風邪
読んで戴けたら嬉しいです。
隆一朗の熱は更に上がった。
触る度に熱くなる隆一朗の身体に瑞基は困惑した。
何重にも重ねたビニール袋に冷蔵庫の氷を入れて冷やすが効き目は無かった。
「大丈夫だよ
こんな風邪、すぐ治るから」
熱で目を潤ませて隆一朗は笑った。
だが隆一朗の熱は薬を飲んだ後のほんの数時間は下がるが、暫くするとまた上がり、気付けば薬も無くなり、瑞基は途方に暮れるしか無かった。
食欲も無くなり三日もすると隆一朗は目に見えて弱って行った。
「病院に連れて行きたいよ」
「大丈夫、その内治るから」
隆一朗は頑として病院へ行く事を拒んだ。
心配そうに自分を見詰める瑞基に隆一朗は言った。
「ねえ、あの時は感情的になってキミを責めたけど、後になって冷静に考えたら、森さんがキミの赤ちゃんを堕胎するとは思えないんだ」
「今それって、話さなきゃなんない? 」
隆一朗は瑞基の手を握った。
「大事なことだよ
森さんは何処かでキミの赤ちゃんを産んでくれてるんじゃないかな」
「どうして? 」
「森さんて云う女性が、平気で一つの命を殺してしまうとは思えない
まして心から愛するキミの赤ちゃんを堕胎すなんて考えられない」
「じゃああの時、どうしてあんな事…………」
「それはボクにも解らないけど
今度もし、森さんに逢う事があったら、今度こそ彼女の為に生きて欲しい」
瑞基は隆一朗を見詰めた。
「どうして、そんな事今言うの? 」
瑞基は不安な顔をして言った。
「隆一朗、ここでオレとずっと暮らすんだよね」
隆一朗は哀しげな笑みを浮かべ、目を閉じた。
「少し、眠るよ」
日が経つごとに隆一朗は更に弱って行った。
瑞基は必死に考えた。
どうすれば隆一朗を病院に連れて行けるか。
しかし、この見知らぬフランスの地で言葉が通じないと言う現実が瑞基の冷静な判断を鈍らせた。
救急車を呼ぶ手立てすら解らなかった。
瑞基は全くフランス語が話せない上に、この家の住所すら解らない。
隆一朗のスマホを調べるが、何故かニコルの連絡先が無かった。
なんとか隆一朗を車に乗せて病院を探すか。
だが瑞基は車の運転ができなかった。
瑞基は、何かの目算があった訳では無かったが必死に歩く練習をした。
しかし瑞基自身この数日ろくに食事を摂っていない。
上手く脚に力が入らず両足で立とうとしただけで、こけてしまう。
膝を痣だらけにしながら何度も歩こうとするが一歩も歩く事ができなかった。
いつかしたように口移しで水を飲ませると、隆一朗は力無い笑みを浮かべた。
「有り難う」
もう、声すらまともに出ない。
「お願いだよ、良くなって
怖いよ
隆一朗、せめてお粥だけでも少しでいいから食べて」
「大丈夫…………
キミだけは守るから」
そう言うと隆一朗はまた眠った。
「オレを置いて行かないで」
瑞基は隆一朗の手を握って泣いた。
読んで戴き有り難うございます。
作中では全く隆一朗が作曲するシーンが無かったのですが、隆一朗が創るとしたらこんな音楽と言うイメージだけはあるんです。
音的に言うとナインインチネイルズとアイシュツルエンデノイバウテンを足して二で割った感じのちょっと前衛的な音に美しいメロディーを絡ませる感じで載せる。
日本じゃ、絶対受けない音ですね。笑
今でも4ADレーベルがあったら4ADレーベルなら喜んで契約してくれそう。笑
RAZORがYouTubeにライブ映像載せてくれて、一曲目から新曲ぶちかましてくれていて、ああ、元気なんだなあと安心しました。
最近、夜中の二時くらいになると、異様にテンション上がるといいますか、元気になります。
体内時計が完全に狂ってるようで、お陰で昼間は絶不調です。笑
後五話で終わります。
この連載が終わったら、体内時計戻すのに暫くインターバルおいて、それから聖流編、連載始めたいと思っています。
最後までお付き合い戴けたら倖せです。




