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第16話『風は心を映す』

1,本音

風の精霊・セリファとの契約から数日が経った。

スイは森の奥にある断崖に立ち、吹き荒れる突風の中で修行に励んでいた。

セリファ:「風の力は、単なる刃ではない。流れ、揺らぎ、そして―導く力だ。だが、いま の君は……“焦り”で風を乱している」

スイ:「……わかってる。でも、私はもう“立ち止まれない”の。皆に追いつくためにも、もっと、 早く……!」

風が激しく逆巻き、スイの周囲に突風が集まっていく。

しかし、それは制御不能な暴風となり、彼女の身体を吹き飛ばした。

スイ:「くっ……!」

地面に転がり、肩を打つ。だがスイはすぐに立ち上がった。

セリファ:「その焦燥は風を乱す。“力”ではなく、“心”を整えなければ、風は君の敵となる だろう」

その言葉に、スイは言葉を失う。

自分の焦りは、心の乱れとなって魔法に現れている。

彼女の脳裏に浮かぶのは、シンとレイの姿。

──2人はどんどん前に進んでいる。

──私だけ、足を引っ張っているんじゃないか……?

スイ:「……本当は、怖かったんだ。置いていかれるのが、誰かを失うのが。だけど……!」

両手を広げ、風を感じる。自然の流れ、リズム、静かな鼓動。

スイ:「私は、“私の風”を信じる。誰かと比べるためじゃない。私は―“自分の風”で、誰か を守りたいから!」

その瞬間、風がふわりと優しく吹き抜けた。

今までの暴風ではない、穏やかで確かな風。

セリファ:「……その心だ。今、君は“風と心を重ねた”」

目を閉じ、スイは風に耳を澄ませた。

―静かな鼓動。

―小鳥の羽ばたき。

―木々のざわめき。

スイ:「……風は、語ってたんだ……ずっと……」

スイは優しく両手を広げた。

スイ:「風よ……私と、在れ!!」

2,精霊同化スピリット・ダイブ!!

その瞬間、彼女の身体に淡い翠光が灯り、風の魔紋が肌に浮かび上がる。 彼女の髪が軽く舞い、瞳が翡翠色に染まった。

セリファ:「……それが“精霊同化スピリット・ダイブ”の初期段階。“共鳴”だ。お前は風と 一つになり始めた」

スイは宙に舞い上がり、風の流れと完全に調和する。

彼女の周囲を魔法陣が取り巻き、風がその指先に集まる。

スイ:「...........風精霊魔法...........穿風ノ刃...!」

螺旋の風が、空間を切り裂く。

それは力任せの風ではなく、“意志を導く風”だった。

セリファ:「ようやく、お前は“風そのもの”となった。これで……次の段階に進める」

その言葉にスイは深く頷く。

3,研ぎ澄まされた精神

スイは目を閉じて座った。

風との同化で研ぎ澄まされた感覚が、彼女の中に静かに広がっていた。

スイ:「……来る」

大地が波打ち、水の気配が森の奥から忍び寄る。

空気が冷たくなり、幻想的な水音が響いた。

スイが進むと、霧の奥から現れたのは―

透き通る身体に水流のたてがみをたなびかせる、美しき幻獣。

スイ:「……来たね、ルナリス」

大地が静かに波打ち、水音が鼓動のように響く。

契約を交わした水の精霊・ルナリスが、霧の中から優雅に現れる。

その姿は、たてがみが水流で揺れる、美しき幻獣・水馬。

ルナリス:【風の試練を超え、ようやく次へ進む覚悟ができたようだな。だが、我が“水の技”を真に使いこなすには、心の深流を知る必要がある】

スイ:「わたし、やるよ。ルナリスの力を……私自身の力に変えるために」

ルナリスがうなずき、水面が広がるように足元の大地が淡く光る。

そこに、スイの“心の揺らぎ”が試される試練が始まろうとしていた。

ルナリス:【では、“技の深奥”を示そう。水はただ形を変えるだけのものではない―“記憶” と“感情”を映す魔力だ】

次回―

スイ、次なる試練へ!

水の心と技を極める戦いが、今、始まる!


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