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神様に殺された!  作者: 猫めっき
32/82

魔法大会


「オーナー、

来週魔法大会が開かれるそうですけど

みんなで行きませんか?」


カンナが話し掛けて来た。

どうやら、店の客から

そんな話を聞いたらしい。


「魔法大会ですか?いいですねぇ」


ノーラさんが

珍しく乗り気の声を出す。


「子供達を連れて行こうかな?」


「それって、面白いですか?」


自分のその質問に、

ノーラさんがフフッて笑いながら


「面白い、というか楽しいですよ」


「楽しい?」


そう聞き返すと・・・


「みんなで楽しむものですから」


楽しむ魔法大会。

なんじゃそりゃ。


「私も行きたいなあ。ちゃんと行った事無いんですぅ」


シュリが会話に加わった。


確かに魅力的な話である。

魔法大会。

刺激的な匂いもする。


「それって、何時(いつ)なの?」


「確か来週の土日って言ってました」


それなら定休日だ。

店の営業に影響も出ない。


「都合が合うのなら、みんなで行こうか?」


「だったら、お弁当作らなくっちゃ」


ノーラさん、ノリノリだ。

お弁当? ピクニック感覚?

確かにこの世界では、娯楽は少ない。

というか、身近では無い。

娯楽なのかな?


女性陣四人は、お弁当の中身で

既に盛り上がっていた。



**********************************************



これが魔法大会か。

どう見たって、縁日じゃん!


会場の周りは、完全に露店だらけのお祭り状態である。

特に食べ物屋の出店が目立つ。


その合間合間に、ゲームが設えられている。

魔法、魔力を使った

ゲームの数々だ。


ノーラさんは、子連れで参加だ。

二人の子供を連れて

わいわいピクニック気分である。


最初に目に付いたのは

ハンマーゲームならぬ

魔力で上昇させましょうゲーム。


やり方はいたって単純。

魔力を一回流し込むだけ。

その魔力量で、矢印が上にあがる仕組みだ。


ポイントになるのは

流し込む魔力量が大き過ぎても小さ過ぎても

ダメな事。


つまりこのゲームは

目標に一番近い魔力量を予想して

注ぎ込む事で

その近さを競うというもの。


魔力が強いだけでは

勝てないゲームになっている。


確かに、魔力が有れば

誰でも楽しめるゲームだ。

魔法が使えなくっても

何も問題は無い。

魔力が有れば参加できるゲーム。


参加料はワンコイン。


安くは無いが、優勝商品は元より

入賞商品も結構良い。


何より、

参加賞もその場ですぐに貰えるし

締め切り時間が来れば

その場で即座に順位が確定する。


極めて明瞭なシステムだ。

早速みんな参加している。


一番近かったのはノーラさん。

過去にこのゲームの経験が有ったらしい。

現在入賞圏内で、他のみんなは圏外。

取り敢えずみんな、参加賞は既に貰っている。

あとは結果待ちだ。


他にも人気のゲームが有って

ロウソクに規定時間内に

魔法で何本火を付けられるかゲーム。

これは、タクト持ちで無いと

少々難しいゲームだ。

しかもそこそこの魔力を持っていないと

参加も難しい。

持続力も必要になって来る。


だからその分

賞品も豪華だ。

国の援助も有る様なので

魔法士発掘の意味も

有るのかも知れない。


これも四人とも参加するの?

えっ? みんな炎魔法を使えるの?

初めて知った現実である・・・と思ったが

出来るのはどうやら

ノーラさんとシュリだけらしい。

カンナとアヤメは、

どうしたものか悩んでいる様だ。


確かに魔光石は

光らせる事は出来る様になったが

炎魔法は、使えたっけ?


「どうするの? 参加するの?」


二人にそう聞くと


「どうすれば炎が出せるのか判らなくって。

でも、賞品がいいから参加してみたいし?」


「それ程難しく考えなくても出来ると思うよ!

タクトの先に、

ロウソクの火が付くイメージを込めれば

行けるんじゃないの?」


「そうなんですか? すぐ試してみます」


そう言うと、タクトを取り出しイメージして見る。

二人はあっけなく、タクトの先に炎を呼び出した。


「出来ました! 参加して来ま~す」


カンナとアヤメは、

大急ぎで参加の申し込みに加わった。

ぎりぎり最終グループに入れたみたいである。


で、結果はというと・・・


二人で1,2フィニッシュ。

ノーラさんとシュリが、びっくりしている。


3位以下に大差を付けての

1,2フィニッシュだからだ。

一位がカンナで、二位がアヤメ。


「カンナさんもアヤメさんも凄いです!

ホントに初めてですか?」


シュリがそう声を掛ける。


「びっくりです。まさかこんな事になるなんて」


カンナの声が上擦っていた。


「カンナは今までに、優勝なんて一度も経験が無かったから

よっぽど嬉しいんですよ」


そうアヤメが代弁する。


大会関係者も、驚いている様だった。

でも何で勝てた? んんん・・・?


