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神様に殺された!  作者: 猫めっき
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これまでと、これからと


神々の森の住人で

神酒の醸造所の責任者。


それが自分の立ち位置である。


だからカデナ王国の中では

自分は異邦人だ。

住人の権利を持たないし

基本的に王国民では無い。


ステイタスは、神々の伝道者。


この肩書は根無し草の自分には

便利な都合のイイ物でも有った。


自分がこの国で不審者扱いされないのは

このステイタスのお陰なのかも知れない。


カンナとアヤメに出会ったのは

偶然以外の何ものでも無い。

神々との交渉材料を見つける為に

森から出た時

たまたま人身御供の二人に出会ってしまった。


それが切っ掛けだった。


幸運にも森の雑草は

高価な薬剤になると

天界事務局から聞かされていて

それを売りに行ったら

モーガン卿と言う薬師と出会い

幾許かの金を入手する事が出来た。


結果このお金で

カデナ王国内での仮住まいを

一先ず得る事になる。

国民であるカンナとアヤメの名前を使って。


だから住まいの持ち主は

あくまでもカンナとアヤメである。


自分は仕入れ担当者で、

名目上は間借り人に過ぎない。


飲食店にする事に決めたのも

神々との交渉材料を一刻も早く

手に入れようと考えたからに他ならなかった。


カンナとアヤメの店と言うのは

自分の保身の材料を手に入れる為の

隠れ蓑。


自分の目的は

常に違う所にあった。


一年が過ぎて

一通りのサイクルが確定すると

冷静に自分の時間を見つめる事が出来て

とたんに日常の不具合さが

露呈し始める。


このカデナ王国は

鉱業が主な産業の国なのだが

活気の無い貧しい国だった。


だから楽しみも少ない。


これは中身が現代人の自分にとっては

死活問題である。


仕事以外の時は

死にたくなるほど暇だった。


娯楽を持たない現代人ほど

手持無沙汰なものはいない。


自分の余命は、転生前と変わらないと聞いている。

肉体は若くして貰ってはいるが

余命は前世を引き継いでいた。

それは死神から教えて貰っているので

確かである。


余命がどれだけ残っているかは、

聞いてはいない。

それを聞いたら

最後の日へのカウントダウンが始まるのと

同じになってしまう。


死ぬまであと何日なんて

数えたくも無かった。


自分には神々の寵愛が有るので

神の力を何かに使う事も出来るのだが

それを自由に使う心算は無かった。

それではその神々に借りを作ってしまう。

借りは返さなくてはならないし

無理難題を押し付けられる可能性だって

有った。


ただこの寵愛には利点も有って

自分の魔法力と魔力量は底無しだ。

流石は全ての神の寵愛である。

並の人間では決して持ち得ない力だ。


これを生かさない手は無い。

それが最初の一歩。


カンナとアヤメの店は

当初、値段の安さと魔光石を使った明るさで

人気店にはなったのだが

ぼろ儲けには至っていない。


利益は

カンナとアヤメが安定して生活出来る程度で

充分だと考えていたし

自分は仕入れと称して

神々の嗜好する食材を見つけ購入する事が出来れば

それでよかった。


全ては自分の保身の為である。


金が足りなければ、

神々の森で草でも集めて

また薬屋に売りに行けばイイ。

自分の目的はあくまでも

神々との交渉材料の発見と入手。


店を始めて暫くすると

カンナとアヤメの要望で

ノーラさんとシュリさんが店に加わった。


そこからはもう

繁盛店の仲間入りで

連日客で一杯になり

近隣に迷惑が掛かる様になったので

王国内の三か所に

系列店を作る事になる。


カンナとアヤメは

四店舗のオーナーとなったのだが

本人達にその自覚はあまり無かった。

他の三店舗のやり方は

この店と殆ど変わらないし

そこの従業員が

最低限生活出来ればイイ位の

やはり薄利多売のお店だったからだ。


魔光石を使った明るい店内は

カンナとアヤメの店の代名詞で

