第44話『代償と交差する思い』
1,進化の“代償”
夜明け前の静寂。
傷ついた身体を休めるシンは、焚き火の傍で微睡んでいた。
ユイナ:「……大丈夫なの?」
彼女の問いに、シンは答えない。
額にはうっすらと冷や汗。
皮膚の一部は、まだ鱗のまま戻っていない。
その様子に、ユイナは不安を覚える。
ユイナ:「……あの力は、“全部あなた”なの?」
シン:「……いや、ちがう。“俺じゃないもの”が、俺の中にいる」
そう言ったシンの瞳には、今までにない“恐れ”があった。
2,「第二の細胞」
眠りの中、シンは夢を見る。
炎に包まれた黒い海―
そこに、異形の存在が立っていた。
尻尾は三本、角があり、金色の瞳。
それは“獣”ではない。
“神の失敗作”のような、禍々しい存在だった。
???:「……次は、俺の番だ」
シン:「お前は……誰だ……」
???:「お前の中にある、もう一つの進化。《Ω細胞》……生き残るだけじゃない。喰らい尽くし、支配するための進化だ」
目が覚める。
シンの心臓は、強く脈打っていた。
3,ユイナの揺れる想い
その日、ユイナは水を汲みに一人で森を歩いていた。
ユイナ:《……さっきの夢で、私、シンのこと……“守りたい”って思った》
思い返すと、頬が少し熱くなる。
と、その時。
背後に気配。
ユイナ:「誰!?」
立っていたのは、小柄な女の子。
柔らかい金髪に、大きな瞳。
―スイだった。
スイ:「あなた……ユイナ、だよね。少し、話そう」
4,スイの“本音”
焚き火のそば。スイとユイナが向かい合う。
スイ:「シンのこと、どう思ってるの?」
ユイナ:「えっ……それって……」
スイ:「私はね、ずっとシンの隣にいた。でも、“好き”とか“恋”って、分かんなかった。でも……今は、少しだけ分かる気がする」
ユイナは言葉を失う。
だが、その心の奥には―同じ想いが灯り始めていた。
5,もう一人の少女、レイ
一方その頃。
離れた修行場にいるレイは、魔法の鍛錬を続けていた。
炎の魔力を剣に変え、舞い続ける。
レイ:「……シンが戻る時、今より強くなってなきゃ。私も、隣に立てない……」
遠くの空を見上げながら、そっと微笑む。
その目には、少しの嫉妬と、強い決意が宿っていた。
6,影の会話
闇の帳の下、別の場所で。
ネクロ:「E細胞……あれが奴の力か」
クリナ:「でもでも、まだ“本性”が見えてない感じだよね〜。もう一つ、あるんでしょ?」
グラヴィ:「ああ。“Ω”(オメガ)だ。あれは、世界を変える」
グラヴィは、不気味な微笑を浮かべながら、ある“鍵”を取り出した。
グラヴィ:「次は、“覚醒”の場を用意してやろう。全ては、“再誕”のために」
7,シンの内なる対話
再び夜。
独り木の根元に座るシンは、空を見上げる。
カイラが肩に寄り添って、囁いた。
カイラ:「……怖い?」
シン:「ああ、正直な。でも……今は、誰かを“守る”って決めたから」
ふと風が吹き、焚き火が揺れる。
その炎の奥に、かすかに“金色の瞳”が光った気がした―
次回―
ついに、動き出す!?




