最終決戦3.緋色に染まる島
おはようございます、ロンロンの弟子です。遅くなりましたね。番外編投稿前にこっちが完成したのでこちらを先に投稿します。
さて、今回は言っていたとおり緋情夫と沙汰の対決となります。何か・・・中身が薄い気がしますが仕方ありませんね。詳しくは本編で。
ではどうぞ!
場所は変わる。
「よぉ、久しぶりだな。」
サラリーマン風の男は泰人たちの世界に来ていた。そして、とある男の家を訪ねていた。そう・・・門番だ。
「・・・またお前か。一体何のようだ?」
門番は椅子に座って目を閉じていた。気配だけでこの男だと理解したようだ。
男は二人の少年少女を寝かせる。
「こいつら・・・なかなかいい素質を持っているんだ。育ててやってくれ。じゃあな。」
「待つがいい。」
そう言って立ち去ろうとする男を止める門番。
少しだるそうに振り向く男。門番は悲しそうな表情をしている。
「・・・・・・悪夢神が復活したな。ワシは全てを思い出したよ。あんたが古寺歩・・・あの子の兄だったあの頃を。」
「よせよ、もう俺はいないことになっている。ヴィントルに力を貸したあのときから俺は誰でもない・・・古寺歩という通りすがりの男だよ。」
「そうかもしれないな。だが玄武はこんなことを本当に望んでいたわけではない。・・・それは分かっているだろう。」
頷く男。そう、この男は分かっていた。分かっていたからこそ・・・・・・闇の道を歩くことを決めたのだから。
「さて、これからエルドイの所に行くのだろう。恐らくまだ青い森は夢の世界に取り込まれていない。ミーア・・・いや、あの御方の力によって守られているだろうからな。」
「あぁ、今夢の世界では最終決戦している頃だろう。今のあいつらでは悪夢神に100%勝てない。奴は恐らく秘密兵器であるプレストを持ち出してくる、覚醒状態でな。そうなれば・・・俺が行って泰人にこのブラックラルゴを渡さなくてはいけない。だけど、悪夢神によって出入りができなくなっている。」
「そうだな。だから奴に夢の世界への行き方を教えてもらう気か。・・・全く次元移動の能力もなしに移動を続ければ・・・次で最後にするわけか。」
門番は察した。この男、古寺歩はもう・・・長くない。おそらく自分よりも。
「つーわけだ。そこの二人、頼むわ。ミーアが作った存在だけど一応いい奴みたいだしほっとけないんだ。」
「分かった。・・・決着をつけてこい!」
力強く頷いた古寺歩は黒いラルゴを取り出し時空を歪めて飛び込んでいった。
「光と影・・・一つになるとき、力は開放される・・・か。よく言ったものだ。」
バトルフィールド
「それでは一騎打ち、始めてください!」
スピーカーの声が聞こえたとき、泰人と青龍は何とか結界の展開に巻き込まれずに逃げていた。同じ場所で二人は休憩していた。どうやら青龍は手を出す気はないようだ。
「・・・・・・。」
泰人は相変わらず落ち込んで・・・いるように見えたが立ち上がると結界に向けてラルゴを構える。
「・・・どうするつもりだ。それに攻撃をしたところで・・・・・・・。」
「分かってる!!!・・・だけど、俺は真実が知りたいんだ。沙汰と・・・・・・例え戦ってでも教えてもらうつもりだ。」
泰人の目はマジだった。青龍は確信する。この男は・・・自分が思っているほど弱くはないのだと。
そして同時に全てを託してもいいとさえ思った。
「そこまでの覚悟があるならばまず俺を倒してからにするのだな。俺は奴よりも・・・奴が倒した朱雀やお前の祖父よりも強いぞ。力を示し、先へ進め!」
青龍から力が溢れる。どうやらやる気のようだ。泰人はよーく理解した。この男、青龍を退けなければ・・・沙汰も、梓由も、希衣奈も、誰も救えないということに。そして・・・決めた。
「・・・フィルディアさん、さっきは情けない姿を見せて申し訳ありませんでした。もう一度、俺に力を貸してください!一緒に・・・勝ちましょう。」
「そうですね。まさか親衛隊と戦うときが来るとは思いませんでした。でも、皆さんを守り、救うためならいくらでも協力しますよ。」
改めて覚悟を決めた泰人は結界に向けていたラルゴを青龍へと向けなおす。そして・・・唱える。
「我発動す、・・・スネイルシューター・改!!」
結界内
緋情夫は沙汰と向き合っていた。小学生である彼だがすぐに攻撃に入らず冷静に考えるという選択肢を取れるくらいの知力はあるようだ。沙汰が何故泰人に対し攻撃を行なったのか緋情夫には理解できなかった。だが彼は・・・なんとなく感じていた。傷つけるのは・・・愛情の裏返しである場合もあると知っているからだ。沙汰が自分から好きでやっているのではないと薄々感じ取っていたのだ。
「泰人兄ちゃんの友達さ、何かしら理由があるんだろ。俺も・・・自分勝手でクラスメイト傷つけてきたからさ、何となく分かるんだよ。嫌々やっているってさ。」
「・・・・・・・・・・。」
