第147話『時間の檻』
1,静止した世界
霧に包まれた空間。そこには音がなかった。
時間すらも凍ったような、灰色の世界。
イツキは、目を覚ました自分に気づく。
イツキ:「……ここは?」
声が空間に吸い込まれるように消えていく。
そのとき、前方に現れたのは“スイ”──ではない。
──それは、幼い頃のイツキだった。
幼イツキ:「何で……俺を見捨てたの?」
イツキ:「……!」
幼イツキ:「あのとき、誰も助けてくれなかった。だから俺は──時間を止めてほしかった」
イツキは立ちすくむ。
その瞬間、空間が揺らぎ、“スイ”の声が響く。
スイ:「ここは《ラプセオン》の内部。あんたの“時の檻”──つまり、過去に閉じ込めた記憶の 底よ」
2,ラプセオンとの対峙
突如、空間の中心に現れた、黒衣の悪魔。目は歪んだ時計のように揺れていた。
ラプセオン:「人は、過去の檻に囚われ、未来を拒む。お前に問う──“未来を壊しても過去 に戻りたい”か?」
イツキは答えず、拳を握った。
イツキ:「俺は……どっちも許さない。“過去に閉じ込められること”も、“未来を諦めること” も!」
ラプセオンの瞳が瞬いた。次の瞬間、空間が反転し──
イツキは自分の“失敗の記憶”の中へと投げ込まれる。
ミヅキの死、父・シンとの決裂
ラプセオン:「これが、時の呪いだ。逃れたければ、“時間”と契約しろ。だが代償は──“君の 過去”だ」
3,イツキの選択
涙を流す子どもの自分。
イツキは静かに跪き、その小さな肩に手を置いた。
イツキ:「お前がいたから、今がある。忘れない...........けど、ここにずっといちゃダメ だ..........一緒に、前に進もう」
幼イツキの瞳が、かすかに光る。
ラプセオン:「……ふむ。ならば与えよう。“時の支配”──時間魔法を.....」
時計が砕け、空間が歪む。
ラプセオンが黒き鎌を差し出すように姿を消す。
ラプセオン:「ただし気をつけろ。“時間”は、過去を癒すが、未来を壊すこともある──」
イツキは目を開けた。そこは現実。
彼の掌には、黒銀の光を纏う魔法陣が刻まれていた。
4,スイの言葉
スイ:「見事だったね。君は“時間”に飲まれなかった」
イツキ:「……でも、クッッソ重い.....時間魔法って、こんなに……」
スイは頷き、空を見上げた。
スイ:「“重さ”を背負った者しか、未来を掴めない。それが時間の理。次は──“万有”の話を しよう」
雷ではない、光でもない。
今、イツキは“時”を編む力を手に入れた。
だが、それはまだ始まりに過ぎなかった──
次回──
新たな魔法へ!!!




