第10話『覚醒への渇望』
1,怯え
異形の反魔獣を前に、立ち尽くすシン
ゼルグ:「怯えたか? それがお前の敵だ。そして、お前自身でもある」
シン:「……俺自身?」
ゼルグ:「“反魔法”とは、ただ打ち消す力じゃない。“抗う意志”そのものだ。だが、それは己 をも傷つける。忘れるな―お前が斬るべきものは、他人だけじゃない」 反魔獣が咆哮し、黒い雷を纏った魔力で襲いかかる
シン:「うおおおッ!!」
シンは必死に回避しながら斬りかかるが、剣がすり抜ける
ゼルグ:「こいつは“自我を持った拒絶”だ。中途半端な覚悟じゃ通じねぇ!」 父の死、スイとレイとの出会い、旅立ちの決意
シン:「俺は……誰かの“守りたい”を守るために、ここにいるんだァァァ!!」
反魔獣の動きが止まる。シンの刀が輝き出す
刀が淡く光り、再びゼルグの気配が現れる
ゼルグ:「少しは前に進んだな、シン。いいか、この一撃だけ“本物の反魔”を貸す。お前の 意思で、打ち砕け」
刀に黒きなにかが力が宿る
シン:「俺は……俺自身の“力”を見つける! いけぇぇッ!!!」
強烈な斬撃が反魔獣を貫き、霧とともに消える
ゼルグ:「その感覚、忘れんな。“力”に飲まれるな。“力”を導け。それが……お前の修行の 本質だ」
シン:「……まだいける。もっと、強くなる!」
すると、反魔獣はさらに怒り狂い、その姿を第二段階へと変貌させる。 地響きを立てながら、異形の反魔獣がゆっくりとその巨体を動かし、シンに攻撃をする。
シン:「ハァッ……ハァッ……こいつ、一発一発が重すぎる……!」
ゼルグ:「言っただろう。これは“意思”を試す試練だ。ただの力じゃ突破できねぇ」 シン:「だったら……だったら、“悪魔同化(デビル•ダイブ)”なら――!」
ゼルグ:「……なに?」
シンは、刀を逆手に握ると、刃に手を添えて静かに囁いた。
シン:「俺の中に、来い。お前の力を……俺自身に刻む!」
ゼルグ:「バカな……それをやれば、お前の魂が―!」
だがシンの意思は固かった。刀が闇の光を帯び、ゼルグの魔力がシンの体へと流れ込 む。
ゼルグ:「やめろ!!その同化は、まだ完成してない!“悪魔”と“人間”は混ざらねぇ!!」
シン:「でもやるしかねぇんだよ……今、こいつを超えなきゃ……未来も守れない!!」 黒き魔紋がシンの身体に走り、瞳が淡く紅く輝く―
彼の肉体とゼルグの魔力が一つになったとき、空間そのものが震えた。
ゼルグ:《こいつ……俺の魔力に飲まれずに、融合を……!? いや、違う……あの“怒り”と “悲しみ”を抱えた瞳……まるで昔の、俺のようじゃねぇか……》
シン:「行くぞ……これが、俺の“決意”だ!!」
“悪魔同化(デビル•ダイブ)”発動―
シンの刀に、黒き雷が走る!
反魔獣:「ギアァアアッ!!」
刀が激突し、反魔獣の一角を打ち砕いた。
ゼルグ:「……やっちまったな、ガキ」
そして、反魔獣はさらに怒り狂い、その姿を第三段階へと変貌させる。
ゼルグ:「チッ……まだ終わりじゃねぇぞ、シン。ここからが本番だ」
シン:「上等だ……! だったら―全部、超えてやる!!」
次回―「魂の試練」第三段階、開幕。