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死への恐怖
「そうですね……、大切な命が失われるかもしれないんですから――、そうですよね、当然ですよ」
「僕みたいに弱ってる人間は、そのままどんどん死んでしまうでしょうからね。だからみんな心配しすぎるくらい心配してくれて、イヤだなあうっとうしいなあと思ったり。けどそれでもさびしいとかそばにいて欲しいとか思ったり、子供みたいで恥ずかしいですけど」
「いえ、青沼君は立派ですよ。中学生とは思えないぐらい、とても」
「ありがとうございます先生。あっ、もうそろそろうちの家族がやってくる時間です」
「長引いちゃいましたね」
「弟にはこういう話聞かせたくないんですよ。――僕と同じように心臓の病気があるので」
「ええ、聞いてます。大変ですね」
「あいつは割と平気かもしれないですけど。「いっかいだけならヘーキヘーキ」と前から言ってますし」
「ははっ。頼もしいですね」
死への恐怖、死から逃れたいと思う気持ち、そう言ったものを告白する人間は珍しくない。病院において実際に接した人の中にも。
それは死んだ事があるかないか関係なかった。




