表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
神様に殺された!  作者: 猫めっき
61/82

神剣制作は駆け足で


ホンモノの神剣に触れて

モーリスは何となく吹っ切れたらしい。


でも神剣造りは

始まってはいなかった。

材料が集まっていないからだ。


本当なら

モーリス本人が苦難を乗り越えて

材料集めに奔走するのが適当なんだけど

ここで自分が

必要なのはシンリュート鉱です、なんてことを

言い出したら

それはどういうモノですか?

どこで手に入れられますか?

そう聞いてくるに違いない。


それはどう考えても時間の無駄だし

本人が見つける旅に出るとなると

ノーラさんの心痛は永遠に続くので

ここは自分が集めて来るしかない。


創る神剣は神殿への三本と

神様に奉納する一本。


計四本を造るのに必要な材料を

手に入れる事が目標なのだけど

まあ失敗分も含め

最低でもその倍量は必要だろうと

想定している。


神様用の一本は別物なんだけど

おそらくパリトンが希望する

キラッとしてピカっとして、何て剣は

他には想像出来ないから

多分これなら満足するであろう

見た目の剣を

想像して作るしか無かった。


拵えは既にあるんだから

中身を変えてやればイイ訳だし

多分それで丸く収まるだろうって

勝手に考えているし

それで納得して貰うしか方法が無い。


事務局を使って

それで押し切ろうと考えている。


炎龍というのは

多分赤龍の事だと思ってるし

多分モネ様の愛玩神獣の事だと思うし

一度助けた事も有るので

シンリュート鉱を手に入れる事は

それ程難しくは無い筈だ。


要は火炎山の中に在る住処に行って

〇ンチとゲロの中から

鉱を見つけ出せば良いだけだし

これはいつもの肉体労働である。


テキパキとこなせばイイ。

もう〇ンチも慣れたし。


問題は銀鱗鉱で

これはどうしても必要らしい。

パリトン好みの剣を造るには

これが無いとダメだというし

シンリュート鉱との相性の問題も有った。


神剣は

純粋なシンリュート鉱の

単体使いが理想らしいのだが

そうするとどうしても

剣がシブく出来上がってしまうという。


だから混ぜ物が必要なのだ。

それが銀鱗鉱である。


取り敢えずそれは後回しにするとして

自分は赤龍の居る火炎山へと向かった。


神々の森の湖で

赤龍は何度か見掛けた事が

有ったのだが

本格的に赤龍に関わったのは

モネ様の緊急連絡が入った時の事だった。



******************************************



その日は特に何かをしていた訳では

無かったのだが

突然頭の中に声が響く。


『すぐに赤龍救出に向かいなさい』


そう聞こえるのだが


“一体誰の声だ?”


チンプンカンプンである。

それが何を意味するのか

全く判らずにいると


『早く返事をしなさい。赤龍の救出に向かって!』


そう言われてもやはり意味不明である。


「何言ってんの?」


その声が聞こえたのか


『もう、メンドクサイ!』


そう聞こえるや否や

いきなり・・・転移させられた。



着いたのは赤々と燃えるマグマの見える

火口の中である。


“アチッ。マヂ、焼け死ぬ”


慌てて魔法で、体に防火壁を纏わせる。


見回すと

防火服で身を包んだ人間の姿が有った。

そしてそいつ等はどうやら、

武装もしている。


彼らが攻撃していると思われる先には

見覚えの有る赤龍が丸くなって蹲っている。


威力はそれ程とも思えないのだが

そいつ等は赤龍を攻撃しているのである。


赤龍程の力が有れば

簡単に撃退出来るはずなのだが

口から炎を吹き出すのが精一杯で

じっとしたまま動こうともしない。


どうやら動けない理由が有るらしい。


攻撃を仕掛けている人間達は

どう見てもこの世界の人間とは思えない。

防火服もそうだし、何より武装が異なる。


現代兵器を使っている。


“異星人か? それとも異世界人か!”


