第126話『地球核層』
1,地球の叫び
その日――
空が砕けた。
重力が逆巻き、空間が捻じれ、世界がひとつ“下”へと沈むような感覚が走った。
アダムとイブは動いた。
その行き先は、地球最深――惑星の核層。
そこは星の魂が眠る場所。
人類が誰一人として到達したことのない、“神々のための座”――
その時から、地球は変貌を始める。
大気は異常に安定し、火山活動が止まり、重力線が歪み始めた。
それは「再構築の始まり」。 地球という惑星を、“別の世界”に書き換える儀式。
2,第4部隊
薄暗い地中トンネルを、第4部隊の特殊機動艇が進む。
ミゼルが端末を見つめながらつぶやく。
ミゼル:「……ここ、本当に地球なの……?」
温度は30度を超え、外の岩肌は発光している。
赤く染まった“根源鉱層”。そこは因子濃度が限界突破した区域。
レイ:「因子密度、通常の2000倍……生きてるのが奇跡だよ、これ」
カリナ:「ここに……“創造主”がいるのね」
アネモネ:「つまり地球の心臓……いや、“楽園の裏側”か」
そこに、AIナビゲーターが警告を発する。
AI:「接近警告。観測不可能な重力井戸に進入。以後、通常空間から遮断されます」
シン:「地球の本当の顔――見せてもらおうか」
3,中間層
特殊装甲艇が岩盤を突破すると、広がるのは想像を絶する光景だった。
宙に浮かぶ無数の球体。
そこには、“かつての神”の遺体――第0因子に至るまでに失敗した旧神たちが眠っていた。
ユイナ:「これって……因子の“原型”……」
スイ:「進化の死体……ね」
そして中央、巨大な階段のような断層が見えてくる。
まるで“神殿”のように整えられた空間。
その最奥に、膨大な因子の渦――アダムとイブの融合体が脈動している。
4,緊楽園に至る者
到着と同時に、重圧が全身を貫く。
視界が揺れ、時間が歪み、意識が空に浮くような錯覚。
だが、シンは静かに立ち上がる。
そして――背後の空間が割れる。
そこから現れたのは、白と金の輪郭を持つ巨大な構造物。
それは、シンの因子核が拡張された姿―― 《因子原典コア・アダムス》
それは第1〜第17因子の源流そのもの。
それぞれの因子が“記憶”として記録されており、シンの意志で他者に分与できる。
ミゼル、カリナ、アネモネ、スイ、レイ、ユイナがシンの前に並ぶ。
彼女たちは、戦うために“因子の記憶”を必要としていた。
そこで、シンが左手を空に掲げ、因子の紋様が天空に浮かぶ
◯ミゼル
シン:「ミゼル……お前には“光”が似合う。第13因子と第12因子、翼と希望を.....」
白銀の翼が彼女の背から発現する。
ミゼル:「……あたし、飛べる……!」
◯カリナ
シン:「カリナ、お前の怒りと理性は、戦略の炎だ。第11因子。吸収と反撃の瞳を」
カリナの両目に螺旋の模様が浮かぶ。
カリナ:「これで、何が来ても見逃さないわ」
◯アネモネ
シン:「アネモネ……お前の火は、誰よりも獣だ。第8因子。暴走を、制御しろ」
彼女の体に白虎の紋様が走る。
アネモネ:「あーもう、胸が熱いってば……!やってやんよ!!」
◯スイ
シン:「スイ、お前には“変化”が宿る。第4因子。あらゆる壁を、泳げ」
スイの腕に鰭状の装甲が発現。
スイ:「これで、どこにでも潜れるってわけだね」
◯レイ
シン:「レイ……お前の視点は、いつも高い。第14因子。空と炎を纏え」
狐の尾が揺れ、雲の装飾が足元に現れる。
レイ:「空飛ぶとか、楽しすぎでしょ。最高」
◯ユイナ
シン:「ユイナ……お前には、静かなる力がある。第5因子。収束の力、頼む」
彼女の手に、青い結晶が集まり、アーマーの形を取る。
ユイナ:「……まだ戦える。ありがとう、シン」
そして、全員の背に因子の紋が輝く。
それは魔法を持たない世界で、再び手に入れた“可能性の力”だった。
シン:「行こう。お前たちとなら、“神”だろうと倒せる」
「「ああ!!!」」
7人の因子保持者たちが、地球の最深部へと歩みを進める。
それは、最初で最後の**“神殺し”**。
次回――
新しい神話の幕開け。楽園か、終末か。




