第59話『兄弟の涙』
1,未完成のままで、立ち上がれ
シン:「俺は、お前らみたいな“完成”なんか、いらない!」
その声が《Ωノ塔》の空間に反響し、
まるで次元そのものを震わせるように波紋が広がる。
―俺は、“未完成”のままで、いい!!
漆黒の虚空を引き裂き、
その叫びに呼応するように、塔の中心が軋んだ。
重力が狂い、空間がねじれ、
白と黒のエネルギーがせめぎ合う中―
グラヴィが、静かに嗤った。
グラヴィ:「……そうか。ならば証明してみせろよ、“不完全な存在”の力を」
グラヴィ:「“完成された進化”と、“未完成な希望”。どちらが―上かを!」
彼の背後に、漆黒の羽が広がり、
その瞳に映るのは、“選別”の覚悟。
そして次の瞬間―
塔が震え、記憶の光が溢れ出す。
シン:「……っ!?これは……!」
視界いっぱいに映し出されたのは、
懐かしいぬくもりを感じる光景だった。
《アリア=ルクシオ》と《アラン=アークライド》の出会い、
そして始まる、家族の物語。
彼らは、世界に背を向けてでも手を取り合った。
2,出会いと、“進化”の決断
アリアは幻の精霊と契約した魔法使い。
アランは、魔法の戦士であり、魔法工学の研究者だった。
二人は異端として出会い―
“神を超える意志”として恋に落ちた。
アリア:【私は…この腐った世の中を…この世界を変えたい。でも、そのために誰かを犠牲にはしたくない】
アラン:【なら、選ぼう。命ではなく、希望の進化を】
そこで生まれたのが―E細胞と、Ω細胞。
【進化の可能性】と【存在の拒絶】。
そして、彼らは子を授かる。
それが―クロノ、グラヴィ、ネクロ、クリナ、そして末弟・シン。
3,家族の崩壊と裏切り
だが、進化に惹かれた者たちは、家族すら利用する。
世界は“Ω細胞”を恐れた。
ルクシオ家の抹消を政府が命じたその時―
クロノが、裏切った。
クロノ:【僕は、家族を守ったつもりだった。……けど……父さんの言葉が邪魔だった】
アラン:【進化は“選択”の上にあるべき。強制するものじゃない】
クロノ:【…だから、僕は君を殺したいんだよ。アラン】
映像の中で、クロノがアランを闇に落とすシーンが映る。
ユイナ:「そんな……!」
レイ:「クロノ……お前……」
4. グラヴィの涙
グラヴィは目を伏せて、苦しそうに言葉を吐いた。
グラヴィ:「俺は……止められなかった。クロノを……兄として信じたから」
彼の瞳から、ひとすじの涙が落ちる。
グラヴィ:「だけど、俺もシンも、クリナも、ネクロも……“選ばされただけ”だったんだ」
スイ:「……選ばせなかった世界が……許せない……」
レイ:「でもだからって……!」
グラヴィ:「だからこそ、俺は“君を超えて”みせる。シン―」
その目は、再び戦いの光を宿す。
5,シンの叫び
シン:「…………」
映像がすべて消えた瞬間、シンの身体が揺れる。
頭を押さえながら、唸るように声を漏らす。
全てが繋がった。
進化。
呪い。
破壊と創造。
そして“家族の崩壊”。
ユイナ:「シン……?」
シン:「俺は……Ω細胞を持って生まれた“最後の子”……!だけど……だけど、家族を壊す ために生きてきたんじゃない!!」
目の奥に宿る、凄絶な光。
シン:「俺は―俺たちの“願い”を、繋げるために戦う!!!」
6,死神の顕現
グラヴィの身体から、重力魔法と死神魔法が融合し暴走する。
宙に浮かび、巨大な黒の鎌が出現。
グラヴィ:「死神魔法........黒鎌.......」
塔の重力が崩れ、すべての物体が空中に引き上げられる。
グラヴィ:「この戦いは、“進化”の選別だ。終わらせてやるよ、最弱のΩ細胞」
シン:「やれるもんなら、やってみろよ!!」
次回―
真実を知ったシンたち。
再戦開始!




