第142話『雷の精霊・サンダー』
空気にはまだ、雷撃の余韻が残っていた。
1,ミリの力
イツキたちは一時的に包囲を突破し、廃棄された旧施設の地下へと身を隠していた。
ミリは膝をつき、荒い呼吸を繰り返している。
セナ:「大丈夫……ミリ?」
セナが寄り添い、そっと手を添える。
ミリ:「……うん。もう平気。なんだろ……身体の奥に、何かが……繋がってる感じがする」
ミリは自分の胸元に触れた。雷の紋章が、かすかに光を放っている。
クロが周囲に結界を張りながら言った。
クロ:「今の一撃は“衝撃雷”。八雷神因子のうち、ひとつが目覚めたな」
ミリはその言葉に目を見開いた。
ミリ:「“八雷神因子”……やっぱり、それが私の中にあるの……?」
その時、空間が揺らいだ。
雷鳴とともに現れたのは、一対の雷翼を持つ精霊。
人の姿を取りながらも、その気配はあまりにも“雷”そのものだった。
クロ:「……現れたな」
クロが警戒の視線を向ける。
2,雷の精霊・サンダー
サンダー:「我が名は、雷の精霊..サンダー」
重く、威厳のある声が施設の奥に響く。
ミリ:「お前が、私の中に……いたの?」
ミリが問いかけると、サンダーは首を横に振った。
サンダー:「否。お前が“我々”の器である。雷を喚び、因子を繋ぐ核そのもの。お前の覚醒 は、他の因子をも呼び覚ます」
イツキ:「他の……因子?」
イツキが訊き返すと、サンダーは言葉を続ける。
サンダー:「“衝撃雷”は始まりに過ぎん。“火雷”、“風雷”、“鉄雷”、“死雷”、“獣雷”、“連鎖雷” ──そして“純粋雷”」
サンダー:「お前が覚醒するたび、世界は雷に試される。選ぶがいい。破壊か、創造か
3,ミリの答え
ミリはしばらく沈黙していたが、やがて小さく笑った。
ミリ:「私は“壊す”よ。この世界が捨てた、実験体なんて言葉。運命だとか、器だとか……全 部、自分の手でぶち壊す」
雷紋が再び輝き始め、ミリの目が鋭く光る。
ミリ:「その上で……私は、仲間と生きる。そう決めたの」
セナが隣で微笑む。
セナ:「そうよ。あんたは“仲間”よ、ミリ。もうひとりじゃない」
その瞬間、施設の上層で爆発音が轟いた。
クロが急ぎ天井を見上げる。
クロ:「追手がここまで来た。時間がない」
イツキが立ち上がり、剣を構える。
イツキ:「行くぞ、全員。ここを抜けて、親父のところへ向かう」
セナ:「わかった!」
ミリが雷をまといながら頷く。
ミリ:「雷は、もう逃げない」
光が走る。雷霊の羽根が広がる。
次回──
雷とともに、戦いは次の段階へと進む!




