第4話『もう何もかもやけくそだ―ッ!』の巻
海猫を操る謎の女性に妖怪変術の儀式を見破られ、幸いにも妖怪化する危機を免れることのできた古利根沼平八郎!何故彼女は別れ際に聞いた彼の名に反応し、泣き崩れてしまったのか?「も、もしかして平八つぁんの元カノ?」「それとも懐かしい小学校時代の恩師の先生?」「イヤイヤ『湖血』ファンクラブ会員番号5963(←「ひゃー懐かしいですなぁ!」)の女性?」「何言ってやがる!この人こそ我こそは先の副将軍天下の水戸…」ハイハイ、受け狙いのナレーターは放っといてさっさと本題に進みませう!(←「アンタ、誰?」)
平八郎はあれ以来決してあの日の出来事を振り返ることなく、元来た道を真っ直ぐと山道に沿ってただ只管歩き続けた。あの日の出来事、それは言うまでもなく“自分が妖怪化して人間界に復讐を遂げてやる!”などと言う短絡的バカげた発想、稚拙な思考そのものである。罪もない無関係な人間を痛めつけて一体どうなるというのか?それをやればまた必ず自分と同じように恨み辛みを持った奴らが暴動を起こし世の中全てが滅びる結果となることが目に見えて明らかだったから彼自身思い止まることができた。それ以外の何ものでもない。“辛い悲しみの連鎖反応はここでこの俺自身が食い止めてみせる!”そう判断できたのは他人と関わり合いの中で優しさ、思いやりの有難さを身を以て感じ取る能力が人一倍優れていた証!それこそが古利根沼平八郎の良さでもあり、また強みでもあった。
九十九里の浜辺から離れること約3時間、彼は今夜の寝床を探すべく水中寝台潜水艦に乗ってそこから遠く離れた埼玉県笠間市へ向かうとそこには華やかな歓楽街が軒を連ね、今日は土曜日ということもあって街中夜遅く人出で賑わっていた。彼は至って酒は飲まない主義を貫いて来たものの、空腹とストレス発散を兼ねて今日は珍しく人生初めての飲酒をした。勿論年齢的にも25歳を過ぎた良い大人であったから、さして問題は無いのだが…?そこはそこ、酔っ払うと自分が一体どうなるのかまではさすがの平八郎にも予測がつかなかったらしく、つい羽目を外し過ぎてしまい…?
「う、うひゃー、う…旨ぇや!世の中にこんな美味しい飲み物があったなんて…へぇ!し、知らなかったなぁ!“驚き、桃ノ木、僕、無邪気!”とはよく言ったもんだぜ!ハハハ!」
そう言うと立て続けにビール3杯、チーハイ5杯、ウイスキー2杯、甘酒1杯グイグイ、グイグイ…!とまぁ、誰が見たってどう見たって悪酔いコースそのものでものの見事にバーのカウンターであっけなくダウン!撃沈、超爆睡決め込む、古利根沼平八郎!彼は泥酔した夢の中である人物の名を何度も何度も連呼しては寝惚け眼で辺りをキョロキョロ!そして再び夢心地へと引き戻される始末!
『お、おい!ヌウマ!お前何やってんだよ、こんな所でさ!相変わらずバカやってんじゃねぇよ!てかお前さ?アヤメちゃんはどうしたんだよ?飴屋さんじゃねーよ!彼女の事だって!手料理の旨かった、あの女の子の事だよ!お前、もう忘れたのかい?しょうがない奴だなぁ、全く…!以前どっかの社員食堂(←「シーズン1です!」)とやらで研修生のバカ共が呪われたように暴れまくったシーンあったろ?彼女さ、恐怖の余り俺じゃなくてすぐお前の方に抱きついたじゃない?あの時俺はとっさに気付いたよ!ハハァ、そうか、そうか、アヤメちゃんのす…?』(←「以上寝言で―す!ワザとらしくカットして御免なさい!一応お約束なので…!」)
「ちょ、ちょっと、お客さん!起きて下さいな!もう閉店ですよ、閉店!起きて下さい!」
「ハ?あ、あれ?俺一体何やってんだ、こんな所で…って?うわぁーこれって酒じゃねぇか?ヤイ、オヤジ!何でこんな所に酒があんだよ!俺が酒が嫌いってこと知っての狼藉か?」(←「時代劇!」)
「知りませんよ、そんなこと!それよっかお客さん、飲み代払って下さいよ、今すぐ…!」
「分かったよ!ちぇ!払やいいんだろ、払えば!で、幾らすんの、ここの飲み代?」
と言い放った彼がバーテンダーから受け取った手書きのメモを見て思わず絶句!
「えーーーーーーーーーーーーー!こんな高けぇの、飲み代締めて20万円って?更に何だ?滞在時間オーバー+カウンター使用料含めて40万円だと?ふ、ふざけんなよ、てめえ、この俺がよそ者だと思ってバカにしてんのか!払うも何もこれって明らかにぼったっくりバーじゃねーか、この野郎!」
平八郎の怒りは頂点に達し、遂にマジ切れ状態!
「あれ、お客さん!払えないっておしゃるんで…?へぇ、そうですかい?それじゃ仕方ねぇ!オイ、野郎ども!お客さんお帰りだ!丁寧に送り出してやんな!」
先程まで丁寧な口調のバーテンダーが一瞬にして豹変!店の奥から見るからにガラの悪そうな屈強な体つきのチンピラ7~8人が睨んで平八郎を取り囲む事態に…!
