第25話『破壊の獣ラグ=ノクス』
1,アルナスの森へ
精霊たちの記憶が眠る“封印の森”。
今、その中心に広がる《断界の領域》では、重力の法則も、時間の流れも、すでに破綻していた。
空は軋み、大地は波打ち、空間そのものが泡のように弾けている。
ゼルグ:「……見ろ。封印が完全に解けちまってるな。ラグ=ノクスは、目覚めた」 三人の視線の先、
空間の中心で、静かに佇む“それ”がいた。
巨大な獣。
だが、ただの生物ではない。
背には棘状に伸びた“木々の触手”、黒と銀が入り混じる不定形の体躯。
その中央に、歪んだ目が三つ―
不揃いに開いたまま、彼らを見下ろしていた。 ……そして、口を開いた。
ラグ=ノクス:「ずいぶん長く……静かだった。だが、ようやく来たか。新しき“観測者”たち よ」
シン:「しゃべった……!? こいつ、意志を持ってるのか!?」
ラグ=ノクス:「意志? フフ……違う。“意思”すらも壊す存在、それが私だ。だが、今回は少し―“遊ぼう”。」
そう言うと、ラグ=ノクスは頭を傾け、
ゆっくりと、仮面を顔に装着した。
白く輝く仮面―
鹿の枝角と羊のねじれ角が融合した、不気味な意匠。
そして静かに、口を開く。
ラグ=ノクス:「さあ―始めよう。世界を賭けて」
その瞬間、空が砕けた。
2,開戦
音もなく崩れる空間。
重力の中心が反転し、地が裂け、森がねじれる。
三人は咄嗟に身構える。
スイ:「っ……空間そのものが歪んでる! 精霊たちの気配も……乱れてる!」
レイ:「鼓動が狂う……まるで、生きた悪夢みたい……!」
ゼルグ:「油断すんな! こいつは“魔力”じゃない。時間、空間、存在、記憶―全部を喰ら う“災害”だ!」
そして、ラグ=ノクスが動いた。
その歩みは重くもなく、速くもない。ただ、空間の常識が、彼の歩みに合わせて崩れていく。
シン:「だったら、壊される前に……やるしかねぇ!」
三人が動き出す―!
シン:「霊魂+反魔法......零響の咆哮......................!!」
スイ:「精霊同化.....水+風精霊魔法............アクアテンペスト....!」
レイ:「悪魔同化モード レグルス....雷魔法...雷迅槍...!!」
だが―
そのすべてが、空間の裂け目に“吸い込まれて”いく。
シン:「通らねぇ!? こいつ、“攻撃される”って概念すら否定してやがるのか!?」 ラグ=ノクスは、穏やかに笑った。
ラグ=ノクス:「さあ、楽しいね。壊し、奪い、飲み込む。 “抗い”は最高の余興。だが―」
その仮面に、かすかに“黒”の筋が浮かぶ。
ラグ=ノクス:「覚えておくといい。お前たちは……もう、“壊される側”なのだ」 ―世界が、ひしゃげる。
次回―
厄災が起きる。




