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神様に殺された!  作者: 猫めっき
41/82

シュリは御機嫌ナナメ


「何で売れないんだろう」


シュリは御機嫌ナナメだ。


店長に

メニューにお菓子を入れて欲しいとお願いして

OKを貰った。

オーナーにも店長がOKを貰ってくれた。


OKを貰った時は

嬉しくて仕方が無かった。

大好きなお菓子が作れる。


でも、誰も注文してくれない。

メニューの目立つ所に

書いて貰っているにも関わらず、だ。


「何で売れないんだろう、はぁっ」


テーブルの上に突っ伏して

顔を横に向ける。

テーブルはひんやりして

冷たかった。


結局一週間で、販売は終了した。

殆ど注文が無かったからだ。

シュリはそれが悔しくて仕方が無い。


「何でだと思います?」


シュリはみんなに声を掛ける。


「何ででしょうねぇ」


みんな笑っている。


「私は好きよ! 子供達も喜んでたし・・・」


ノーラが声を掛けた。


「でも、お店では売れないんですよぉ。

教えて下さいよぉ。何でですか?」


その質問に、カンナが答える。


「みんなお酒を飲むでしょう?

お酒に御菓子はちょっと・・・」


シュリはお酒を飲んだ事が無い。

だから、

酒飲みの気持ちが理解出来ないでいた。


「そんなもんなんですか?」


「そんなもんです!」


「だったら、何でお菓子作りをOKしたんですか?」


そう言って、口を尖らすと


アヤメが口を開く。


「あれだけお菓子を作りたいって

強請(ねだ)られたら

認めない訳には行かないでしょ」


呆れ顔で言う。


「そうなんですか? そうだったんだぁ」


でも、シュリはお菓子を作りたい。

お菓子作りが大好きだから。


そこにオーナーが顔を出した。


「何かあったの?」


「シュリさんがお菓子が売れないって

溢してたんです」


「何、お菓子そんなにマズいの?」


その一言に、シュリはカチンとくる。


「オーナー、それ酷いです!」


シュリがふくれっ面をする。

オーナーは笑いながら


「ごめんごめん、

残ったのが有ったら、出してくれる?」


シュリが売れ残りの

クッキーを出してきた。

一つ、口に頬張る。


「砂糖は入ってないんだ。

素朴な味だけど、不味くは無いね。


売り方次第なんじゃない?」


オーナーがそう言って来た。

シュリがその一言に喰い付いて


「売り方ですか?」


「シュリさん、雑貨屋さんに行って

可愛い袋を買って来て!」


そう言われると

シュリはすぐさま雑貨屋に走って行った。



*******************************************



シュリが袋を買って来ると

オーナーはそれを小分けにして

残ったクッキーを袋に入れて行く。


「ワンコインって、これ位入ってれば良いの?」


「大体それ位です」


シュリが答える。


「だったら、正確に中身の数を数えて

同じ包みを作ってくれる?


口はリボンで可愛く結んで」


シュリが作って見ると

およそ20袋が出来上がった。


オーナーはそれを見ると


「じゃあ、これで売ろう」


何か、変な事言ってる。

こんなの売れる訳無いじゃん。


「こんなの売れませんよぉ。

中身が見えないし、食べれないじゃないですか?」


するとオーナーは笑って


「当然だよ。お持ち帰り用だもの」


そう言い切った。


「お持ち帰り用ですか?」


三人がその言葉に反応し

シュリが怪訝そうな顔をしている。


「酔っぱらって帰ると

奥さんとか子供に嫌な顔されるから

その時の手土産用。


少しは目こぼしを願う、夫心(おっとごころ)


その言葉にノーラさんだけが頷いていた。


「だったら売れるかも知れませんね。

前もって

奥さんや子供の話しを切り出しておけば」


「酔っ払いに売りつけるには

お手頃でしょう? ワンコインだし」


その一言で

お菓子のお土産作戦が始まった。



***********************************************



「はぁ・・・?」


シュリはまたまた御機嫌ナナメだ。

確かにお菓子は

そこそこ売れている。


でも、望んでいるのは

こんな事では無い。


「お菓子作り、何かつまんないですぅ!」


その一言に、店の三人は呆れ顔で有る。


「何がつまんないの? 

クッキー売れてるじゃないですか」


「でもねぇ、こんなんじゃないんです」


「こんなんじゃないって、何が?」

アヤメが聞き返す。


「これじゃあ、喜んでもらえているかどうか

判らないじゃないですか?」


「まあ、お持ち帰り用だからね」


「それだと何かつまんないです。


誰も美味しかったって言ってくれないから


ここに来る人って、みんな

料理を美味しい美味しいって

食べてくれるじゃないですか?」


「それはそうだけど・・・」


「お持ち帰りだと、反応が見れないって言うか・・・


美味しいって言葉、料理人の御褒美じゃ無いですか?」


「シュリさんの料理も、みんな美味しいって言ってるし」


「それはそうですけど・・・。

お菓子はお持ち帰りで、食べてるのはきっと家族ですよね。


誰も何にも言ってくれないし」


何と無く、シュリは釈然としない。


シュリはそれ程までに

お菓子が大好きなのだ。


お料理よりも、もっとお菓子が作りたいと思っている。


「オーナー、シュリさんがまた落ち込んでますぅ!