もしかして・・・!


カンナとアヤメに声を掛けて

少し裏で

三人でひそひそ話を始める。


「もしかして、二人とも魔石持ってないか?」


その言葉に、二人はハッとすると・・・


「あっ! 持ってました」


こっそりと二人が

ポケットから出して見せると

魔力を放出させた痕跡が見える。

赤い色が、幾分薄まっていた。

たぶんこれって、ズルなんだけど

まあいいか!

使ってイケナイルールなんて無いんだから。

でも、あまり知られたくは無いかな。


「みんなには、決して言わないように」


そう念押しして置く。

二人は不安そうに頷いた。

バレても問題無いんだろうけど

変に勘繰られるのもイヤだ。


ここは見事な1,2フィニッシュだったと

しておこう。


豪華な商品に、二人はニコニコである。


この他にも

魔力を使ったゲームは有ったのだが

ノーラさんは子供達に引っ張られて

あちこちの出店を回ってるし

シュリはシュリで

珍しいお菓子を買いまくっている。


カンナもアヤメも

物珍しそうに

所領の物産市に群がっていた。


これってやっぱり縁日じゃん!



*****************************************



午後になると

闘技場で魔法大会が始まった。

大勢の観衆が見守る中

出場者によるデモンストレーションが

繰り広げられる。


と言っても

参加者は王国魔法士の志望者ばかり。

王国関係者に認めて貰う為の

公開試技の場である。


一番多いのは、光系の魔法。

どれだけタクトを光らせる事が出来るのか?

中には、光を空に打ち上げる者もいた。

でも、これって昼間に見せる魔法じゃ無いよね!


どの参加者も、日の光に勝てていない。

これじゃ、自己PRは無理なんじゃ無いの?

何と無くそう思う。


それに対し

炎系の魔法は、そこそこ見れた。


タクトから、炎を吹き出させる者もいた。

これは迫力十分・・・なんて思ったら

すぐに火が消えてしまう。

中には、ばったり倒れる者もいた。

魔力を使った魔法と

肉体的な体力とは関係無いはずなのに

何で倒れるんだろう。


魔力切れか?

思いの外、魔力の消費が激しいと

こうなるのか?


体力を魔力に転換してるのか?


自分にはそうなる原因が

判らなかった。


続いて風魔法、土魔法、アレンジ系の魔法も有る。

でもどれもこじんまりとしていて、スケール感も無い。

風魔法なんて、少し疾風が吹き抜けているいる程度だし

土魔法なんて穴掘り程度でしかない。


そして遂に来た。

水魔法。


いるのか、水の使い手が!

ワクワクドキドキ。


でも・・・そんなのかぁ!


水魔法の使い手は

コップに水を満たして見せた。

そしてすぐに力尽きたのか

一滴も水が出なくなった。


全力で、その程度かぁ・・・・・・・!


でも、割れんばかりの歓声が沸き上がっている。

その魔法士も、その歓声に両手を振って応えていた。

逆にこっちがびっくりしてしまう。

水魔法とは、その程度の物なの?

どうもこっちの持っているイメージとは

かなりの差が有る様だ。


その後で

王国魔法士のデモンストレーションも

有ったのだが

一般参加に比べて

少しはマシな程度だった。


どうもこの国の魔法士は

総じてレベルが低いらしい。


がっかりしている所に

カンナとアヤメが嬉しそうに戻って来た。

何でも、スカウトされたらしい。

ロウソクのゲームを見ていた

王国魔法士の関係者が

声を掛けて来たようだ。


「で、どうするの? 魔法士になる?」


その質問に、二人は笑いながら


「無理ですよ」


そう返事をして来る。


「何で?」


「ズルして勝ってますから。

それを知られたら、すぐにお払い箱ですよ」


成る程。言われてみればその通りだ。

そう言っている間に

ノーラさんが子供達を連れて帰って来た。

遅れて、

地方の御菓子を山ほど抱えたシュリも帰って来る。


全員が揃ったところで、帰途に付いた。



*********************************************



店に帰り着いたところで

ノーラさんが“あっ”と声を上げた。


「上昇ゲームの結果を見るの、忘れてました。

誰か見てませんか?」


その問いかけに

カンナとアヤメは首を横に振ったが


「それなら・・・」


と、シュリが口を開いた。


「確かノーラさん、入賞してたと思いますよ。

名前が貼り出されていた気が・・・」


シュリがそう言った途端、ノーラさんが

子供達を店に放っぽり出して

一人猛ダッシュで

もう一度会場へ走り出した。


ノーラさん、疲れてないんだ!


その元気さに驚いてしまう。

戻って来たノーラさんは

嬉しそうに

山ほどの洗剤を貰って、帰って来た。


流石は子を持つ母である。




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