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神様に殺された!  作者: 猫めっき
68/82

シュリ、企む


シュリはペンギンモドキを

自分の愛獣(ペット)に出来るので

気分はウキウキだった。


長年の願望だったからだ。


問題は家族の説得なのだが

それには自信が有った。


シュリの家は

家中の全員が何某かの暗部の仕事に

関わっていたので

家を留守にする事が多く

それ故に動物を飼う事は

その事情により許されていなかった。


子供の頃なら許して貰えるかもと

思った時期もあったのだが

自分もいずれ暗部の一員になる事が

決まっているので

その願いはやはり

聞き入れられなかった。


その時になって

足枷になっては困るという判断である。


だからカンナとアヤメに

ジンとアイがボディーガードとして

オーナーから与えられた時

それが羨ましくて

仕方が無かったのだが

それがシュリにとって

幸運をもたらす事だと理解した時

陰ながら喜ばずにはいられなかった。


以来ずっとその時を

シュリは待っていたのである。


きっと自分にも

ボディーガードを付けて貰えるに

違いない、と。


オーナーがペンギンモドキを

持ち込んで来た時

その可愛らしさにメロメロになったのだが

最初はそれが生き物だとは思わなかった。

ぷにぷにした置き物。

でも自分好みの姿をしている。


抱きしめた瞬間

シュリは自分の欲望が爆発するのを

感じたのだが

いつもはここで押さえられる筈だった。

暗部の習性で。


でも今回は違った。

それ程までに愛くるしい姿を

していたのである。


シュリは欲望のままに行動し

それが生きた魔獣だと知ると

もう歯止めが利かない。


ただただ欲しい。

それだけだった。


そしてそれは

結果叶えられる事になる。


小さい頃からのシュリの願望のままに。


シュリはペンギンモドキを抱きかかえて

帰宅すると

そのまま両親の部屋へと向かう。


ペンギンモドキを飼う許可を得る為に。

そう宣言する為に。



********************************************



「お父さま、お母さま、

このペンギンモドキを飼う事になりましたので

御報告させて頂きます。


名前はそう

“モドちゃん”と言います」


いきなりそう切り出されれて

父であるベン・ランカスターは吃驚する。


ランカスター家では

生き物を飼う事は

代々の禁止事項だからだ。


シュリも当然その事を知っていたし

その事は小さい頃から教え込んでもいた。


それにも関わらず

シュリがそう切り出して来たのである。


「このペンギンモドキは魔獣ですので

その事も御承知下さい。


もしお気に障るようでしたら

自分はこれと離れで生活しますので

宜しくお願い致します」


その有無を言わせぬ言動に驚くと共に

訝しがりながらも


「まるで決まったかのような言いようだな。

そんな事を許した覚えは無いぞ」


そう答えると

シュリはニッコリと笑って


「許して貰わなくても結構です。

これはもう決定事項ですから」


そう言い放つ。


“決定事項? 何の事だ。

それにしてもシュリがこんな風に話しをするとは。

一体何が有ったと言うのだ”


そんな事を思いながらも

ベンは


「決定事項とはどういう事か、説明して見よ」


そう問いかける。


「このペンギンモドキは

オーナーが自分に付けてくれた警護、

つまりボディーガードです。


ですから一緒に暮らさなくては成りませんし

自分から遠ざける事も出来ません。


これからずっと一緒にいる事を決められた

そういう魔獣なんです。


それは“王命”でも有りますから

決定事項なんです。


そう言う心算で、

お父さまお母さま。お願いしますね」


そう言い放って

シュリはニッコリと笑うと

ペンギンモドキを連れて

その部屋をとっとと退出する。


「ちょっと待ちなさい、シュ・・・」


その言葉を聞き終える事も無く

シュリは扉をバタンと閉めた。


全く意に介さぬように。


その会話をずっと見ていた

母のスーザンは

シュリの姿を頼もしそうに見送りながら


「あなた、一本取られましたね」


そう声を掛ける。


「王命では反対する訳にも行かないでしょうし。


シュリも大人になった様で、少し安心しました。

今の仕事が合っているのかしら」


そう言われて


「だが、これは我が家のルールにも

関わる問題だぞ」


「でも王命ですよ。

これは“落とし子”案件ですから」


「そうは言ってもだな」


「それを承知で

シュリは妥協案を出しているんじゃないですか。

離れで生活しても構わないと。


それが許されないのなら

シュリはあの魔獣を連れて一人暮らしを

始めるでしょう。


あとはあなたの判断一つ。

どうしますか、あなた。

一人暮らしをさせますか?」


そう言われて、ベンも渋々納得する。


「それにしてもシュリがあんな風に話すのは

初めてだぞ。

一体何が有ったと言うのだ」


その質問ににこやかに


「御茶会でのシュリを見たでしょう。

王妃様の前でも、堂々と応対していたのですから

それだけ成長したって事です。


これならいつ結婚させても、立派にこなしますよ」


「いや、それはまだ早い」


言下に否定するベンであった。



**********************************************



両親の部屋を出ると

シュリはフーっと一息を付く。


両親の前ではいつも小さくなって

その話しに聞き入る事の多い

シュリだったからだ。


だが今回は違う。

このペンギンモドキと一緒に暮らす為の

必殺の言葉

“王命”を切り札にしたのである。


国王から“落とし子”を

全力で守る事を義務付けられている

暗部にとって

“落とし子”の言動が最優先される事は

誰でも知っている事実である。


ペンギンモドキはシュリの護衛として

宛がわれた事になっている。


だからその護衛がどんなに弱っちくても

問題は無いのだ。

オーナーが付けてくれたと言う事実が

何よりも重要なのである。


自分が一目ぼれしたペンギンモドキを

そのオーナーによって

自分に付けられていると言う事は

最高の愛獣(ペット)

誰に気兼ねする事も無く飼える、

という事実を

シュリにもたらしてくれている。


言わば最高の御褒美にも等しかった。

きっと今の自分は

悪い目付きをしているに違いないと

自分自身でわかっているのだが

どうにも嬉しくてニンマリが止まらない。


“ホントに今日はイイ日だ”


その日から

シュリとモドキの

デコボココンビの生活が始まった。




主要な登場人物の紹介が、やっと一段落です。

自由奔放な登場人物達に苦しめられながらも

オーナーことシンイチが、何を目指しどう動くのか

それを楽しみに、しばしお待ちください。

もう最終話までの流れは出来上がっています。

ただ、世界樹や神々や王国は欲望のままに、

その都度引っ搔き回しに来ますので

脱線は必須ですが(笑)。

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