第58話『終焉の家系《ルクシオ》』
1,ルクシオの“始まり”
空間に浮かぶ、古びた魔導書。
それは、ルクシオ家の最初の記録だった。
クロノの手が魔導書をなぞると、そこから“記憶映像”が浮かび上がる。
クロノ:「始めようか、“終焉”の回顧を」
―遥か昔。
世界がまだ、神と魔法に支配されていた頃。
一族に呪いを持ち込んだ、魔女がいた。
その魔女の名は―ルシア=ルクシオ。
死と重力の魔法を操り、神に抗い、異端とされた存在。
だが彼女は、神と交わり、**“進化”**という概念の鍵を手に入れる。
グラヴィ:「私はそのルシアの力を受け継いだ。僕たちはその血を、正しく継いだ“器”なん だ」
映像の中で、ルシアの遺志は次の者たちに引き継がれていった。
“進化”とは神すら超える魔法の起源
そして時代が流れ―
アリア=ルクシオとアラン=アークライドが出会い、
【E細胞】【Ω細胞】という概念が誕生する。
アラン:「アリア……僕は“感情の進化”を信じたいんだ」
アリア:「なら、未来の子どもたちに……託しましょう。愛と、選択を。」
ユイナ:「じゃあ……E細胞もΩ細胞も、愛から生まれたってこと……?」
クロノ:「そう。そして、その源になったのが、宇宙から飛来しただが“結果”がどうかは、別問題だ」
2,Ω細胞計画
クロノは冷たい声で言い放つ。
クロノ:「Ω細胞の真価は、“神殺し”」
Ω細胞とは、万物の法則を“拒絶”する遺伝子。
魔法も、物理も、運命すら覆す“存在の進化”。
クロノ:「君は今、進化の途中だ、シン。君のΩ細胞はまだ“眠っている”」
スイ:「……シンは、道具なんかじゃない!」
クロノ:「違うよ、スイくん。彼は“鍵”なんだよ。僕たち兄弟の中で唯一、最終進化形……Ω・E に届ける“選ばれし器”」
グラヴィ:「だからこそ……僕たちはずっと、君のことを見ていた」
映像に映るのは、かつてのクリナ。
ネクロとシンの小さな頃の姿もあった。
シン:「……ッ」
胸をかきむしるような想い。
優しかったあの時間が、すべて“前提”だったことを突きつけられる。
3,家族の“選択”
重い沈黙の中―
グラヴィ:「……それでも僕は、君に嫉妬したよ、シン」
シン:「……え?」
グラヴィはゆっくりと鎌を下ろし、笑う。
それは、どこか哀しい兄の顔だった。
グラヴィ:「僕にはなかったんだ。“誰かに守られたい”って願いが。だけど君は、それを捨てずに強くなった」
ユイナ:「……グラヴィ……」
レイ:「……じゃあ……まだ引き返せる……!」
グラヴィ:「それはどうかな―クロノ?」
クロノは目を閉じて、冷たく言う。
クロノ:「ここから先は、“家族ごっこ”で語れる領域じゃない」
空間が振動した。
崩れた“記憶領域”の奥から、黒い塔のようなものが現れる。
クロノ:「シン。来るがいい。そこに、“お前の存在理由”がある」
4,封印された神域《Ωノ塔》へ
空間が歪み、黒の塔へと全員が吸い寄せられる。
足元は浮遊し、空間が逆巻く。
そこは、世界の外に存在する“異次元”。
クロノ:「ここが、《Ωノ塔》。世界の“根”を封じた領域だ」
スイ:「……何をしようとしてるの?」
グラヴィ:「“進化”の完成だよ。世界を一度リセットし、“進化した者たち”だけの楽園を築く」
レイ:「……シンに拒否されてもやるつもりなの?」
クロノ:「そのために君たちがいる。選ばれた“進化者”―もはや人ではない存在だ」
静かに、塔の中の核が輝き出す。
その光に触れたとき、シンの中で―
何かが目覚めた。
5,再起動する“運命”
シンの身体が浮かび、瞳に緑と金の混ざった光が宿る。
脳内に、無数の記憶と声が響いた。
アリア(母)の声。
アラン(父)の微笑み。
クリナの泣き顔。
ネクロの背中。
グラヴィの寂しげな横顔。
クロノの冷たい微笑。
そして―仲間たちの声。
スイ:「シン、戻ってこい!」
ユイナ:「あなたは……シンなんだから!」
レイ:「私たちは、あんたを信じてる!!」
―シンの心が、叫ぶ。
シン:「誰が、Ωになんてなるかよ!!!」
閃光が、塔の中を焼き尽くした。
クロノ:「……進化の“拒絶”だと?」
シン:「俺は、お前らみたいな“完成”なんか、いらない!」
―俺は、“未完成”のままで、いい!!
次回―
塔の深部で明かされる、父と母の“最後の選択”。
そしてクロノが語る、“ある衝撃の真実”とは―?




