第 二十六 回
二、三日で分かった。黒っぽい青紫。
青紫は日暮れの色。黒は、闇。
ラーメンが売れていなかったのが、太陽が沈み、ほとんど闇のような心境だったのじゃ、ないだろうか。
前回は半日~一日で気が付いたが、出来る場合とそうでない場合がありそうだ。
まず、たまたま露店であった、射的を二十回やって、景品にあった数字の数をたし算をして、右折をした。
ちなみに景品は野球帽に似たキャップは鬼襞さんの物になり、他はアクセサリーや人形は私と予備見さんが貰った。射的は鬼襞さんが自費で出した。私は鬼襞さんにブレスレットを貰ったとき、緊張をした。大きい景品は人間世界支部に置いてきた。
道行く途中で、鬼襞さんは足が速いので距離が出来た。次の右折はまだ、しばらくない感じだ。
「冬美さん、私、別の好きな人を探そうって思っているの。このこと、鬼襞さんにも言うつもり。だって私もね包み隠さず話すけどね、どうにもならないものを待っている程、暇って訳でもないの結構」
「そんな急に言われても、予備見さん」
「疲れちゃったの、実らない恋に想いを寄せ続けるのに」
「分かりますけど、多分」
地獄の溶岩漬けにあった私は、多分近い意味を理解しているんじゃないかって思う。
「もう一回言うけど、私も暇じゃないの、後は二人で好きにやって…」
やってって、予備見さんが言うんだからきっと、下ネタではないんだろう。
「ああ、すっきりした。もう、ちょっとの間、恋愛はいいわ本当…フゥ」
三名のうち、二名これじゃあ、ちょっと苦しいか。
「冬美さん、頑張ってね」
「はあ…」
まだ、しばらく進みそうもないけど、返事をしておく。予備見さんは、幻・世界にいっているとき、鬼襞さんへの愛がバレてしまうぐらい気持ちが強かったのに、決着をつけている。私に対しては応援するぐらいしか、ないだろう。
〈睡眠研究所〉に、やって来た。
責任者の方が、「現代人は眠りづらい。ストレス社会」と、説明をする。
魔法の絨毯のような眠り心地を追求。板に付いた、二~三十本の太めの柱に丸い金具を付けて、少し薄いマットレスに外れないように噛まして。それで、魔法の絨毯のような寝心地を研究をしているらしい。
でも、ハンモックで良いのでは?と、私は面白い追求だけど、ちょっと思った。
車ベッド。運転手ではなく車に乗っていると(運転手の人はコーヒーを飲むとか、安全な場所でせめて仮眠を取るとかしましょう)眠くなりやすいという話を聞いたのが製作の、きっかけだそうだ。
車に乗っている感覚で完全にベッドの機具。音も出せて、信号でスピードをゆるめたり停車、発車も再現している。運転時間もタイマーでセット出来る。そして着くと(起きる時間になると)運転手が様々なモードで起こしてくれる。親、恋人、お金持ちのお抱え運転手、など。
波の布団。下に機械があって布団を波のように動かして、リラックスを誘う。ただ、事故が起きそうなので、まだもっと研究が必要なのだそうだ。
睡眠中にマッチョになれる機具。でも、疲れるようだ。
睡眠中に、たくさんの数字の羅列などの計算力を上げるCD。ただ、このCDに関しては二、三日聞かないと忘れてしまう作りなのだそうだ。
妖力点を、捜す。
三、四十分捜した。普通のベッドの脚を触ると、色が変わった。
ちょっとだけ茶色っぽい白。ネットで調べると、鳥の子色に似ていた。
責任者の方に聞く。私の特性を活かしてイメージ通り、普通の質問をしてみよう。
「世の中の人、皆、眠れるようになった方がいいですよね」
「眠りの時間は無駄だ。ずっと、起きて寝ない方がいい。って感覚が、ずっとあるんだよ」
なんで、この会話でこの返答になるんだ。だから妖力点は、おかしい。
二十四、五人は冷蔵庫の妖魔になってしまった。白い、割と古い型の冷蔵庫のようだ。
上の扉と下の扉の境辺りの横からは手、底から足がはえている。上の扉は顔になっていてロボットって感じだ。
もし、凶悪だったら、寒くして氷とかを投げつけてきたりするのだろうか?謎では、ある。
十五、六人は人のままだ。
「鬼襞さん、人の守りお願いします」
「分かった」
「予備見さん、説得お願いします」
「うん、任せといて」
恋愛に見切りをつけた予備見さんなら、いい説得をしてくれそうだ。予備見さんは妖魔の方へ少し行く。
「皆さん、未来を見ましょう。妖魔になっていたって何も始まりませんよ」予備見さんの説得は割と普通だ。でも、聞きやすい気がする。素晴らしい。
私は妖力点の影を伸ばし、つながっている木刀をクルクルと回している。ロープのような影は、影の輪のトンネルになっている。ギリギリ人が歩いて通れるぐらいの…。こういう物を見て、肩の力を抜いてくれたらいい。
予備見さんの力もあってか、妖魔は人へと戻った。
責任者の人は冷静になって、言った。
「起きている時間の質を良くするために、皆眠るんですよね自然に、きっと」
続く
進行の時間が難しい。




