56.最後の一時
おはようございます、ロンロンの弟子です。
さて、今回は最後の休息回・・・だと思われる回になります。
さてあまり長く話すのも良くないので本編をどうぞ!
悪夢・高校の会議室
悪夢神達はミーアが作った大会予選の映像を見ていた。
「俺はあの双子の隊と会うまでは身を隠していたからな。」
「シュパルツにすべて任せていた。まぁ、今では奴の記憶も手に取るように分かるがな。」
そんな感じに軽く会話を挟みながら見ていたので何か軽い雰囲気だった。・・・・・・一人を除いては。悪夢神はとある場面が気になった。武者蜥蜴隊とスィングの対決だ。
「あれは・・・・・・・・・まさかな。」
白い石を見て驚くも自分の勘違いだと思うことにした。だが次の映像、海の隊との対決時にスィングが白い石からシロミャーを召喚した所を見た瞬間、ガタンと音を立てて立ち上がる。
「馬鹿な、本物の白核石だとでも言うのか!?何故この男が持っているのだ!!!」
ここまで慌てた悪夢神を見るのは初めてなのか、3人とも目がいく。
「・・・・・・ヴィントルの奴め、こっちが本命だったか。まんまと騙される所だったな。」
「おい、どういうことだ。俺達にも分かるように説明しろ。」
そう言われ少し間が空き、ようやく話し始めた。
「このスィングという男の持っている白い石は白核石という。」
「白核石?白魔石ではないのか。」
白マントの男の問いに頷く悪夢神。
「あぁ、そうだ。白核石は白魔石に見た目は似ているが性能は桁違いだ。見たところ7割ほどの力しか出していないようだが、本気になれば覚醒スネイラーや覚醒プレストクラスの力・・・もしくはそれ以上かもしれない。」
同等がそれ以上。その言葉がどれほどの意味を持つのか3人にはすぐに理解できた。それぞれ反応はバラバラで、祇亜は少し驚いた表情、白マントの男は特に変わりなし、ミーアは悪夢神達の見えないところで小さくガッツポーズをした。
「まぁ、白核石の本気の力にあの程度の男が耐えられるとは思えない。特に問題はないだろう。さて、明日についての説明しよう。」
こうして彼らは決戦に向けて計画を立て始めた
雪美の屋敷
ティルス達は再び泰人の部屋に戻ってきた。あれから10分ほどしか経っておらず、泰人達は少し驚いていた。
「思ったよりも早かったな。・・・あれ、メイディアがいないみたいだけど?」
「はい、それなんですが・・・・・・」
ティルスは説明を始めた。メイディアの記憶が戻り、彼女はクリスタ王国に住んでいたメイドであったこと。そして、クリスタ王国の危機を救ったこと等を話した。・・・・・・だが、二つだけ真実を言えなかった。
「そうか!まぁ、変な科学者を逃したのは痛いが3姉妹が全員無事で良かったよ。」
「そうですね、ホッとしました。」
そう、サロンとミカゼについて本当のことが言えなかった。恐らく真実を話せば泰人は立ち直れなくなる、ティルスもスィングもそう思ったからだ。
「それでその科学者が言っていた言葉、恐らくクリスタ王国を含むあの世界は泰人さん達の世界にあると思います。作られたと言っていましたので、ネットワークにでもあるのではないですか。」
「・・・・・・そういや、沙汰がやってたオンラインゲームにそんな国があった気がするな。全て終わったら俺もネカフェに行こうかね。」
「・・・・・・・・・。」
言えなかったもう一つのこと、それはティライズに会ったことだ。ティライズが言っていた言葉、もし自分や沙汰が普通ではない場合倒してくれ、このことから察するに2人は敵サイドにいることになる。そこでティルスは着ぐるみの男を思い出す。
「(そういえばあの人、泰人さんの過去を知っていました。・・・・・・まさか!?)」
「さて、お前らも疲れただろう。早く休んで明日に備えてくれ。」
泰人の一言に我に返るティルス。とりあえず考え事は後にして、部屋を出ることにした。
「そうですね、それではお休みなさい。泰人さんもフィルディアさんもゆっくり休んでくださいね。」
「だな。じゃあ俺っち達はこれで!」
そう言って部屋を出て行った2人。それを見届けると泰人は上着のポケットからあるものを取り出す。
「さて、ヴィントルからもらった力がどんなのか試さないと。すっかり忘れてたぜ。」
「・・・早めに済ませてくださいね。」
部屋から出た2人。スィングはとても悔しそうだった。
「あの科学者が生み出した魔物、凄く手強かった。・・・ミーア達と戦うとなればこんなんじゃ済まない。俺っちも・・・・・・強くならないと。」
「僕も強くなりたいです。・・・・・・今から特訓場所に行こうと思うのですが、スィングさんも来ますか?」
