カンナとアヤメを巻き込みたい!
アイデアと魔法力が有れば
産業革命クラスの発展を
すぐにでも出来る様になるのではないか。
要はその人材を育成すれば良いだけの話しだ。
そしてそのアイデアを
現実化するシステムを構築すれば
短期間でかなりの発展が見込めるに違いない。
これが自分の導き出した結論である。
ハドソン兄弟との出会いは
その可能性を自分に知らしめた。
何も自分一人が頑張って
この世界を変えていく必要は無いのである。
自分一人で出来る事には限りがある。
それを展開してくれる人がいれば
いいだけの話しだ。
その力がハドソン弟には有った。
ハドソン兄には凝り性と言う
発明と展開能力が有る。
だったらこれを利用しない手は無い。
資金は有る。
後は二人の行動力を使って
どれだけの魔具を発明し
この世界に広めて
電気に変わる魔法具世界を構築するか。
その為には魔法使いの育成と商業化。
魔石を使った都市計画。
そこに行動力の有る
ハドソン兄弟を組み込めば
何とかなるに違いない。
そう方針さえ決まってしまえば
あとは実行有るのみ。
だが自分が一人で出来る事には
限界が有る。
ハドソン兄弟の二人に
学院計画まで任せる事は無理が有るし
多分不可能だろう。
神々の森での酒造りは公。
そして魔法学院を中心とした
文化都市計画が私。
どう考えても
人材育成を任せられる適任者は・・・
その為には
身近で手伝ってくれている
カンナとアヤメに先ず
今後の事を早急に相談すべきとの
そういう結論に至った。
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カンナとアヤメを目の前にして
自分は今後の計画を率直に話した。
「自分としては
今後魔法学校を作って
それを中核にした街を造って行こうと思う。
その為のおおよその段取りも
既に考えているんだけど
二人の意見を聞きたいんだ。
自分としては
カンナとアヤメにもこの計画に
協力して欲しいんだけど
これは二人の将来にも
関わって来る問題でもあるから
自分としては無理強いは出来ないし
多分これまでと全く違う生き方にもなる。
だから率直な意見を聞ませて欲しい。
二人が望むのなら
このまま店を続けて行っても構わないし
おそらくその方が収入も見込めるし
生活も安定して行けると思う。
今後の二人の恋愛や結婚を考えると
むしろその方が平穏な暮らしが出来る筈だ。
それに比べて
自分の考えている魔法学院都市計画は
王国を巻き込んだものになるし
苦労の連続になる事も間違い無い。
収入の保障も無いし
安定した生活を送れる保証も無い。
だから二人には
自分の将来も含めて考えて欲しい。
時間は有るし、今すぐに答えを欲しい訳でも
無いんだけど・・・」
そう話すとアヤメが
「魔法学院都市計画は、もう決めているんですか?
どういう計画でしょうか?」
そう聞いてくるので
「それは確定事項。
自分一人ででも始めようと考えている。
魔法と魔石を使った
新しい街を作って行こうと思っているからね。
魔法を商業利用するのさ。
喫茶室みたいな感じで。
そうすれば音楽とか芝居とか
そういうのを気軽に楽しめる街が
きっと作れるって考えてる。
でも自分一人では限界が有るから
魔法を使える人材が必要になってくる。
だから魔法学校を作って・・・」
そう言うとカンナが
「もう決めてるんですよね」
そう真顔で聞いてくるので
「もう決めてる。
先日来ていたハドソン兄弟を知ってから
これは出来そうだって思えたからね」
そう答えると
カンナとアヤメは互いに
「だったら私達は二人とも
オーナーに付いて行きますよ」
そう即答するので
むしろこっちがびっくりして
慌てて否定した。
「いやいや、今すぐの返事じゃなくていいんだ。
二人の将来にも関わる問題だから
時間を掛けて結論を出してくれて構わない」
そう言うとアヤメが
「二人でもう決めていた事なんです。
オーナーがどこに行こうとも
必ず二人で付いて行こうって・・・。
だって私達の命の恩人ですから
この先の人生はオーナーの役に立ちたいって
本当に二人で相談して考えていたんです。
私達はどこまでも付いて行きますよ。
お手伝いさせて下さい」
それを聞いて、少しだけの嬉しさと安堵が広がった。
カンナも頷くと
「私達はどこまでも付いて行きますからね。
覚悟して下さいよ」
「助かるよ、有難う」
そう言うと
自分は手を差し出し
二人と握手をする。
「これからもずっとオーナーに付いて行きますからね」
そうアヤメが言うとカンナも
「私達がオーナーを支えますから」
そう言って力強く手を握って来る。
だがカンナもアヤメも
気付いてはいなかった。
この言動が自分達の人生を
180度変える出来事だったとは
想像もしていなかったのである。
オーナーであるシンイチと
カンナとアヤメの関係性が
友人から師弟関係へと変化し
ステイタスボードに記された事を。
そしてその事が
自分達の人生に劇的な変化と地位を
もたらしてしまった事を・・・。
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二人の参加が正式に決まると
後は店舗の維持経営をどうするか
その問題だけであった。
一応後でノーラさんとシュリの二人にも
計画を打ち明けたのだが
ノーラさんは店に残る事を希望した。
「私は夫と子供達の事が有りますから
この店を続けたいと思っていますが
それで構いませんか?」
そう聞かれたので、すぐにOKを出した。
ノーラさんが魔法学院計画に参加するとは
最初から考えていなかったので
この店の経営は
まるまるノーラさんに任せる事にする。
その他の王国内の三店舗は
普通に店の担当者に任せっきりの状態で
順調に行っているので
これらはそのままで現状維持で有る。
シュリには喫茶店が有るので
それをそのまま任せようと
思っていたのだが
シュリは少し考えさせてくださいと
返答を保留した。
これは意外だった。
てっきり大喜びするものと考えていたからだ。
シュリには時間を与える事として
カンナとアヤメは
翌日から早速計画に取り掛かって貰う事になった。
先ずは東の荒れ地の入手。
またまた不動産屋へと無理難題を
持ちかける事になったのである。