もっとちゃんとお菓子を売りたいって」


カンナが大声で呼んだ。

オーナーが調理場に顔を出す。


「方法が無い訳じゃ無いけど・・・どうする?」



************************************************



オーナーが切り出したのは

店頭で販売する方法である。


店の開店時間を増やして

午後の時間を使って

道行く人に販売する方法。


シュリはその話しに飛び付いて

さっそく実行したのだが

結果は惨敗だった。


この店の場所は

昼間は殆ど人通りが無い。

もともとそういう場所を選んで

出店していた。


そこで店頭販売をしても

誰も来てはくれないのだ。


加えて

シュリが作るのは

普通のお菓子だった。

王都内でも市場でも買える御菓子。


そういうお菓子を

人通りのない場所で販売しても

わざわざお客さんは

来てくれる筈も無い。


このお店の売りは

何と言っても夜の明るさだ。


その明るさが人を引き付け

安い料理と酒で

集客を安定させていた。


結果この販売方法は

シュリを落ち込ませるだけに

なってしまった。



********************************************



シュリの元気の無い姿を見て

三人は少し心配気味である。


「オーナー、何とか出来ませんか?」


アヤメが口を開いた。


シュリは店頭で、来ない客を待っている。


「シュリちゃんが暗いと

こっちまで暗くなってしまいますよ」


カンナも同調する。

ノーラさんも同じ気持ちの様だ。


オーナーは

シュリを店内に呼び込むと


「このままではラチが開かないから

方針転換しよう」


そうシュリに伝える。

暗いままの表情のシュリは


「どうするんですかぁ?

私、もう自信がないんですけど・・・」


その言葉に

オーナーは少し笑って見せて


「午後から夕方まで、御茶の時間にして

御茶とお菓子で、女性客を呼び込むっていう

方法が有るんだけど・・・」


その一言を聞いて

シュリが


「でも。御客さん来ないですよ。

昼間は人がいないんですから」


そう言うと、オーナーは


「いないのなら、作ればいい。

それだけの事だよ。


手段が無い訳じゃあ無い。


実はもう考えて有るんだけど。


シュリさん、どうする?

それとももう、お菓子作りは諦める?」


シュリは少し考えると


「私、やっぱりお菓子を作りたいです!」


そう言い切った。

その言葉にオーナーは


「他の三人はどうなの?」


その提案に困惑気味なのが

表情で判った。


「夜の準備が有るし、

そこまではちょっと手が回らないですね。


接客ぐらいなら、客数次第ではまあ・・・」


三人は乗り気で無かったが


「私、やりたい」


そうシュリが言葉を被せる。

前向きなのは、結局シュリだけだった。


「んーん、と」


オーナーは

どうやらシュリ一人で出来る事を

考えているらしい。


やがて・・・


「シュリさん一人でやってくれるかな。


もし、夜の営業に影響が出れば

その時は即終了にします。


それでいいですか? シュリさん」


「はい!」


「御茶とお菓子で、一人10コイン。

一日限定20人までで、設定しましょう」


その一言に、他の三人が驚いた。

シュリの目は、点になっている。


御茶とお菓子で10コイン。


普通だったら、

2コインでもお釣りがくるセットで有る。

10コインは、べらぼうに高かった。


「オーナー、高すぎます」


「幾ら何でも、無茶ですよ。そんな金額設定は」


カンナとアヤメが口を挟んだ。


「それに見合う物を出せば良いんです。


シュリさんは、それに見合うお菓子を

考えて作って下さい。


御客様はきっと、御茶とお菓子にうるさい

貴族の御婦人たちです。


難しいですよ?」


その言葉に、シュリは絶句した。

こんな難問を出されたことは

生まれてこの方、一度も無かった。


10コイン支払って、それでも満足して貰える

御茶とお菓子。


どういうお菓子だろう?

シュリは全くイメージ出来ないでいた。


一方でそれを聞いていた三人は、

何か別の思惑が有るのではないかと

勘繰っていた。


声もひそひそと小さくなっている。


「カンナ、どう思う?」


アヤメが切り出す。


「オーナーが真面目に言い出したからねえ」


そこにノーラが口を挟む。


「シュリさんに諦めさせるための

口実では無いんですか?」


その言葉に、二人が手を横に振る。


「ナイナイナイ! オーナーはそんな甘くないですよぉ!」


「オーナーが言い出した段階で、決行決定ですから。

この店もそうだったんですよ。


開店まで、僅か一週間だったんですから」


「もう決定でしょう」


「そんな物なんですか?」


その問いに二人が頷く。


「そんな物なんです。

どんな無茶考えてるんだか・・・」


迫りくる恐怖に、二人は怯え

ノーラは一人、興味津々だった。





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