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孤独の魔女と導かれし運命の子  作者: 桜橋あかね


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第30話 『導かれし運命の先は』

『……バーリさん』


聞き覚えのある声がして、バーリは目を開ける。

目の前には小さな河が流れており、向こう岸に一人の姿が見えた。


「ヨルン、よね」


バーリがそう言うと、ヨルンは頷いた。

そして、徐々に思い出した。


―――『島』で起きた、一連の出来事を。


「もしかして、この河って」


バーリが聞くと、ヨルンは少し俯いた。

『そう、ここは()()()()()だよ』


それを聞いた途端、バーリは胸が締め付けられるような感じがした。

「ヨルン、本当に……助けられなくて、ごめんね」


ヨルンは、首を横に振る。


『これは仕方がない事だよ。僕の運命だから……だから』


そして、こちらに目線を移す。

『僕の分まで、バーリさんやお姉さんには生きていて欲しい。それを、最期に言いたかったんだ』


バーリは、目から涙が溢れるのが分かった。


「分かったよ、ヨルン」


その言葉を聞いて、ヨルンは笑顔を見せた。

『それじゃあ、そろそろ行かなきゃ』


ヨルンは背を向いて、歩き始める。

そしてバーリの目線は少しずつ暗くなる。


「ヨルン、私は貴方と出逢えて良かったわ!」


バーリがそう言うと、ヨルンは振り向き手を振った。

それを見届けたかと思うと、完全に目の前が暗くなった。


▫▫▫


メオドーリエが、バーリが居る病室へやって来た。

ミハルが付き添っており、彼に気が付くと会釈をする。


「バーリ様のご様子は」

「容態は相変わらず、です」


事が終わると、すぐに医術師の所へバーリは運ばれた。

傷は一ヵ所で深かったが、臓器の上を掠めていたと聞いている。


「臓器に直接傷を負わなかったのが唯一の救い、でしたね」

メオドーリエが言うと、ミハルは頷いた。


その会話をしていると、バーリが目を覚ました。


「……生きて、る」

そうバーリが呟く。


「目を覚まされましたか、バーリ殿!」

ミハルが言うと、バーリは頷いた。


「それでは、(わたくし)はヨシドラ様に目を覚ました事をお伝えします。ミハル様は、あの事をお伝え出来ますか」


メオドーリエが言うと、ミハルは頷いた。


▪▪▪


「ミハル、さん」

バーリが、ミハルにそう言う。


「何でしょうか、バーリ殿」

「さっきね、ヨルンが現れたの。私とミハルさんには、自分の分まで生きて欲しいって」


ミハルは、バーリの手を握る。


「そう、でしたか。ヨルン殿にそう言われたのであれば、精一杯生きなければ」

そう伝えると、バーリは頷く。


「……それと、ヨシドラ殿から伝言をお伝えしなければ」


忘れ去られた島(バテ・ネンネーゼ)』の事を、ミハルは話し出す。


▫▫▫


かつて、グロラ・モノントスの信仰として『島』の存在があったと言われている。

―――だが、いつしか信仰が薄れてきて『島』へ来る人々が少なくなった。


グロラ・モノントスがかつて戦ったとされる、今は無き種族の『悪魔』が信仰の薄れた『島』の存在を封印する術を掛けたという。


何度も封印を解こうとしたのだが、『悪魔』の力が強い『島』には誰も近付く事が出来ない。


それを見かねた神々は、封印を解く為に『魔女』と『運命ノ子(ヴァルディ)』を造りだしたという。


▫▫▫


「でも、どうして私達の前は、封印を解けなかったのかしら」

バーリはそう呟く。


「ヨシドラ殿がさらに言っていた事は、十までの『預言』を言わないと封印が解けないと言っていました。が、道中で片方が亡くなるとかして、叶わなかったとの事です」

と、ミハルは付け足す。


「それじゃ、私とヨルンが……この悪循環から脱したのね」

そうバーリが言うと、ミハルは頷いた。


悪循環を脱したのは良いものの、あの『島』はどうなるのか。

それが気になり、バーリはミハルに聞いてみた。


「あの『島』は、また信仰の場として再開出来るようにヨシドラ殿が働きかけています。ご心配なく」


それを聞いたバーリは、安堵した。

私とヨルンの戦いが、無駄にならずに済んだことを―――

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