初めてのオ・ネ・ガ・イ
試作品の数本を
神々の森の神殿から天界事務局へと
送り出し
その際にお願いしたい事を箇条書きにして
付けておいた。
今回の一件は、神絡みの問題だ。
云わば公私の公も含まれている。
とは言え、私の部分も多分に有る訳で
そこは調整が必要なのも判っていた。
天界事務局の担当者は
もう事務局長では無くなっていた。
よほど宙の帝の一言が効いたらしい。
今の担当は二名いて
必ずどちらかが対応してくれると言うし
特に男性神対応には女性のララ事務員。
女性神対応には男性のロロ事務員と
特に神に人気の有る男女がそれぞれ
何かある時には
仲介に入ってくれるという。
自分に優しい状況になっていた。
それなら、魚心あれば水心だ。
ララとロロの仕事がし易いように
こっちはどんどん貢ぎ物という
賄賂を用意するし
担当者にもそれは伝えて有る。
上手く行ったら
担当者にも手土産を送る事にしている。
失敗した時のカバーに重宝するように、だ。
今回はララがもの凄く頑張ってくれている。
先ず問題の神に付いて。
この神は天界でも問題児で
気に入った人間には直ぐに寵愛を与えるという
迷惑神らしかった。
その神が自身で便利に使う為に
何人もの人間に寵愛を与えているので
その寵愛は既に庇護はおろか加護の力すら
持たなくなっているという。
神としてはイケメンで
女神を虜にする為努力を惜しまない。
剣はからっきしダメで、先の大戦でも
終った後に颯爽とフル装備で現れて
準備に時間が掛かったと
悔しがるそぶりを見せ
宴会では取り巻きの女神達に囲まれ
御満悦だった様だ。
そう記されているのを見て
何となく戦場を思い出す。
そんな神が確かにいた気がした。
確かピカピカしてたっけ。
その神は、
とにかく美しく無ければならない
と言うのが信条で
剣も欲しがっているのは
おそらくそう言う類だろうと思われるとある。
断言していないのは
当の神に聞いていないって事で
これってララは、
パリトンに余り近付きたくないって事だろう。
多分。
神剣の試作品に関しては
鍛冶の神リブロに見て貰ったという。
パリトンの欲しがる剣に関しても
聞いてくれていた。
曰く
『剣としては悪くは無いが、
もっと素材に拘るべき。
神剣の素材はシンリュート鉱がベスト。
炎龍の吐き出したシンリュート鉱と
炎龍の排泄物の中に稀に出現する
シンリュート鉱を最上とする。
パリトンの欲しがる剣は
煌びやかな剣で
シンリュート鉱に銀鱗鉱を混ぜたものが
おそらく望みだろう』
排泄物とは、〇ンチの事だろう。
“ここもやっぱり〇ンチか。
炎龍って、赤龍の事か? もしかして・・・”
で、鍛冶の神からの伝言で
“礼は酒で手を打つ”と言われたらしい。
そこまで教えて貰ったのだから
充分役に立っている。
供物台から、酒を半ダースと
担当のララにチョコレートを一箱送っておく。
そうしたらすぐさま
一番良かったと判断された剣が
地上に戻され
御礼の手紙が送られて来た。
残りの剣は、事務局での作業に使うと
一筆足してある。
他は天界への献上品になってしまったようだ。
うん、まあ問題無し。
自分としては
天界事務局に対して
出来るだけお願い事はしたくない。
簡単に言えば
神々と関わりを持ちたくないのである。
はっきり言ってメンドクサイ。
天界の方から持って来る厄介事に関しては
仕方が無いと諦めもするが
お願い事をするには
それなりの謝礼が付き纏う。
そして
それに味を占めた神々が
その謝礼を得る為に
何かを仕出かす可能性も
否定は出来ないのだ。
神は時に
人の行動すらも操る事が出来る。
それが神なのだ。
今回の一件は神絡みなので
仕方なく対応する事にしたのだが
この件では神殿も絡んで来る事に
なっている。
神剣は、神殿の領分でも有るからだ。
この事は
自分でも少し痛かったのだが
ここから先は
最良の道を自分で選択して行くしか
仕方がない。
炎龍の鉱石を先ず入手し
神殿の聖剣から神剣のヒントを
モーリスに掴ませ
完成へと誘導する。
神剣を完成させたらパリトンに贈って
神剣造りを終了させて、
出来れば寵愛御遠慮を発動させて
問題児の神を遠ざける。
そして
ノーラさんに安らぎの日々を送ってもらう。
まあ、こんな所かな。
そう思った自分が甘かったと
心底思ったのは
聖剣祭りで
予想外の出来事が起こった為である。




