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これからについて考える

          *



 五か月後、昼、食堂。


「見出しで想像してたよりいろいろ書いてますね」

「あんまり机いっぱいに新聞広げるなよ」

「いいじゃないですか今ほとんど誰もいないし、休憩室は時間が遅くなったせいで休憩が被って人口密度高いし」

「はあ」

「とりあえず半分にはしときますよ。大昔の満員電車では八つ折りぐらいにして何とか読むテクニックあったらしいっすね」

「もう見ることないな。今だとスマホでいけるからな。……珍しいな、スマホ弄らないの」

「通信制限かかってるんで」

「あ、そう」

「たまには紙もいいっすね。エコですよ」

「森林伐採」

「細かいっすねー。そんなんじゃモテないですよ」

「じゃあお前は」

「うーん、多少は」

「あ、そう」

「冷たいですね。それはそうと新聞も久しぶりに見ると結構読んじゃいますね」

「面白い?」

「勉強になります。偉そうな肩書の、多分本当に偉い人達が『ダブル』になってからどんな社会になって、どういう課題が出てくるか色々と述べている感じです」

「ああ。――そう言うの読んでも平気なのか? 金井は」

「別に悩んでも何か良くなるわけでもないですし、時間も割と立ちましたからもう受け入れてますよ」

「そうか。それなら良かったけど」

「いわゆるアーリーアダプターですからね」

「何だその覚えたばっかの言葉を使いたがっているようなそれは」

「……へへ」

「まあ調子良さそうで安心したけど。それで、何が勉強になったんだ?」

「うーん、色々ありますけど、この学者がコメントの最後に書いてる『人の命の数が変わっても、命を大切に思い慈しむ価値観は変わらない、変えてはいけない』とかですね。ありきたりだし僕でも言えそうな言葉ですけど、大事だと思います」

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