あいまいで不安定
「平常運転だな。いつも通り弱った人間を食い物に――、クソみたいなやつらだ」
「おっ……おお。意見は全面的に賛成ですけど、思想が強いですね」
「うちの両親はそれで離婚してるからな」
「あっ、そうなんですか。それは――」
「父親の方がそうで、怪しげな新興宗教にはまってね。別れてからは正気を取り戻してくれたらしいけど、今更どうにもならないからな」
「何て言うか、大変でしたね」
「まあもう過去の事だから」
「そういう考え方のがマシな気分ですよ」
「そうだろうな」
「とは言いましてもねー、中々厄介な事もありまして」
「うん?」
「現在進行形ってやつですよー。いまだに死んでしまった後の事務処理終わってないんですよ」
「え⁉ まだ終わってないのか?」
「マジで面倒ですよー。役所もうちの病院も保険会社も、どうすればいいのか詳細が固まっていないみたいなんで、一回言われたとおりに申請してもそれを覆されるのはしょっちゅうで。それで他が決まってないと処理進められないとか、元になる申請がやっぱり変えなければいけないとかになったら連鎖してどんどん対応変えてかなければいけなくて」
「あいまいなままになっていたツケだけど、大変だな」
「それと――半分しかない、ってどういう事ですかね」
「何? そんな風に言われたのか?」
「そんなのしょっちゅうですよ。どれだけ僕の繊細な心が傷ついたか」
「なんかそう言う事言うから同情しづらいんだよな」




