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第15話『水馬・ルナリス』

1,幻獣の瞳

月光の下、白い靄が森を包み、静けさがあたりを支配していた。

焚き火の赤い光が揺れる中、スイはただ一人、青白い霧の中を進む。

スイ:「風の試練が“心を見つめること”だったなら……水は、何を見せるんだろう」 霧の向こうに姿を現したのは、湖の化身のような幻獣

―水馬・ルナリス。

その身体は水晶のように透き通り、たてがみは水流となって絶えず揺れている。

ルナリスは言葉ではなく、“波紋”のようにスイの心に直接語りかけてきた。

ルナリス:【お前の“流れ”を見せろ。止まりゆくものに、水は応じない】

スイ:「“流れ”? ……私の、心?」

その瞬間、霧が濃くなり―世界は、スイの内面へと飲み込まれていった。

2,静けさの中の声

水中のような無音の空間に浮かぶスイの意識。

スイの隣には“もう一人の自分”が立っていた。

幻影のスイ:「ねえ、あなたは本当に誰かの力になれると思ってるの?」

スイ:「……なれるようになりたいって思ってる」

幻影のスイ:「そう思ってるうちは、まだ“自分の弱さ”を抱えたままだよ」

幼い頃、兄のような人を水難事故で失った記憶―

その恐怖と無力感は、今も心の奥底に沈んでいた。

スイ:「私は、ずっと怖かった……また失うのが。だから、“精霊”の力に頼ることで、自分を 隠そうとしてたのかもしれない」

スイは胸に手を当て、目を閉じた。

スイ:「でも、それでも私は……“流れ”を止めない。誰かのために進みたい。怖くても、傷つ いても、それが私の“流れ”だから……!」

その言葉に呼応するように、湖が輝きを放ち、世界が崩れはじめる。

3,水と心が繋がる時

現実世界に戻ると、ルナリスが彼女をじっと見つめていた。

その瞳には、かすかな慈しみが宿っていた。

スイ:「私はまだ未熟かもしれない。でも、ちゃんと流れていく。止まらない、あきらめない。……だから」

スイはそっと手を差し出した。

スイ:「あなたの力を、貸して。あなたと一緒に、流れていきたい」

ルナリスのたてがみがふわりと舞い、水しぶきのようにスイの身体を包み込む。

ルナリス:【ならば、我が名を預けよう。水精霊獣・ルナリス。その流れ、共にあろう】

その瞬間、水がスイの胸元に紋章を描き、彼女の中に“水”の魔力が静かに溶け込んだ。

スイ:「ありがとう……ルナリス。私、あなたと一緒にもっと強くなるよ」

ルナリスは、穏やかに水しぶきを上げて応えた。

これから、水と風の試練が始まる―。

次回―

水の精霊•ルナリスと契約したスイ。

新たな試練へ!!

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