第17話『記憶の深流』
1,ルナリスの言葉
風の精霊シルフィルとの契約と“精霊同化”を果たした夜―
スイの前に、青白き霧とともに現れた水馬・ルナリス。
彼女とはすでに契約を交わしている。
だがその力を“技”として扱うには、心の奥底に踏み込まねばならない。
ルナリス:「水はすべてを映す。“心の揺らぎ”すらもな。 お前が抱える過去と恐れ―それらを見つめることが、力の鍵となる」
スイは静かにうなずくと、ルナリスの導きで薄霧に包まれた水辺へと足を踏み入れる。
周囲の景色が一変し、水面が鏡のように輝き出す。
映っていたのは―過去の自分。
幼いスイ:「なんで私だけ、精霊が見えるの……?」
村人たち:「気味が悪い」「呪われてるんじゃないか……?」
かつて、精霊の声を聞けるという異能ゆえに、周囲から疎まれた記憶。 そして、それでも誰かの力になりたくて、笑ってみせた自分。
スイ:「……忘れてないよ。でも、あのときの私は、“怖い”って思ってた」
面に手をかざすと、次に現れたのは―今の仲間たち。
シン、レイ、そしてゼルグ。
かつては誰にも言えなかった本当の気持ちが、少しずつ言葉になり始めていた。
スイ:「わたし、本当はずっと寂しかった。誰かに“怖くない”って、言ってほしかっただけだった……」
その言葉とともに、水面が静かに揺れる。
水がスイの身体を包み込み、ルナリスの声が響く。
ルナリス:「よく見つめたな、自らの“記憶”と“感情”を。今こそ与えよう―“水技”の真なる力 を!!」
2,精霊同化
スイの身体に淡く水色の紋が浮かび、精霊の力と心が完全に同調する。
ルナリス:「これは“水精霊同化第二段階”。
《心流結界》――水が、心を守る盾となる魔法だ」
水の魔力がスイの周囲を循環し、まるで感情そのものが防御結界を形成していく。
スイ:「……あたたかい。これが……私の心と水の繋がり」
そこへ、試練の最終段階として、水の魔力から生まれた幻影が襲いかかる。 幻影はかつての“怒り”や“悲しみ”の具現。
だが、スイは逃げず、静かにその攻撃を受け止める。
スイ:「私はもう、過去に飲まれない。私が私であるために、前に進む―!」
両手を構え、風と水の魔力を融合させた複合魔法が発動。
スイ:「風+水精霊魔法.............風水連波陣.........!!」
回転する水の奔流が風の刃と重なり、幻影を吹き飛ばす!
水面が静まり返り、霧が晴れる。
ルナリス:「よくぞ乗り越えた、スイ。お前は今や、風と水、両精霊との真なる絆を手にした」
スイ:「ありがとう、ルナリス。私はもう、怖くないよ」
その目には迷いがなかった。
風も水も、過去も未来も―すべて自分の一部として受け入れたのだ。
そして、霧の奥に新たな扉が現れる。
スイ:「……次が、最後の試練」
その扉の向こうには、“精霊同化・最終段階”に至る最後の試練が待ち受けていた。
次回―
次回、
スイの最終試練へ!!