第146話『戻りし者たち』
1,再び、“日本がない世界線”へ
光とともに、空間が歪んだ。
一歩、また一歩──イツキたちは時空を渡り、《日本が存在しない世界線》へと戻ってきた。
セナ:「ここが……イツキたちの、世界……?」
ミリ:「空気が違う……でも、どこか懐かしい感じがする」
クロは警戒を緩めず周囲を見回す。
クロ:「魔力濃度は安定してる。けど……何かいるぞ」
その時──風がうなり、波が揺れ、雷の残響が空を貫くように届いた。
スイ:「──早かったね、イツキ」
水面の上に立ち、風を纏って現れたのはスイ。
その後ろに、雷をまとったレイ、白い衣を翻すユイナ。
そして炎の翼を携えた大柄な男、ロッ シュが姿を現した。
イツキ:「……みんな....ごめん...俺...親父を....」
レイはイツキの頭を無言で撫でる。
レイ:「いいのよ...イツキ.........」
ユイナは微笑み、スイが一歩前に出る。
スイ:「まずは、話を聞かせて。どれだけ世界が歪んでいるのかを──」
イツキたちは、シンが“因子”を生み出していたこと、封印されていた理由、アダムス因子、ミ ヅキの死、そして闇落ちの真実まで、すべてを語った。
──話が終わる頃、辺りは完全な静寂に包まれていた。
スイ:「……シンが、あんな約束をしてたなんてね」
レイ:「“神を超えろ”か。.....皮肉な話だ。自分がその“神”になってしまったんだから」
ロッシュは目を伏せる。
ロッシュ:「あいつが俺に“魔法大帝”を押しつけてきたのは……そんな理由だったか」
クロが言う。
クロ:「あ...あと!!.....シンさんの体とか見た感じ...完全体になるのは....まだだった........」
沈黙を破ったのは、ユイナの声だった。
ユイナ:「それなら──なおさら私たちの役目は決まってるわ。あなたたちに、全てを託す」
スイ:「……その代わり、今から“死ぬほど”鍛えるからね。覚悟して」
雷が再び鳴り響く。
ここから、本当の稽古が始まる。
2,稽古の開始──それぞれの師と弟子
・イツキ × スイ
スイが右手を掲げると、時空の水鏡が開かれる。
スイ:「教えるのは三つ。時間魔法の悪魔。万有魔法。そして──イツキ自身の “オリジナル魔法”。全てを統べる鍵.......」
イツキ:「俺の……魔法?」
スイ:「そう。あんただけの、運命を超える術。それを創れ。」
・ミリ × レイ
ミリの雷が再び暴れ始めると、レイが空中から降り立つ。
レイ:「……まだ甘いな。雷は“爆ぜる”だけじゃない。破壊、跳躍、螺旋、静寂、怒り。そして 制御。全てを教えてあげる。私のの雷でね」
ミリ:「受けて立つわ。私は雷を、使いこなす」
・セナ × ユイナ
セナが静かに立つと、ユイナは微笑んだ。
ユイナ:「君は……“実験体”だったのね。だったら教えるわ、幻創と因子の融合。君の“因 子”──《転生の炎獣・フェニックス》も、呼び覚まして」
セナ:「私はまだ足りない。だから、力をください」
・クロ × ロッシュ
ロッシュが静かに帽子を傾ける。
ロッシュ:「……お前も、かつて“施設”にいたらしいな」
クロ:「……ああ。生き残った、だけだ」
ロッシュ:「違う。“生き抜いた”んだ。なら教えよう。“支援の魔術”と、君の《星聖魔法》を使っ た技。そして、もう一つ因子を手に入れろ。《天翔の聖獣・ユニペガス》。お前ならできる」
3,それぞれの決意
稽古が始まる。
悪魔と精霊、災害、古代、そして時間・宇宙の力を操る者。
雷を縦横に飛び回る者。
幻と炎を超越する者。
そして、支援と星の因果を紡ぐ者。
戦いは近い。
だがそれ以上に、“今ここ”が、未来を変える鍵となる。
最後に、ロッシュがポツリと呟いた。
ロッシュ:「……シンはな、本当は、誰より“弱さ”を恐れてたんだよ」
──その言葉の意味を、イツキはまだ知らなかった。
次回──
稽古・始まる。




