第134話『ヒトとして、ヒトへ』
1,静かな朝、世界は始まる
因子戦争が終わってから、2年と3ヶ月が経った。
人類は再び歩き出し、街には光が戻っていた。
瓦礫だった首都も修復され、新たな都市“ネオ・ユグド”が人々の拠点となっていた。
第4部隊の面々は、それぞれの道を進んでいた。
スイは、精霊との共生法を記した「因子再生協会」を設立し、教師に。
レイは、廃棄された旧因子兵器の管理官として暗躍中。
ユイナは、遺伝因子研究の第一人者として精霊たちと対話を続けている。
アネモネとカリナとミゼルは、平和維持隊の司令部として各地を奔走していた。
——けれど、誰もがどこかで「彼」を想っていた。
2,そして、“それ”は空から来た
ある夜。
ユイナとスイが、因子観測所で異常反応を察知する。
上空で“因子の鼓動”のようなものが震えていた。
スイ:「また…この反応……2年前、あの日と……同じ」
ユイナ:「でも違う……これは……もっと“幼い”…?」
そのとき、光の粒が夜空から舞い、スイの腕の中へと一人の赤子が落ちてきた。
その赤子は**“人間”の因子**を持ち
そして――右目に、“黒と赤の渦”が揺れていた。
3,誰の子か、何のために生まれたか
静かな日々の中で、赤子は“イツキ”と名付けられた。
泣きもせず、よく笑うその子は、誰かを思い出させる顔をしていた。
スイは気づいていた。
この子の因子反応は、かつてのシンと“酷似”している。
そして、全ての魔力に対して完全な適応と拒絶を示す――
“第18因子:ニンゲン”。
ユイナ:「まるで、もう一度……世界に、チャンスが来たみたい」
4,静かな別れ、確かな継承
夜。
誰もいない研究所の奥で、スイはひとり、赤子を抱いて空を見上げる。
スイ:「……あなたは今、どこにいるの……?」
スイ:「ねえ、ちゃんと……見てるよね、シン」
そして――
遠く、誰にも聞こえない場所で
確かに微笑むような“声”が、スイの心にだけ響いた。
『……ありがとう。あとは……たのんだ』
—風が吹く。
空は穏やかで、夜は優しくて、未来は始まったばかりだった。
5,最後
研究所の書庫。
シンがかつて使っていた部屋の机に、古びた一冊の本が置かれている。
『因子録:第0章』
ページが開かれ、最後にこう記されていた。
「そして、“ヒト”は神を越え、また“ヒト”となる」
— 赤子・イツキがゆっくりと目を開ける。
その瞳には、神々しい“光”と“闇”が共に宿っていた。
そして——
どこか遠くで、太鼓の音が鳴り響いた。
神因の気配が、この世界を、この時間を、この空間を“越えて”――
次回――
最終章・突入!!!




