ほんの片思い
橋本結菜の物語
カルキ臭い10代の物語ep.36「ひにんします」の裏側
私は愛されない。
心に形を決めて生きることにした。
母も姉も妹だって私に無関心だった。
私が恋をしたのはイヤホンのリレーをしたからじゃない。
遠くの、私の背のはるかかなた先を見て、風景にとしてさえ映してくれないだろうに…あの人を私が見つけてしまったからだ。
髪を金に染めた。
この色を目指さないと生きた記憶が誰にも残らないだろうから。
彼に半疑問で聞いた。
「彼女が好きなんだ?」と。
「運命かな」なんて聞いたら黙るしかないじゃない。
それなのに、彼の横で眠ったら心のいろいろなものが軽くなった。
だからまた。
大事な場面で私の運命は囁く。
私は愛されない。
あんな二人を見たから、私はますます運命が嫌いになる。
気遣うような微妙な距離感に立つ女友達たちと、まだ肌寒い夕暮れを歩いていた。
私は彼女たちと同化しているように見えるのだろうか。こんな孤独な心を抱いていたとしても。