第22話 『きっと、いつか』
直前に『預言』があったものの、無事にキードへと着いた。
(んー、ここまで長かったわね)
街を歩きながら、バーリはそう思っていた。
紆余曲折な旅だったものの、難なく来れたのは旅を共にした二人のお陰だろう。
まあ、その旅は『予定外な結末』を迎えるかもしれないけど。
「……バーリ殿」
ふと、ミハルが小声でバーリに言う。
「どうしたんです、ミハルさん」
「さっきから、ヨルン殿の様子がおかしくて」
その言葉で、バーリはヨルンの方を見た。
『預言』前より、元気が無いように見える。
「お昼を食べてから、どうしたか聞いてみますね」
バーリがそう言うと、ミハルは頷いた。
▫▫▫
お昼を食べ終わり、バーリはヨルンを街の丘へ連れてきた。
そこにある休憩小屋の椅子へ二人は座る。
少しの沈黙後、バーリは口を開く。
「……単刀直入に聞くよ。さっきから元気が無いように見えるけど、何かあった?」
ヨルンは目線をずらす。
「その、言って良いのかな」
バーリはヨルンの頭を優しく撫でる。
「何を今更、よ。言わないと気持ちが晴れないわ」
その言葉で、ヨルンはバーリの方を見上げる。
―――何だか、不安そうな眼をしている。
「あの預言からね、変な胸騒ぎがして」
「胸騒ぎ?」
ヨルンの眼が、涙ながらになる。
「……僕自身が、消えてしまいそうで。何が何だか……」
(不安なのか、それとも……)
この様子を見る限り、不安とは違う『何か』のように見える。
これから起きる事を『示唆』しているのだろうか。
「さっき言った通り、私はヨルンを守る。けれどね」
もう一度、頭を撫でる。
「……これから、何が起こるか私にも分からない」
ヨルンは口唇を噛み締める。
「私かヨルンは……もしくは二人共、『忘れ去られた島』で死ぬかもしれない」
……これは、本当に最悪の事態を想定した言葉だ。
いくら守りきるとは言え、『何かの手違い』で二人も死ぬかもしれないのだ。
「ごめんね、励ましにはなってないけれど」
その言葉に、ヨルンは俯いて首を横に振る。
「その、バーリさんも心配なんだなって」
「ヨルン、あのね」
「……はい」
再び、二人は目線を合わす。
「この事が終わればの話だけど……きっと、いつかね、私やヨルンのような『違う人種』を見下す世界は終わると思う」
「……えっ?」
思いがけない言葉にヨルンは驚く。
「この事が終われば、新しい世界線になるって話をしたでしょ?そうしたら、皆平等に扱ってくれるんじゃないかなって思うようにしている。そう思うと、不安が大きくても希望は見える。だから……」
バーリはヨルンを抱きしめる。
「また、私達と過ごせるかもしれない。そう思うようにしましょ……」
▪▪▪
外で待っていたミハルと合流する。
「だ、大丈夫でしたか?バーリ殿」
「ええ、何とか」
先程の事を、ミハルに話す。
「……いくら幼き子でも、そのような不安を抱くのですね」
少し困った顔をしながら、ミハルが言う。
―――『預言ノ子』だからこその感性もあるだろう。
それも伝えると、ミハルは頷く。
「何がともあれ、これからの『預言』には気を引き締めないとね」
「はい」
こうして、キードの宿へと向かっていった。




