第 十三 回
二、三日で〈空気屋さん、喫茶〉での身体の変化の理由について、気が付いた。水色でまず浮かぶのは、空。空というのは見る感覚によっては、大きな池に見える。
で、池には生活に必需な水がある。
また、白というのは清廉潔白が思いつく。だけど、この二つが混ざっている。生活必需と清廉潔白、が。ってなると、ややこしくて落ち着かない。だから、店主に不安なことなど無いのか質問したのだ。
じゃんけんを十五回して、分かれ道で勝った方がグーなら右、チョキなら左、パーなら真っすぐで歩き続けた(斜めなど分かりにくい場合は、そのまま真っすぐ通り過ぎる)。
私と鬼襞さんがじゃんけんをして、予備見さんは大きな目で勝負を見届ける。
最終的にパーが出て真っすぐ行くとあるお店に着いた。
〈辛い料理ゆるめ専門店〉
世の中にある、世界の料理の様々な種類の辛い料理のキツさをゆるめて、料理を出す店。
辛いラーメンやハンバーグ、ピザ、おにぎり、ちらし寿司。
ラーメンはゴマで作ったタレ(メンマの色に乳白色をたしたような色)を掛ける。
辛い真っ赤な物をのせているハンバーグにはミルクを入れたチーズソースに普通のハンバーグソース、甘い焼き鳥のタレのような味をたして、添える。
ピザ。ココナッツミルクにクルミをくだいて入れた物につけて食べる。
辛い味付けをした魚介の味付けのおにぎり。
ソウメンを細かくきざみ、透明なシロップで甘くして、味噌と餡こを1:3で混ぜ水と砂糖を入れて馴染ませた物をつけて食べると辛さが収まってなくなる。
ワサビが多い、ちらし寿司。砂糖水、餅、ピーナッツをくだいた物と味噌を混ぜた物を付けて、食べる。
「入り口は辛いが、辺り一面見わたせ、辛さを消してくれる不思議な妖精と出会って新たな味の発見をするっていうのが我が店のイメージです」
「最後まで確実に食べられるというのはアリですね」
「食べて、みたい」予備見さんに何となく頼まれた。
予備見さんは目を震わせていたが辛くない物と食べると、普段通りの様子へと戻っていった。私は、辛いのはちょっと苦手だ。鬼襞さんは終始同じ様子で食べ続けていた。さすが地獄の鬼、辛いの大丈夫で全然オッケーなんだな。
妖力点をしばらく捜す。
待合箇所になっている室内のベンチ。
白っぽいネジのようなメタルな色になってしまった。
ネジと言えば要。要の存在である店主の存在がゆらいでいる場合がある。
「店主さん、何か悩んでいる事ないですか?」
「いえ、何も…」と言いかけて「ハァ――ッ…」大きな溜め息をついた。
「どうも、私は店員のコックたちから実力が無いって思われているんじゃないかと…」
「そんなことないですよ。辛い物もそれをゆるめる料理だって、きちんと作っているじゃないですか?」
店主の次のリーダー格の店員が言う。
「けど、そういう風に思っているんだろ」
店は何となく、二分に分かれた。
「予備見・異界・フラッシュ」幻・世界に来た。
五、六人の店員以外、皆妖魔になった。
抱き枕のような身体の途中から、二つに分かれ、足がはえていた。二本足で立っている。手も人間の腕に近いものがはえている。少し毛深いのかもしれない。口にはキバもある。
十七、八体の妖魔が仲間割れで戦い始めた。
い――っ、大丈夫か?
「予備見さん、人間状態の人たちお願いします」
「分かった」
「たくさん、縛り」
影で五、六体の妖魔を木刀の枝を伸ばすようにして、捕らえた。さらに向かってくるのが一、二体いたので木刀で打ち倒した。ふとチラッと見たら予備見さんは三本足の安定回転キックで二、三体妖魔を倒していた。
縛られている妖魔は鬼襞さんが軽く倒した。
「ネット、大振り」
影の網を七、八体に出して、動けなくする方向にして網が掛かる衝撃で動きをさらに悪くした。後は、鬼襞さんが倒したのであった。
「私が悪かったんです。もっと、冷静でいれば。きっと、そういうサインもあったはずが」
あまり良いとは言えないが、仲間割れで戦った結果、手応えで変に思い込み過ぎていたことに気が付いたようである。
「気付けたなら、良かったじゃないですか。予備見さんのお陰で被害も運良くほぼ無かったんですから。私は味が二倍楽しめたので、いい時間でしたよ」
「ありがとうございます。もっと腕を磨きます」
続く
次の回も何とか終わらせるぞ!




