指輪
読んで戴けましたら倖せです。
「隆一朗、今日はもう上がっていいよ
早く帰って瑞基に不気味な手料理でも作ってやりなよ」
「不気味な手料理だけ余計だよ
有り難う」
隆一朗はコートを着るとマフラーを巻いた。
「今夜は冷えそうだね
お疲れ様」
「気を付けてな」
魁威の言葉に送られて店を出ると、既に陽も落ちて気温が可なり下がっていた。
暗い道の向こうから誰かが走って近付いて来るのが見えた。
隆一朗は目を凝らした。
「隆一朗! 」
「瑞基? 」
瑞基は隆一朗の前まで来ると、はあはあ息を切らせながら隆一朗の手を引いた。
「良かった、逢えて
ここじゃ何だからさ、途中の公園で渡したい物あるんだ」
隆一朗は瑞基に手を引かれ、一緒に走らされる羽目になった。
「瑞基、今日はバイトの日だろ
バイトはどうしたの? 」
「え?
今日は緊急で休み貰ったんだよね」
寒空の下、ひと気の無い公園の、街灯の下のベンチに座ると、瑞基はどれほど走ったのか、呼吸が落ち着くまで暫く地面に向かって深呼吸した。
「ごめん
早く渡したくてずっと走って来たから」
瑞基は上着のポケットから何かを取り出した。
「これ…………………」
どう見ても指輪を入れる箱だった。
「指輪? 」
「うん、指輪」
瑞基は蓋を開けて見せた。
銀色の曲線が植物の様にうねる重厚なデザインの指輪が街灯に照らされ白く輝いていた。
「左手出して」
瑞基は指輪を取ると箱をポケットにしまって、隆一朗の左手の薬指に不器用に嵌めた。
「樹良さんが、結婚おめでとうとか言ってくれたから、指輪で隆一朗を縛っちゃえって思ったんだ
もう何処へも行かせない」
「瑞基………………」
「でね、こっちはオレのね」
瑞基はもうひとつ箱をポケットから出して隆一朗に見せた。
同じデザインの指輪を隆一朗に渡した。
「オレに嵌めてくれる? 」
隆一朗は瑞基の左手の薬指に指輪を嵌めた。
「でさ……………」
瑞基はポケットから鎖を取り出した。
「随分ポケットから次々出てくるね、何かのアニメみたいだ」
瑞基は笑った。
「オレの場合、指輪嵌めて学校行く訳に行かないから、普段はこの鎖に通して首に下げようと思って」
隆一朗は鎖を取ると、今瑞基に嵌めた指輪を外し鎖に通して瑞基の首に下げた。
「有り難う」
瑞基は胸に下がった指輪をつまむと隆一朗を見て倖せそうに笑った。
読んで戴き有り難うございます。
おととい、40話一気読みして下さった方居て嬉しかったです。
第二章は瑞基と隆一朗がラブラブしていられる章なので、打ち込んでて楽しいです。
古いヴィジュアル系の曲、聴いてます。
懐かしいと共に、これらの曲に支えられたなあと感謝湧きました。
あの頃は余裕無くて、辛い事いっぱいあったので音楽に支えて貰ってました。
ディスパーズレイ、リエントールアンソイ、今でも彼らの音楽は衰える事無く、宝石の様に輝きを放ってます。




