
・重力魔法=ルチフェロ:漆黒の鎧をまとった戦士型の精霊。重圧ある声。
・死神魔法=モルス:大鎌を背負った黒翼の男。無表情で静かに佇む。
全員小さい。
カイラ:「私たち、ずっと見てた。クロノとの戦いも、グラヴィの最後も……」
ゼルグ:「それでも立ち上がろうとするお前を……誇りに思ったぞ」
メギキュラ:「……ほーんのちょっとだけだけどね?」
ベルゼブブ:「さあ、次の血戦の準備を……契約者よ」
キマ:「あのヤロー、ぶっ飛ばすぞシン!!」
モルス:「……今は、まだ休め。だが、忘れるな―“死は近い”」
シンは呆然としたまま、ゆっくりと目を見開いた。
シン:「お前ら……ずっと、俺の中で……」
カイラ:「あなたが諦めない限り、私たちはここにいる。―力になる」
シンの中に、確かな“鼓動”が戻ってくる。
そこへ扉が開き、スイが入ってくる。
スイ:「……起きたんだね、シンくん」
ゆっくりと入ってくるスイの目は、涙で少し腫れている。
けれど、彼女は笑っていた。
スイ:「ユイナとレイは魔印の痕跡を調べに行ってる。すぐ戻るって……」
沈黙。
少しの時間が過ぎると、シンは膝を抱えてうつむいた。
シン:「……俺が……殺したんだ」
スイ:「えっ……?」
シン:「グラヴィ……兄ちゃんを怒らせて……結果的に、俺が……」
スイ:「違う!!」
スイは叫んだ。
スイ:「それ、グラヴィが聞いたら絶対怒るよ。自分の選択、自分の犠牲に、自信があった はずだもん。……シンくんがそれを否定するなんて、絶対違う!」
シン:「でも俺は……俺が……!」
スイは、その場でシンに駆け寄り―ぎゅっと、彼を抱きしめた。
スイ:「泣いていいよ……でも、自分を責めないで。あなたがいなきゃ、誰もこの先へ進めな かった。……だから、前を向いて」
シン:「……スイ……」
スイ:「みんな、あなたを信じてる。……私も」
その静かな温もりが、傷ついた心をそっと包んでいく。
その時―
2,再会
病室の扉がふたたび開いた。
???:「あれれ〜? シンく〜ん……あたしが来たのに泣いてるの?」
シン&スイ:「……!!」
立っていたのは―
ピンク色のツインテール、少しおどけた笑み。
―クリナだった。
クリナ:「もー、泣き虫は相変わらずだね〜! でも……生きてて、よかったぁ……」 シン:「……クリナ……っ!」
彼女は、シンの元へふわりと寄り添い、にっこりと笑った。
クリナ:「ネクロの魔法と、あたしの魂がリンクしてたみたいでね。ちょっとだけ“命”を分けて もらっちゃった」
スイ:「……よかった、本当によかった……!」
シン:「……ごめん、助けられなくて……!」
クリナ:「は? 助けられてるけど? それに、次は“あたしが”守る番だよ。約束する。ね?」
彼女の小さな拳が、シンの胸に“ぽん”と当たった。
そのぬくもりが、シンの心を再び燃え上がらせる。
3,それぞれの覚悟
その頃、ユイナとレイは異空間の裂け目で調査中だった。
ユイナ:「クロノ……絶対に許さない」
レイ:「うん。……でも、私たちだけじゃ届かない。シンが必要だよ」
ユイナ:「だから、信じてる。……次は、負けないって」
レイ:「うん」
空を見上げる彼女たちの目は、確かな決意で光っていた。
4,修行の始まり
その日の夕方。
病室に戻ってきたユイナとレイが見たのは、包帯を巻いたまま立ち上がるシンの姿だった。
ユイナ:「シンくん……!」
シン:「行こう。俺たちの修行は、ここから始まる」
レイ:「無茶だけはやめなさいよ?」
シン:「うん。でも、もう……次は絶対に負けない。兄ちゃんを“救う”ために」
ユイナ:「……任せて」
スイ:「みんなで、戦おう」
クリナ:「ふふっ、やっと本番って感じだね!」
レイ:「目的地は、“零界の奥底”……《虚無の心臓》よ。伝説の魔導士が眠る場所。そこで ……“突破口”を掴むの」
シンは拳を握りしめ、力強く頷いた。
シン:「―行こう、最後の戦いの準備に」
こうして、彼らの《世界危機編(第1章・最終編)》への第一歩が、今、動き出す。
次回―
新たな魔法について。




