第143話『毒牙と咆哮』
1,神官庁幹部・白蛇
旧施設から抜け出したイツキたちは、《因子研究施設》の封印区画へと向かう。
だがその中継地、“虚環の断層”と呼ばれる深淵の裂け目にて、神官庁の幹 部・白蛇が立ち塞がった。
白蛇は全身を薄く光る鱗に包み、異質な笑みを浮かべていた。
白蛇:「ここを通るわけにはいかない。“八雷神因子”の器も、“第18因子”の遺児も──全て、 廃棄処分だ」
イツキが剣を構える。だが、白蛇は手を振るだけで、空気中に毒をばらまいた。
白蛇:「ふふ……“魂毒”。霊魂ごと腐らせる毒だ。君たちの正義も、意志も……溶かしてあ げよう」
クロが急いで結界を展開するが、毒は内側から精神を侵食していく。
クロ:「……くそっ、この毒……外じゃなくて....“心”から……!」
イツキが膝をつき、セナも視界を歪ませながら必死に抵抗する。
セナ:「くっ……イツキ……ミリ、下がって……っ!」
イツキ:「しくった....力が入らねぇ......ミリ... 逃げ....ろ」
ミリが叫ぶ
ミリ:「イツキ!!!!」
2,ミリの“雷”が反応する
そのときだった。ミリの胸の紋章が激しく脈動する。
ミリ:「なに……この感じ……脳に直接、雷が走ってるみたい……!」
サンダーの声がミリの中に響く。
サンダー:「“死雷”に対抗できるのは、“衝撃雷”だけではない。“精神”に干渉する雷を、呼び 起こせ」
ミリの瞳が光を宿し、雷の翼が背に広がる。
ミリ:「……もう、やられるのは嫌なの。あんたの毒で、みんなの心まで曇らせない……!」
3,“咆吼弾・改”──雷の意志
ミリが前に踏み出す。
白蛇:「ほう、また出るのか? ならば……全力で“絶望”を見せてやろ──」
バチンッ!!
その瞬間、空間が“鳴った”。
雷と音が融合した咆哮が、白蛇の精神波を完全に打ち消す。
ミリ:「“咆吼弾・改──ブレイク・サンダー!!”」
広域に拡散する雷音が魂毒を霧散させ、クロの結界が正常に再構築される。
白蛇が後退しながら呻く。
白蛇:「なに……精神領域まで、雷で……!? そんな干渉、ありえない……!」
ミリ:「ありえるよ。私が選ぶ雷は、“壊す”だけじゃない。“守る”た めの雷なんだ!!」
セナ:「ミリ……すごい、本当に……」
イツキがゆっくりと立ち上がり、目を細める。
イツキ:「お前の雷、頼りにしてるよ」
ミリは、ちょっとだけ頬を赤らめながら言う。
ミリ:「……なによ、いきなり。そういうの、油断するから……バカ」
クロ:「照れてる場合か。行くぞ、今度こそ“封印区画”へ」
雷が地を照らし、仲間たちはさらに深き禁域へと向かって走り出した。
次回──
謎の女性、現る。




