第186話『本当の最終決戦・前夜』
1,目覚め
暗転。
重たい鼓動のように、場面は静かに立ち上がる。
イツキの瞼が、ゆっくりと開いた。
イツキ:「……ここは……どこだ……」
ミリ:「……よかった……本当に、よかった……!」
——そこは、かつて見たことのないような場所だった。
半球状の魔法結界に覆われた、巨大な空間。
周囲には数百万人単位の人々が整然と避難しており、
高次魔法障壁と、各国の魔法帝たちが展開する広域結界が全体を守っていた—
クロ:「超大型避難所だよ。世界各国の全人口が集められてる……ここが最後の砦なんだ」
クロ:「あの場から、ザミール魔法帝が幻影空間で一時的に転送したの。全員、一時離脱し たんだ」
セナ:「でも、アダイブは止めきれなかった。ノウスの胎動が……もう、聞こえてる」
イツキ:「……ノウス……」
脳裏に浮かぶ、あの“歪な声”と、シンの「ノウスが…」という言葉。
イツキ:「……まだ終わってないな。俺は、また立たなきゃ」
2,作戦会議:最終防衛戦略会議・開始
巨大な円卓に集まったのは、六国の魔法帝と、イツキたち“創世戦団”。
大陸を統べる最強の魔導師たちが、一堂に会する。
ノルディア魔法帝/リゲル=ヴォルグ
沈着な声で語る。
リゲル:「最重要目標はただ一つ。避難所の結界を守りきることだ。」
ザミール魔法帝/ラザール=アモン
砂と幻影を操る策略家。
ラザール:「敵の攪乱・幻影操作は私に任せてくれ。奴らの視界を曇らせ、混乱を誘導する。」
アルティナ魔法帝/ティア=ネフィリム
慈愛と秩序の魔導姫。
ティア:「結界の維持に必要な神魔法・霊魂精霊魔法・創世魔法は私とイツキたちで支えるわ。」
カラン王国魔法帝/バルト=ヴェステル
前線の守護神。
バルト:「正面でぶつかるなら任せろ。どんな化け物でも押し返してやる!」
ナダリア連邦魔法帝/ミレイユ=フォルテ
静かに微笑む癒し手。
ミレイユ:「癒しの術式は張り巡らせてある。どんな損傷でも即座に再生へ導きましょう。」
シュルタリア帝国魔法帝/カロン=リュミナス
重力を操る戦略者。
カロン:「次元の歪みは私が調整する。ノウスの接近をいち早く感じ取り、迎撃態勢を整え
よう。」
すると、レイが言う。
レイ:「人を喰い、魔を喰らい、次の“星”そのものへと進化する存在だって……」
スイ:「つまり……ここが、最初で最後の“守るべき場所”だってことよね」
戦場はすでに定められた。
ここで勝てなければ、人類は喰われ、地球そのものが“存在”として消される。
バルト:「あの“ノウス”ってのは、どんな姿をしてやがるんだ?」
イツキ:「……まだ、俺たちも正体を知らない」
クロ:「ただ……あの“声”を聞いた瞬間、空間が反転した。理屈じゃない。あれは、“存在そのものの拒絶”だ」
ティア:「……それが、オリジン・ノウス。この世界の理を超えた、“始まりにして終わり”……」
ロッシュ:「イツキ、お前に使える魔法は?」
イツキ:「……星天魔法は、まだ使えない。精魂を削りすぎた。でも、悪神魔法・創竜魔法・ 万有魔法は使える。 それと……神魔法・創世魔法・霊魂精霊魔法は、避難所の結界に“張り付けたまま”だ」
ミリ:「つまり……“今のイツキ”は、攻撃に特化してるってことね」
クロ:「全隊、配置につこう。あいつは……必ず、ここに来る」
3,配置完了・防衛陣形成
各国の軍団、魔導騎士団、特殊部隊が結界外周に展開。
前線にはイツキたち創世戦団、魔法帝たちが一列に立つ。
ザミール:「全隊、配置完了。敵影出現時、全魔法帝が第一波を受け持つ」
カロン:「……次元崩壊に備えた“落下領域”も設置完了。」
レイ:「第1〜10避難所。防衛体制入りました。」
スイ:「第11〜20避難所も〜」
ユイナ:「第21〜30避難所も」
ロッシュ:「世界人口は70億人......どの避難所も最低2億人はいる...絶対に守り抜く ぞ!!」
全員:「おう!!!!」
そして、避難所の中心塔の上に、静かに立つイツキ。
イツキ:《星を喰らう……神を超えた、歪な意志……それが、オリジン・ノウス……》
空が……泣き叫ぶように裂けた。
4,シンとノウス、現る
黒い霧の中から、2つの影が姿を現す。
片方は、全身を禍々しい骨と魔金で覆った獣神のような姿。
重厚な咆哮とともに、雷と黒炎を纏っている。
もう片方は、無音のまま滑るように浮かぶ人型の影。
透き通るような存在なのに、見ているだけで心が削られる異様さ。
イツキ:「……シン……っ!」
ミリ:「もう一人……あれが、ノウス……!?」
クロ:「見て……まるで主従のように、並んで……!」
まるで、共に星を滅ぼす意思を持つ双頭の怪物——
“シン”と“オリジン・ノウス”が、ついに地上に降臨した。
シン:「……命脈尽きるまで、喰らい続けろ。“俺たち”の喰らうは、因果そのものだ……」
ノウスは浮遊している。
ノウス:「……始めようか。“因果葬送”を」
避難所の空が、赤黒く染まる。
神の時代が終わる。
次回——
本当の最後の戦いが、ついに幕を開ける。