「勿論っすよ!もう何も出来ないのは嫌っすから。」
こうして二人はこの前ティルスとミュアが修行した場所へと転移した。
とあるホテルの一室で須賀緋情夫は焦っていた。
雪美の屋敷前に倒れていた佐野星音、現実世界で緋情夫が虐めていた相手だ。だが彼は嫌いだから星音を虐めていたわけではない。最初は照れ隠しだった。だがやっていくうちに周りも参加し始めてもう戻れない所までできていた。今ではそんなことも忘れかけてただ日課のようなものになっていた。
だがここに来て色々な体験を通し彼は学んだ。自分のしてきたことがどれだけ馬鹿らしかったのかを。もし目覚めたら謝ろう、許してもらえなくてもとにかく謝ろう、そう思っていたときにこんなことが起こったのだ。焦るのも仕方ない。
しかもホテルの人が気を利かせてくれたのか、ダブルベッドの部屋を選んだのだ。星音が気を失っていたため一緒の部屋にしたのは理解できるが一緒のベッドにした理由が分からなかった。緋情夫は隣りで気を失っている星音を見る。眠っているため仕方ないが、もの凄く無防備である。そのため焦る。小学生でも焦るのだ。大人はどうなってしまうのだろうか、と緋情夫は考えることで今の状況から逃避しようとするが変わらない。
「うーん、迫りくる敵を何人も倒してきた俺がこの程度のことで取り乱すとは・・・」
そう葛藤していた時だった。
モソモソッ
星音の服の胸の辺りが動く。
「!?なんだなんだ???」
驚いた緋情夫は星音の服の胸の辺りを見る。微かに動いている。それがどんどん下の方へと向かっていき、・・・・・・服の下から飛び出した。
「やっと出たー!!・・・あれ、ここどこ?」
羽を器用に使い飛んでいるまだ幼い妖精、サミーだった。キョロキョロと周りを見渡していたサミーの目に緋情夫が入る。
「・・・・・・あ、知らないお兄ちゃんだ。わ-い!!」
まるで遊び道具を見つけたかのように緋情夫に飛びついたサミー。緋情夫は驚くも敵ではないと判断して安心する。
「お前はなんだ?敵じゃないようだけど。」
「えーっとね、あたちサミー!よろしくね。」
緋情夫にはサミーを人懐っこいがかなり幼い妖精の子供であると思うことにした。とりあえず理解できるか分からないが疑問をぶつけてみる。
「じゃあサミー、そこの星音の服の中に入っていたようだけど心当たりはあるのか?」
「うーんと、・・・・・・分かんない。何かお母さんに呼ばれたことだけは覚えてるんだけど・・・。」
「へぇ、なるほど。」
緋情夫は考えた。これは記憶喪失というものではないのかと。ならば寂しい思いをしている・・・助けてやろう。こういう結論に至った。
実際は記憶喪失とは少し違うのだが・・・まぁいいだろう。
「じゃあ記憶が戻るまで俺が守ってやる。なんたって俺はヒーローだからな。」
「ヒーロー!?すごーい!!!!」
どうやら緋情夫のことを更に気に入ったらしい。服の裾をギュッとつかんだ所を見て緋情夫は満更でもなかった。
「じゃあそこの星音と一緒に寝な。俺はソファーに寝るからよ。」
「えー。ヒーローと一緒がいいよ。」
「うーん、だがな・・・。」
いくら妖精とはいえ相手は少女だ。一緒に寝るのはまずいだろう、そう思ったのだがまだ幼く意識がない奴の横で寝るのは寂しいのかもしれない。そう思った緋情夫は仕方ないなと一言いいサミーとソファーで寝ることとなった。
「おやすみな。」
「うん。ヒーロー、おやすみなさい!」
そして横になりサミーが眠ったのを見て緋情夫も意識を手放した。
「・・・えーっと、どういう状態なのかな???」
途中で起きた星音は状況を整理しようとするがまとまらなかった。何故かホテルにいて緋情夫が近くで寝ている。それに自分の中にミーアがいない。
しかしソファーで眠ってる緋情夫とサミーを見ていると微笑ましかった。それに・・・こういうのも悪くはない。
「・・・朝に事情聞けばいいよね。今は寝かせてあげようかな。」
そうつぶやき、彼女はもう一度寝直した。
そして夜が更けていく。近づく決戦の時間、果たしてどうなるのか?
残り時間が24時間を切った。
第二部・完
どうでしたか?小学生のくせに生意気だ・・・なんて思っておりません、はい。
次回から決戦始まります。これまでの集大成のつもりで頑張ります。
さて次回ですが、まず番外編を別の小説で投稿し直します。というのも決戦始まったら番外編やってる暇もないと思うので。展開的にも・・・ですね。
次回は未定です。番外編投稿したらこちらに戻ってくるので今月末位ですかね。番外編の方は今週末には投稿したいですね。
それでは皆さん、元気でまた次回お会いしましょう!!