シアーハートアタック
リハビリ中
グンシンは激怒した。必ず、かの邪智暴虐のロリロに雷を落とさねばならぬと決意した。グンシンにはあやつの考えがわからぬ。グンシンは魔王軍の司令代行である。秩序を守り、規律を正して暮らしてきた。それ故、邪悪に対しては、人一倍に敏感であった。…こんな感じのキャラ付けで怒ればいいかな。いや、ロリロ君は邪悪と言うより何も考えてないだけなんだろうけど。いやいや、そうじゃないな。考えてないんじゃ無くて逆に考えたことを真っ直ぐに表に出しているだけか。全く、羨ましい限りだ。ふぅ、現実逃避はこのぐらいにしておこう。
私は…あぁ、本名は控えさせていただく。みんなにはマルスと名乗っている。今では誰一人呼んでくれないため、グンシンと言った方が伝わるかな?ともかく、私は私だ。仮の名前などさして重要でも無い。
そう、重要なのは目の前に居る現地住民だ。まず、半透明で宙に浮いている。…いや、ここが異世界で魔法みたいな力がある世界だ。こんな幽霊みたいな生命がいてもおかしくない。見たことも聞いたことも無いが。現地住民も含めてだけど。
「この子、チワンちゃんって言うんだって。可愛いよねー。仙界の許可も貰ったし、一緒に暮らしてもいいよね?未成年でもないし。じゃ、グンシンさん手続きとか面倒臭いの諸々お願いシャーっす「待て」やだなー、これから街の案内という名目でデートするから邪魔しないでくださいよ嫉妬ですかー?プークスクス「待て!」バイバイキーン」
で、おまけに手続きをぶん投げつつその対象を連れ立って遊びに行きやがった…出来るわけねーだろ!あぁ、頭が痛い…
コンコン
「やぁやぁ、グンシン息災かな?」
「キョージュか。いつも言っているがノックしても返事が返ってくる前に開けたら意味が無いだろう。あと、頭痛が酷くなるから帰れ」
「HAHAHA,ならば私もいつも通り答えよう。いきなり扉を開けて、君が実は女とか連れ込んでいて慌てふためく姿が見たいから止める気は無い。」
「ほんと帰ってくれ」
頭痛どころか吐き気までしてきた…
「おやおや、素が出てますぞ?…あー、マジでしんどい感じ?」
「…本当だよ。悪いけれどキャラ作ってる余裕はないし、いつもみたいなくだらない冗談だったら今度にして欲しい」
「わかった。では、真面目な話何か問題が?セーキシさんも呼んだ方がいいかい?」
「いや、今後のことだから後で話すけど、呼ぶほど急ぎじゃないかな…ロリロが連れてきた彼女をもう見た?」
「いや、まだですな。彼が幽霊連れてきたと騒ぎになってましたがね。」
「それだけならたいした問題じゃ無いよ。こちらの世界は、まだ未知の部分が多いから、このような事態の発生は想定の範囲内ではあるんだ。だけど…」
ロリロが言った名前が問題なんだよ。
「名前はチワンちゃんだー、なんて言っていたけど、ちゃん付けなんて、ここの言語では使わない。つまり、チワンチャンという名前なんだろうね。」
「ふむ、キョージュなんて名乗っておきながら中国語には詳しくなくてね。何が問題なのかね?」
「まだ確認を取ってないし、漢字が違うかもしれないからなんとも言えないんだ。ただ、チワンチャンが、チィーゥワンチャンを指しているなら…我々は爆弾を抱えることになってしまう。」
「ちぃ、わんちゃん?でよかったかな。漢字で書くとどうなるんだ?すまないがもう少しわかりやすく説明してもらいたい。」
「秦王政…始皇帝だよ。」
し、失踪やないです(震え声)