第 二十五 回
私は半日~一日で気が付いた。
オレンジは太陽、赤っぽいは危険を表しているんだと。
これまでの経験値が実になっている。
〈カップラーメン研究所(味の)〉に来た。
ここ、二、三十年、若者の味覚に寄り添い急成長をした、食品会社の研究所だ。
今、試作中の物を、見せて貰った。
エビ、マーガリン味/薩摩芋、栗をいかした味/チーズ、サーモン、オリーブ味/明太子、クリーム味/すだち、豆腐味/生姜、焼き芋味/麺までホウレン草パーフェクト味など。
一、二時間捜したら、見つかった。
電気を切って照明のカバーを触ると黒っぽい青紫になった。後で色を、ネットで調べたら蔵黒藍に似ていた。さて、前の〈ノリ・旅行店〉では蛍光灯の灯りが付く部分だったが、今回はカバーで、あった。
私は責任者の方に、何気なく「試作のラーメン売れそうですか?」と、聞いてみた。
「こんなんじゃ駄目なんだ。毎日、ラーメンのことばかり考えているのに、ここ、二、三年新しいヒットが無い」
責任者や研究員たち、二十二、三人は妖魔化した。
しかし、こんな会話で問題が起こってしまうなんて、やっぱり、おかしいなと、思った。
牛の妖魔になった。黒いブチで、後は白い牛。首から下はブチ模様の毛以外は人間だ。服は、Tシャツに長ズボン、運動靴を履いている。鼻には、鼻輪をしている。
十三、四人、人のままの方もいる。
「鬼襞さん、人間の方、お願いします」
「よしっ、心配するな。大丈夫だ」
これで、また安心だ。
私は木刀を床に置いて、「影」と言った。影は五、六段のロープの様に細い階段になった。
私はそれを上る。この、不思議な感じが、いやしになるって思ったからだ。
妖魔は、少しして人間に戻ったのだった。
「いつまでも、売れなかった結果に、こだわっていても仕方が無い。今、売れている物をさらに、美味しくするところから始めたいと思います」と、責任者の方は話した。
続く
時間が過ぎた。進むのが、難しかった。