「おぉ!Vシネマみたいで面白ぇ!やるってのかよ?かかって来いよ、この馬鹿ども!」
~この間はどうぞ皆さん、お好きな乱闘シーンをご想像して下さ―い!~
「ビシッ!バシッ!ボッコン!バラバラ!ドッカーン!ヤッホー!」(←「最後何それ?」)
とまぁ、最初は威勢のいい平八郎であったが、如何せん何しろ酒酔いと多勢に無勢!喧嘩の強い彼とて人間?イヤ失礼!魚人故パワーも半減、いや激減し呆気なくKO負け!哀れ店外へ放り出される始末へ!しかも思いっきり蹴飛ばされた上冷たい地面に仰向けに…。ここで本来なら通り縋りの心優しき乙女が勇気を振り絞って近づき「あの…大丈夫ですか?」って綺麗なハンカチ添えて介抱し思わず…“I’m falling love with you!”とラブロマンスが展開する筈が…?ところがどっこい寿司相撲!この物語の作者と来たら、のんびりと炬燵に入って…しかも後姿で寝転んでテレビ見ながらカッパチップス片手に大笑いしてる始末!(←「アンタそれでも作者かよ?ヌウマじゃないけど、ちゃんと仕事しろって!『プ―ッ!』って屁で返事すんじゃねぇ!うわぁ臭ぇ―ッ!」)
災難続きの古利根沼平八郎!ボロボロの服と殴られ蹴られ心身ともに傷つき、それでも渾身の力を振絞って立ち上がるも脚はフラフラと覚束ない足取り!可哀そうに二、三歩歩いてはよろよろと近くの柱に凭れ掛り、また必死に倒れまいと立ち上がるもダウン!(←「あ~ぁ見てらんねー!大丈夫かなぁ?この後まだシーンが続くというのに…?」)
そうこう繰り返し乍、街中を右に左に千鳥足の彼は繁華街を一人寂しく放浪しているとある一人の派手な服装をした女性とばったり遭遇し、擦れ違い様お互い肩が触れるというアクシデント勃発!二人とも即座に振り返り、お互い睨み合って…“はっけよーい残った、残った状態!”火花チラチラ感半端ない!やれやれ向かい酒ならぬ“向かい乱闘シーン第2幕”開催かぁ―?ヤ、ヤバイぞ!
「ちょっとアンタ!人にぶつかっといて何知らん顔してんのよ!謝りなさいよ!」
「あぁ?う、うるせぇなぁ!たかがちょっと当たっただけじゃねぇか?第一ぶつかって来たのはアンタの方だろ?何でこの俺が謝らなきゃなんねぇんだよ!ババア!(怒)」
「ちょっとババア!って…口汚いにも程があるわ!良い歳してアンタ言っていいことと悪いことの区別もできないの!呆れた!アンタ、余り見かけない顔だけど…一体どこから来たのよ?名前は?」
「古…古利根沼…平八郎だッ!何か文句有るだったら警察でもどこでも連れて行きやがれ!バカ野郎…チキショー!」そう言うとまた眩暈がしてフラフラと今にも後ろへと倒れそうな平八郎!
その言葉を聞いた途端、先程までコワい顔つきしてたその女性は思わず驚き、動揺してじっと彼を見つめ乍優しく何度もその名を確かめるよう繰り返し、うるうると涙目に…?
「あ…あなたが…あなたが…あの時生き別れた弟の…平八郎なのね!ハチロー!」
そう言うと彼女は力いっぱい傷だらけの彼を抱きしめた!
「え?え?え?そ、それじゃぁ…あ、あ、あなたが…ね、姉さん?お、俺がずーっと探し続けてた姉さん…なんですね?う、うそぉ!や、やった、やったぞーーーーーー!」
「うん、うん!ハ、ハチロー!大きくなったね!姉さん、嬉しいわ!」
「ね、ねぇちゃ―ん!ねぇちゃん、ねぇちゃん、ねぇ…ちゃ…ん…う、うわーーーーーん!」
そう言うと、平八郎は子供みたいにワンワンと泣きじゃくり姉を強く抱きしめていた。
1月末大寒に雪がチラチラ降り始める、深夜に起きた感動的一場面だった!
“Oh, how miracle!”(←「〇ム〇ム風ナレーターの城田優さんみたいな語り口でどーぞ!」)
それじゃあ次回もお楽しみに! のがみつか…?(←「ちょ、ちょいと待ったぁ!」「何ですか、ハゲ爺!」「誰が禿だよ?ヒゲ爺だろ、フツー?MHKの『ダー〇ィンが来た?』観てねぇかよ?」「イエイエ!サザ〇さんとセットで毎週観てますけどね!で、何かご不満でもハ〇ジィ!失礼!毛無し鶴林さん!」「もう頭部の話題に触れんじゃねぇ!…てか、“姉さん”って一体どっちの方か気になるでしょ?そこはさ、閲覧さんたちの気持ちもよーく察してあげて…ね!教えて上げても良んじゃね?“紫鶴”姉さん?それとも“百合花”姉さんの一体どっち?ねぇ?ねぇってば…?」
「………。」(←「スルーするな―ッ!プ―ッ!(笑) ウケた?」)
ハイ、それじゃ改めましてその件につきましては“次回のお楽しみ”ということで…!(←「セ、セコーイ!TVドラマかよ、引っ張るな―ッ!」
のがみつかさでした!またね!
とにかく皆さん!今が一番試練の時だと思いますのでお互い感染対策として密を避け、うがい、手洗い、マスク着用等専念して病魔に打ち勝とうじゃありませんか!医療関係者様を休ませるためにも!ぜひともご協力宜しくお願い申し上げます。