第137話『神・眠りし座』
静寂な神殿の奥。薄暗い大理石の間に、異形たちの影が揺れる。
その中央──巨大な「石像」が鎮座していた。
1,敵の話
その像は、どこか“ヒト”に似た姿──だが、目を閉じ、両腕を封印の鎖で縛られていた。
神官長・ツクモ:「……因子がすべて、消えた?」
神官:「……はい。観測結果からも間違いありません。 すべての因子反応が、イツキ・アークライドの“降臨”と同時に……完全消滅しました」
ザワ…ザワ…
神官庁の最高幹部たち──
その姿は日本神話に語られる神獣・妖獣たちの面影を持っていた。
八咫烏:「……“神”が来たというわけか」
九尾:「違う。“神殺し”の方だ。第十八因子……“人間”」
白蛇:「皮肉だな……かつての主の息子が、我らを滅ぼすとは」
麒麟:「イツキ……奴が“完全覚醒”する前に、潰すべきだろう」
ツクモ:「フ……我らを造りし元となる“神”。 その力を抽出し、“因子”として分け与えた……それが我らの始まり。だが、“人間”が現れた ことで、全てが消滅…ならば──」
???:「……ようやく……来たか……」
石像から、かすかな声が漏れる。
幹部たちは一斉に頭を下げた。
ツクモ:「お目覚めですか……我らが“???”さま……」
石像の目が、うっすらと開かれる──
その瞳の奥に宿る光は、かつて世界を救った“神”のものと同じ……
だが、どこか虚ろで、深 い闇を宿していた。
???:「イツキ……か……」
その名を口にした瞬間、空間がわずかにひび割れる。
ツクモ:「記憶は完全ではないようですね……ですが、イツキは貴方を“取り戻す”ためにこ の世界へ来ました。 それは、貴方が最も……忌むべき“希望”そのもの」
???:「……上等だ……」
その呟きに、幹部たちの背筋が凍る。
それはまさに、“あの少年”の口癖……。
八咫烏:《まさか……記憶が、リンクしている!?》
白蛇:《危険すぎる……このままでは、両者が接触すれば…》
ツクモ:「……ご安心を。“アダイブ”様がすべてを潰してくださいますゆえ」
その名を聞いたとたん、石像の目が揺れた。
???:「……あれは、失敗作だ」
神官庁幹部たちの表情が凍りつく。
その声には──かつて《???????》と呼ばれた男の片鱗が、確かにあった。
次回──
逃げる神殺し。