客はその安さを知っているので

安心して入れたのである。


それもあってか

全ての店が繁盛店になっていた。


一年間仕入れを続けると

神々の食材のおおよそを知る事が出来て

自分はその入手に努め

手に入れて来たのだが

その過程で

遂にオカカの実を発見する。


簡単に言えば

チョコレートらしき物の原料だ。

神々の中には

酒の苦手な者もいたし

特に女神との交渉材料を

自分は

ずっと探し続けて来たのである。


オカカの実を入手するルートを

確立し

チョコレートモドキを完成させた今

おおよその食材の調達ルートは

一先ず完成を見た。


当初の目的を

ほぼ一年で達成したのである。


神酒の種類も増やしたのだが

チョコレートモドキは

女神達には垂涎の嗜好品だった様で

特に神様達の恋愛の相談に関して

お願い事をする時に

交渉材料としてはピカイチだった。


神様問題の解決を

人間が請け負うなど

有ってはならない事だが

神様達が勝手にこっちに

持ち込んでくるのである。


それもこれも

天界大戦が引き起こした結果だった。


人間の身としては

いい迷惑でしかない。

結果、(そら)の帝に目を付けられ

寵愛を受ける羽目になり

その力を得たが故に

凪の帝とその仲間を目覚めさせたりと

神様関係に関しては

厄介事ばかりが理不尽に増えて行く。

持ち込むのは勿論

(そら)の帝が一番多いのだが・・・。


残念ながら人間の身としては

それを拒む事は出来なかった。


それが神と人間との立ち位置の差なのである。


魔法に付いては良く判らない事も

多かったのだが

凪様の諸々の助言に助けられる。


岩窟の賢者もその一つだ。

その転生者は、魔石研究者だったからだ。


ただ、とっくに亡くなっていたのだけれど。


魔法・魔力はエネルギーの一つである。

魔石はその道具としての利用価値がある。


それが判った時

この世界に魔法で産業革命を起こせる事に

気付いた。

魔力を電気の代わりに使う。

その方が電気や電気製品を発明するよりも

よっぽど手っ取り早い方法だからだ。


娯楽の創出が出来る。


その為にはこの国で魔法を使える人間を

早急に見つけ出し

育成しなければならない。


一人で出来る事には

限界が有る。


自分が蓄音機を

魔石と魔法とで再現出来ると

気付いて

それを具現化した時

同時に一人で作る事の限界にも

気付かされた。


時間が圧倒的に足りない。


一つ一つのアイデアを出し

それをカタチにするのに要する時間は

今すぐに娯楽が欲しい自分としては

圧倒的に足りなさ過ぎるのだ。


だったらアイデアを出し

魔法・魔力を使って実現する人材を

一刻も早く育成し

現場に投入した方が

何倍も何十倍も効率が良い筈だし

自分では思い付かないアイデアも

きっと出て来る筈である。


実際ハドソン商会が

盗作問題で自分を訪ねてくれなければ

この王国の科学者の存在に

気付く事も無かった。


この世界にも科学者はいたのである。


ただ、その科学力が低いだけなのだ。

そこのアイデアは、自分が埋める事も

出来るかも知れない。

初歩の科学の知識しか持ち合わせていないのだが

それでも可能な筈だ。


蓄音機も作れたんだから。


この世界に電気を持ち込めるのは

遠い先の話しである。


その電機の代わりに魔力をエネルギーとし

魔法で動作を与える。


カデナ王国は、魔石を豊富に産出している。

それを有効に使える魔法使い・魔女さえいれば

魔法で新たな文化が

間違い無く構築出来るはずだ。


魔法使い・魔女の育成。


その為に、魔法学校を作ろう。

戦争では無く、商業文化を担える魔法師を

育てる為に。


自分の為の娯楽を増やす為に。


この件で大人の魔法師を使う事は

初手から考えてはいなかった。


大人には生活が有り

そして欲が有った。


そこには必ず諍いが生まれる。


ならば子供を純粋培養する方が

その自由な発想を展開してくれる筈だし

それに可能性も無限だ。


これが魔法学院を作ろうと決めた

決定的な理由だった。




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