そう判断するのに、一秒も掛からなかった。

そうなるとする事が早いのも自分である。


あいつ等の足元をすくってしまえば

それで終わりだ。

ここは火口の中。下にはマグマも有る。


魔法を使って

見えている人間達の足元を

一気にすくってしまう。


すると面白い位に

簡単にマグマへと落っこちて行く。

まるでゴミの様に。

中にはマシンガンの引き金を引く者もいたが

落ちて行く事には変わりは無かった。


側面のトンネルから

こっちに入ろうとする人間の姿も

有ったのだが

そいつらはこちらに向かって

銃撃を繰り返しながら

既に撤退を始めていた。


“どうしたもんじゃろのう”


取り敢えず赤龍は無事である。


赤龍の元に飛んで行くと

赤龍が卵を抱えているのが見えた。


“守ってたのか。道理で動けない訳だ”


そう思っている間にも

銃撃はこちらに向かって続けられている。


これは神様案件である。


メンドクサイので、神様の力を使って

時を止めた。

そして見えている範囲の人間達を

尽く魔法でマグマへと導いた。


自分も人間だもの。

撃たれたら痛いよ。


再び時を動かすと

もう銃声が聞こえる事は無かった。


赤龍も安心した様である。


“それにしても、ここは何処だ?”


自分は勝手に転移させられていた。

だから現在地が全く持って不明瞭である。


“外に出れば判るのかな?”


そう思って飛ぼうと考えていたら

そこにモネ様が飛び込んでくる。


「アカ、無事で良かった」


モネ様が赤龍に抱き付く。

赤龍もどこかしら嬉しそうである。

そういう関係なのだろう。


モネ様は赤龍が攻撃されるのを

おそらく以心伝心で察知したに違いないが

何某かで動けないので

代わりに自分をここに行かせたのだと思う。


花の女神なのだが

その姿はいつも甲冑姿。


外見上は完全な武神だ。


怒りに身を任せ

自分より先に外に出ると

何故か雷鳴が轟いている。


“これって多分自然災害?

それで人が死んだとしても、問題は無い? 

んっ?”