沙汰は少し驚いたような表情をする。小学生だと思って甘く見ていたんだろう、急に諭すような口調になった緋情夫を見て・・・
「・・・ふふふふ。」
笑い出した。急に笑い出したため今度は緋情夫が驚く番だった。
「お、おい。急に笑うなよ。びっくりしたよ。」
「いやいや、すまなかったね。・・・確かに理由はある、だが言えないな。聞きたければ力尽でかかってきな!」
そう言うと沙汰はミニパソのキーを高速で打ち始めた。すると目の前に大きな陣が現れ、そこから・・・巨大な蜘蛛、SPDが出現した。
「・・・グゴゴゴゴゴゴゴ。」
奇妙な声を上げる黒い蜘蛛。朱雀戦で使った時よりも明らかにパワーアップしているようだ。
「俺は召喚師みたいなもんだな。魔物を生み出して戦わせる後衛タイプってわけだ。つまり・・・」
「それを突破すれば脆いってことだろ。それくらい、分かってるよ!!」
そう言って緋情夫は剣を掲げる。すると緋情夫の装備が鎧兜へと変わる。どうやらこれが戦闘装備のようだ。
「ふーん、面白いものを見たな。だがそんな重装備ならば動きにくい・・・・・・!?」
ザシュッ
「ゴガアアアア」
一瞬だった。沙汰の目にも止まらぬスピードで巨大なSPDを切り裂いた。
沙汰は表情を多少変える。
「(チッ、何でもありだなこのヒーロー君。)・・・だが、まだまだこれからだよ。」
切り裂かれた巨大SPDはそのまま消滅・・・しなかった。
ボロボロと身体が崩れていくが、何かがおかしい。崩れた身体のパーツがモゾモゾと動いているように見える。
「なるほど、こいつは大量の蜘蛛の集合体だった訳だね。」
緋情夫の言うとおりだった。崩れた身体のパーツをよく見ると蜘蛛の形をしている。そしてその数は何十、何万匹と数えられないほど大量にいる。そしてそれらすべてが緋情夫に敵意を向けている。
「その通り、bigSPDはやられてもいいんだ。大量のSPD召喚より一体に集中して召喚したほうが楽なんでね。君は俺の罠にまんまとハマったってわけだ。」
「別にいいよ。だって・・・全部倒せばいいじゃん!」
「・・・は?」
緋情夫の言っていることが一瞬分からなかった沙汰。例え先ほどの光でも何万といるSPD全てを倒せるわけがないからだ。だが、緋情夫はお構いなしにSPDの軍団に剣を向ける。
「ヒーローならこれくらい容易いよ。食らえ、輝光緋色波~!」
「む!」
明らかに攻撃呪文みたいな為、沙汰はミニパソのキーをすぐに押せるように身構える。
・・・だが
シーン
何も起こらない。沙汰は周りを見るが特に変わった所はない。
「な、なんだよ。見掛け倒しか。驚かせやがっ・・・・・・な!?」
一瞬の出来事だった。周りの風景が一瞬で緋色に変わった。
嫌な予感がした沙汰はSPDの軍団を確認するが、そこにあったのは
・・・光へと還る蜘蛛たちの姿だった。
「・・・おいおい、とんでもないな。」
沙汰が作り出したSPDはそのへんによくいる蜘蛛以上の耐久力がある。勿論さっきの光の攻撃を見たときSPDには光属性攻撃への耐性をつけた筈だった。だがそんな耐性をあっさりと突破してきた。
「夢の世界では何でもありってことか。ただの光属性ではなくオリジナルの追加情報でも入れたか。それが緋色の光ってことは・・・・・・」
研究モードに入る沙汰。こうなるとなかなか元には戻らない。
緋情夫は剣の先を沙汰に向ける。
「もう新しいモンスターは出させないぜ。どうやら俺の勝ちのようだね!」
勝ちを確信した緋情夫。
沙汰のSPDを無力化し、完全に自分が有利だと思っているようだ。沙汰はまだブツブツと呟いている。
「となると、・・・・・・そういうことか!」
「あのさ、そろそろ反応して・・・!!?」
驚く緋情夫。ブツブツと呟いていたかと思った沙汰が急に顔を上げて緋情夫の目を真正面から見たからだ。その目は強い決意そのもので緋情夫が剣を突きつけているのも関わらず恐怖なんて微塵も感じない。
そして・・・
「・・・やっぱ、あいつじゃないと俺は倒せないみたいだわ。」
ゾクッ
緋情夫は急に後ろから何かを感じ振り向く。そこにいたのは・・・蜘蛛のような何か。真っ黒で緋色に一切染まっていないSPDだった。そのSPDは既に緋情夫の鎧の寸前まで黒いの糸を伸ばしていた。
「う・・そ・・・・だろ・・・・」
一瞬で呟けた言葉がそれで
「一応一匹保険で出現時間遅らせていたんだがそれが良かったな。・・・じゃ、さよならだ!」
その沙汰の言葉を最後に彼は
ズブッ
糸により貫かれた。
続く
どうでしたか?
一応決着はつきましたが詳しくは次回ですね。緋情夫はいったいどうなったのか。
さて、次回の後書きで今回の出場者の現段階での強さの順番でも出そうかと思っています。気になる人は次回のあとがきを見てください。
そして、次はまた新しく戦いが始まります。ネタバレしますと青龍と泰人の対決はまだ後になりますのでそれ以外ですね。
さて、次は未定ですが今回ほど遅くならないようには頑張ります。
それではみなさん元気でまた次回お会いしましょう!