第 九 回
前回の色は一日、二日で分かった。
薄く赤みのある茶色。茶色って食べ物関係でパンが思いつく。赤は火だ。薄いからいいけど、濃くなったら焦げてしまう。火は、情熱って気がする。肝心の物が上手く合わない現実で焦げる、寸前ってことだろう。 でも、今は方針転換で上手くやってるよ。
風の動きを読むという技を鬼襞さんが駆使をして丸いバルーンが目印という情報で、最終的に〈とびきり風船〉という店に、やって来た。
色んな風船を扱っている。動物の風船、恐竜、怪獣、ジェット機、アニメキャラ、植物、食べ物、食材、建物など。
一つ目一本足明後日見さんが地獄から来た者の証明をしていても、どうもそっけなくされた。この、リアクションは地獄という言葉を聞いてからだ。楽しげな場所なのに、なんでだ!
理解するために、妖力点を発見しないと。
用具室の棚の手芸ボックスに手が当たったら、色が変化した。周りを探ってみる。他の物より、二本の針の色が濃かった。
結構、ズバリ紫だな。考えの対象が多過ぎるな、これじゃあ。もうちょっと観察をしてみよう。
えーっ、うっすらと青みが強い感じの、紫。店主がよく使っている針。糸が通してある。なんとなくよく使っている針が偶然あった。お店でよく着るポロシャツとかに、時々風船に繋がる、ワッペンを縫ったりしていたそうだ。
尖っている針を見て、つい現実を思い出させられていた。世の中、
風船みたいに丸っぽさばっかりではない。
「子供っぽいと特に不快になってしまうような物言いをする人間をつい、針が尖っているように殴ってしまうイメージがあった。地獄で働くような人にこんな悩み分かってたまるか」
まさかの、食いつき。こういう風に食ってかかられてしまうなんて、嫌だな。なんて不条理。心の、弱さだ。皆の不満が爆発した。
花の妖魔に、なった。ズボンの鉢植えからニョキニョキと、ツルが伸びて顔の花がある。葉と一体の手や、小さい花が伸びたツルの先で、幾つか咲いていた。
動きはそんなに素速くない。ただ、当たったら腕がちぎれてしまいそうな、小さな花爆弾がついている。今までで一番、悪質な敵かもしれない。ツルでこかされたり、命の危険を感じてしまう。
普通の姿のままじゃ、勝てない。「妖力点の影っ」
私は影を使って四つ足になった。
気をため、木刀と一体になる。
「影の風船剣」風船の中へ閉じ込める技だ
しかし、尖ったツルを伸ばされてしまった。ヴァーーンッ。
「ワッ…」
ちょっと吹っ飛ぶ。背中を溶岩で軽くボコボコさせて衝撃を弱めた。
チラッと鬼襞さんを見たら、いつもよりちょっと時間が掛かっていた。このままじゃ、もたない。
すぐになんとかしないと。気合が、入ったのか影が濃くなった。
「ワイパー、どこまでも追いつく風船の壁当たりっ」
車のワイパーのように刃を斜めの角度で横へ動かした。そこが立体に私のオーラのように影の風船は花の妖魔を追いかけて行った。
後ろから、必ずぶつかる壁のように。
五、六体の花たちは影のエネルギーを受け続け、倒れていった。
「俺たちが馬鹿だった。不快なことを言ってくる人間も笑顔になれるようにするくらいの想像力を育てるべきだった。地獄の方にやつあたりしても意味無いのに…。まだ、未熟だ。本当に、すみませんでした」
「いいですよ、謝って頂いただけで…。心が皆、風船みたいに形状が丸くなるといいですね」
続く
なんとか、終わっている、今。