自分の昔が少し()ぎる。


結局自分は火口の外に出る事無く

転移ゲートで元いた場所に

戻る事になったのだが

赤龍とはそれ以来、それっきりだった。



*******************************************



そんな縁が有って

赤龍の住処は

何時でも転移出来る場所になっていた。


そこに転移する事は、

あの一件以来全く無かったので

だから久しぶりの再訪である。


転移して見ると

赤龍は小さな赤ちゃん龍を遊ばせている最中。


自分は赤龍にも赤ちゃん龍にも

興味は無い。

必要なのは〇ンチとゲロだ。

赤龍に軽く目配せの挨拶をし、

勝手にゲロと〇ンチを探して行く。


赤龍とて動物である。

ゲロと〇ンチの場所は一か所だろうと見当をつけ

上から見まわして行くと

一段下の溶岩の近くにそれらしき場所が有ったので

更に自分を魔法防御で固め、その場所へと移動。


この熱気では道具は燃えてしまうので

一切使えない。

だからゲロと〇ンチの中を

手探りで探すしか無かった。


幸い手袋は身に着ける物なので

魔法による防御範囲である事は救いなのだが

道具類にも防御の範囲を広げる事が

今後の課題かな、なんて

思いつつ

〇ンチやゲロと思しき所へ手を突っ込み

硬くて重量のズシンと来る物は全て

収納の中へ放り込んで行く。

洗って確かめる術が、ここには無かった。


そんな事をしていると

赤ちゃん龍がやってきて、ちょろちょろしている。

やがて一匹がプリプリと〇ンチをしだした。


それを終了の合図として

シンリュート鉱集めと思しき事を

勝手に終了とする。


ホントにシンリュート鉱かどうかは

帰って洗って見るまでは判らないからだ。


赤ちゃん龍が纏わり付いて来るのだが

〇ンチの付いた手では触れないので

両手を高く上げたまま

母親赤龍に再度目配せの挨拶を済ますと

赤ちゃん龍がそっぽを向いている時を

見計らって

転移ゲートで早々に退散。


これにてシンリュート鉱の収集は

一応終了となった。



******************************************



赤龍イコール炎龍かどうかは

自信が無かったので

赤龍のそれと思われる鉱石のサンプルを

神殿の供物台から天界へと転送する。


工神リブロに確かめて貰う為だ。

併せて銀鱗鉱の入手方法の助言を求める。


天界に送り出したとたん

天界から来訪者が有った。

天界の自分の担当者のかたわれ。

事務局員のララだ。


まさに入れ違いなのだが

どうやらそうでも無かったらしい。

天界の時間は、

イマイチ自分には良く判らない点が有る。


「シンイチさん、御無沙汰です」


ララはそう言うなり、供物台から飛び降りる。


「今鉱石を送ったんだけど、

もしかして入れ違いになった?」


そう声を掛けると

ララは首を横に振って


「もう受け取ってますよ。だからここに来たんです」


そう答える。

やはり天界の時間の流れ方は、良く判らん。


「工神リブロ様から伝言を預かって来ました。

だから大急ぎで来たんです。手遅れにならない内に」


唐突に状況を切り出す。


「手遅れって、何ソレ?」


全く持って理解不能の発言。


「リブロ様は、シンイチの持っている鉱石を

全て自分に差し出す様にって言ってます。

炎龍のシンリュート鉱は人間にはもったいない。


それは天界の工神である

自分が使うにふさわしい、と。

そうおっしゃってました。


まあ、ぶっちゃけた話し、

リブロ様は炎龍の鉱石が欲しくって

しょうがないって事です。


だから私自身が大急ぎで来たって事で

だから鉱石下さい」


そう無心して来る。


「無理っ」


そうはっきりと断言した。


「えーっ、どうしてですか?」


「こっちも神剣を造らないと

諸々大変だからね。

それに、他にシンリュート鉱を手に入れる

場所も判らないし。


少なくとも自分達の分は残しておかないと

仕事にならない」


それを聞いてララは


「そう言うと思って、交換条件を持ってきました。

赤龍の鉱石をくれたら、代わりに銀鱗鉱の鉱石を

渡してくれるって言ってました」


流石に神である。

痛い所を付いてくる。


こっちとしては

先ず銀鱗鉱は欲しい。

シンリュート鉱も

必要最低限は確保しておきたい。


そう思ったら


“あれっ、

リブロ様はどうやってシンリュート鉱を

手に入れてたんだ?”


ふと疑問が湧いて来る。


「リブロ様は

どうやってシンリュート鉱を手に入れてたのか

ララさん、聞いてますか?」


そう訊ねると


「かなりの在庫が有ったみたいですよ。

それを使ってたって言ってました。


何でも凪様が

ちょくちょく持って来てくれてたって。

その在庫があったので

今までは苦労しなかったそうですが

でも凪様が亡くなって

そろそろその在庫も乏しくなったみたいで。


だから純粋な炎龍のシンリュート鉱を見て

絶対に手に入れて来いって言われたんです。


人間が使うのは他の龍の鉱石で充分だろうって

そう言ってました。


だからください」


灯台下暗しである。

シンリュート鉱の出所は凪様だったのか。


新たな手立てが見つかったので

少しは譲歩しても大丈夫だと見当をつけ・・・


「判りました。


だったら必要最低限の鉱石を残して

残りはリブロ様にお譲りしましょう。


ララさんはリブロ様に

渡した分が全てだったと

そう伝えて渡して下さい。


引き換えで銀鱗鉱を受け取るのを

忘れないで下さいね。

銀鱗鉱はすぐにこっちに送ってください」


「えーっ、それってずるく無いですか?

相手は神様ですよ? 嘘ついて大丈夫ですか?」


「残りの炎龍の鉱石は、他の鉱石が手に入った時に

改めてどうするか決めますので

今はそれが精一杯です。

ですから、ララさんは嘘を付いて下さい。


渡せと言われても、今は渡せませんから。


その代わりに

新たなシンリュート鉱が見つかったら

その時は真っ先にララさんに伝えますよ。


そうすればララさんの株も上がりますから」


そう言うと、自分は必要量と思われる鉱石を

残して

残りを供物台へと乗せて行った。


「わっかりました。了解です」


そう言ってララも供物台に乗ると、

その姿をかき消す。


鉱石と共に。



*******************************************



「凪様、聞いてましたよね」


そう声を掛けると

奥から凪様が姿を現した。


「どうして隠れたんですか?」


その問いに笑いながら


「現世に戻っているのが知れると

何かと面倒な事を押し付けられるからのう」


そう答えて来る。


「で、シンリュート鉱は、

どうやって手に入れてたんですか」


「お前は気付かなかったのか?

しょっちゅう見ている筈なのに・・・」


“しょっちゅう見ている? 何処で・・・?”


神龍の居る場所って

いる場所って・・・


“???・・・!”


「湖」


「正解。あそこの湖底には

シンリュート鉱が幾つも沈んでおる。


ゲロも〇ンチも綺麗に洗い流されて

鉱石だけが沈んでおる。


ただ、知っていなければ気付けない。

ただの岩だと思って見ているからだ。


これで良いかの?」


そう言って笑って見せる凪様は

間違い無く生き字引だ。


“先に聞いていれば良かった。

それなら〇ンチの中に手を突っ込まなくても

済んでたのに”


改めてそう感じていた。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